前回は、Propellerhead Reasonにおけるノート編集の基本事項を紹介しました。

 

 今回は、追加的な操作。

 

 ノートを単純にステップ入力していった場合、ベロシティや、長さは一定になってしまいます。位置も「譜面通り」のジャストのタイミングになりますよね。

 

 それでは、アクセント、ノリや表情などを表現することができません。

 また、ベロシティを使わないと、非常に不自然な響き・奏法になる場合も、ままあります。

 

 例えばギターのコード弾きを考えたとして。

 

 Eコードを4分音符でダウンストロークするということを想定した場合、

 E2-B2-E3-Ab3-B3-E4という和音を入れただけでは、ギターのボイシングでもピアノのような鳴らし方になってしまいますよね。

 この場合、譜面では、1.1.1.0の位置にあったとしても、実際は6弦から1弦に向かって僅かな譜面に現れない時間差があるはずですから、ティック単位でずらしていくことが必要になります。

 

 各弦が発音している時間も、次のストロークを行うまでなので、

 始点のズレに伴って長さもティック単位で、6弦から1弦に向かってだんだん短くなるはずです。

 

 ベロシティは、ギタリストの意図や手グセもあるでしょうが、一般論としては、6弦から1弦に向かってだんだん弱くなっていきます(ただし、俺はこの方法には懐疑的な立場なんだけど)。

 

 これらのズレの表現をするのに、規則的6弦から1弦に向かって各要素の値を変更していくわけです。教科書的には。

 

 ただ、それだと、ズレが規則的で、やっぱりおかしいんですよね。

 

 それを解決する方法は色々あるとは思いますが、ノート編集という部分でまずやりたいのは、「人間が行うランダムさ」の要素を入れることだと思います。

 

 Position=位置=Reasonで云う始点は、スナップを外して、自分でずらすのが、一番、いい加減な感じでいい。ただし、極端にやってしまうと、別物になってしまうので、謙抑的にいきましょう。

 これクオンタイズを使ってティック単位でランダム設定もできるんだけど、手動の方が意図が出やすい感触はある。

 でも、ランダムクオンタイズも排除するわけじゃないので、手動でやった後に、小さくかけるのはいいんじゃないかな。

 

 長さについても、スナップを外して、自分で長さを変える。

 これも、謙抑的にやった方がいいでしょうね。

 

 以上の二つは、試行錯誤しているうちにセンスが養われて、うまくなっていくと思います。

 

 ベロシティについては、ツールウィンドウで、ベロシティをランダムにすることができます。ランダムにしたいって思ってるときに「ランダム」って語は目をひきますよね。

 

 しかし、闇雲にこれを使うのはかえっておかしなことになる可能性もある。

 

 ここは算術でしょうね。

 感覚的なものですけど、10%の範囲で、ランダムにするとした場合、

 元のベロシティが100なら、ベロシティは90〜110の範囲になりますよね。

 

 あるノートが、110になってもいいのかってことですよ。

 例えば、110-100-105-100という順に設定していた場合で10%ランダムを設定すると、

 最初のノートは、99〜121の範囲になります。

 その次のノートは90〜110になるので、

 可能性としては、110-100で設定したものが、99-110になっちゃう場合もあるってことですよね。

 

 そうすると、こういう打ち込みをしたのならば、10%ランダムというのは大きすぎる

んじゃないかということが可能性として考えられる。

 

 この、110-100-105-100という設定の場合、4%が限界点かなって気はするけど、それでも、意図したベロシティの強弱とは逆の結果になる可能性はありますね。

 

 これ答えを言ってしまうと、こういった場合は、「ランダム」を使わない。

 やはり、手動でやった方がうまくいく。

 ただし、手動でやるときに、教科書的に一定の値で増減させるのではなく、

 そこにランダム要素を加えた方がいいと思います。

 

 「ランダム」の代わりに、「スケール」を使う方法もあります。

 これは、設定したパーセント値を乗じて、ベロシティを変化させると共に、

 強弱を目立たせたり、目立たなくさせたりします。

 

 ただし、基本的には、そのトラックの全てのノートに同じ率で掛けないと、そのクリップだけ浮き上がっちゃう。意図ならいいですけど。

 

 強弱を目立たせる場合は、100%超の値を設定してあげます。

 ここも算術だけど、ほとんどのベロシティが127になってしまうような設定は意味がない。

 やっぱり意図があった方が使いやすい。

 ある小節をピアニッシモにしたいとかっていう意図があった方が使いやすい。

 

 結局、機械的な方法もあるけれど、表現の段階にきたら、手動でやるのが一番、いいような気がします。