今回は、ボーカルのダブリング(ダブルトラッキング)について。
基本的な流れをReasonのデモソングを使って、説明しましょう。
まず、オリジナルの断片。
ウォームですよね。
これはこれで完成されてますけど、チュートリアルとしてやってみましょう。
まず、オリジナルのピッチ補正をやります。
ピッチエディット画面で見ると、微妙にピッチが揺れています。
ポピュラーミュージックの場合、この揺れは通常、魅力だと思うので、
こういう揺れは残した方がいいと思う。
極端に揺れていなければ、それはその人の他人にマネのできない個性なんだと思うんだけど、これはチュートリアルなんで。
このピッチをコンピュータ的なデータとして捉えると、気になるのはここ。
相対的にここの揺れが激しい。
こういう場合、揺れの大きな部分をピッチエディトをする前に、ナイフツールで切っておきます。
ちょうど、GとG#の間で揺れてるわけですね。
これで、ピッチエディトの準備ができたので、全選択。
ピッチ修正ボタンをクリックして、ドリフトを50%に変更します。
ドリフトというのは、揺れを減衰させる設定です。
ピッチのグラフの揺れが、各ノートの中で揺れているものを平坦にする設定です。
今、補正するって視点だから、ノートの中で揺れているものを、より平坦にしたいわけですよ。
50%というのは、元の揺れを残しつつ、補正する丁度、真ん中って意味になるかな。
これがドリフト100%
ヘッドホンで聴いた方がわかりやすいからね。
そしてドリフト50%
こっちも聴いてみましょう。
いいね。
これでボーカルのピッチエディトは終わり。
ここから、ダブリングの手法をいくつか紹介しましょう。
まず、この補正済みボーカルトラックを複製します。
う〜ん、ただ、一応、そうなんだけど、場合によっては、補正前のボーカルトラックを複製した方がいいモジュレーションになる場合も多々ある。
このデモソングのように、うまいボーカリストの場合は、補正前の方がいい結果が出る気がするけど、まあ、作業手順を示すということで、今回は補正済みを使いましょう。
複製したら、複製した方を全選択して、ドリフトを0%に変更します。
これで、普通のダブリングトラックは完成です。
ただ、今の曲は、これで終わらない。
曲中で、ダブリングの手法を色々使って、サビを聴かせたり、フックにしたりってことをやる。
そこで、今度は、このドリフト0%のトラックを複製して、別のダブリングトラックを作ります。
Neptuneを追加します。
設定は、
WIDE VIBRATOをオン
スケールを曲に合わせる。
ここではFのナチュラルマイナースケール。
CORRECTION SPEEDを最速にします。
聴いてみよう。
いい感じだね。いいダブリングになりそうだ。
もう1種類やってみよう。
- 今のneptuneを追加したトラックを複製します。
- シーケンサーで、ボーカルのクリップを右クリックして、コンテクストメニューを表示
- バウンス>オーディオクリップをMIDIへバウンス
これで、ボーカルクリップをMIDIノートにしたクリップができます。
デバイスとしてSUBTRACTORが追加されますが、
この場合、欲しいのは変換したMIDIノートクリップのみです。
変換したMIDIノートクリップをneptuneで使いたいので、neptuneのシーケンサートラックを作成します。
neptuneでコンテクストメニューを表示させて、neptuneのトラックを作成します。
neptuneのシーケンサートラックは現在、空です。
「オーディオから変換」シーケンサートラックにある変換したMIDIノートクリップをドラッグして、neptuneのトラックに移動します。
ついでに名称も変更しましょう。
もう変換トラックとSUBTRACTORは削除していいよ。
最後に、neptuneを設定し直します。
MIDIボタンを押して、「TO VOICE SYNTH」を選択します。
さらに、右端のVOICE SYNTHのスライダーをとりあえずMAXにします。
次に、背面に回ってルーティングを変更します。
neptuneのAUDIO OUTを外し、VOICE SYNTH OUTをAUDIO TRACKのFROM DEVICEに接続します。
これで完了。
これで、ダブリングに使用する3種類のダブリングトラックができました。
それぞれの組み合わせを聴いてみましょう。
補正済みボーカルトラック+ドリフト0%ダブリングトラック
補正済みボーカルトラック+neptuneダブリングトラック
補正済みボーカルトラック+neptune VOICE SYNTHダブリングトラック
基本的なミックスの仕方としては、
ドリフト0%のダブリングトラックを基本にして、要所で、neptuneまたはVOICE SYNTHのトラックをミックスするような使い方を想定しています。
バランスは、VOICE SYNTHを目立たせすぎると、クセがある感じになると思いますけど、狙いなら全然、アリでしょう。
また、VOICE SYNTHのかかり具合を調整して、そっちをメインにするのも意図としてあるんんじゃないかな。
以上の4トラックを、全て鳴らすとこんな感じです。
4トラック
あとは、オートメーションで、各フェーダーや、VOICE SYNTHとして使っているneptuneのVOICE SYNTHのスライダーを調整すると良いと思います。
ボーカル曲をやっていて、GarageBandの世界からステップアップする場合、LogicよりReasonにいった方がいいと思います。
Reasonのピッチエディトとneptuneは非常に使いやすい。
Logicで同じことをするよりも直感的に操作できますよ。
Reasonならボーカルミックスが楽にできます。