このルックスを見た時の第一印象。
「Roland System-100みたいだ」
System-100といってもヒットした2代目ではなく初代の方。
たぶん実際はARPのシンセがモデルだとは思うけど。
 
SUBTRACTORは、アナログシンセを学びたい人には、うってつけの音源だと思う。
減算シンセシスの教科書に含まれる要素は全て入っていると思う。
まあ、今のアナログモデリングシンセならば、どれでも学べるんだけど、Propellerhead Reasonはフル機能のデモバージョンがあるんで、ソフト音源買うにしろハードを買うにしろ、シンセをやりたい人には、試して損のない代物でしょう。
 KORGのバンドル品のReason Limitedにも、販売中の機能限定版Reason Essentialsにも、SUBTRACTORは含まれています。
 
 Arturiaのシンセは、レガシーシンセを忠実に再現しようって試みだから、もちろんいいと思うけど、あっちは高いからね。
 minimoog V、あ、現行バージョンはライセンスが切れてmini Vか。
 mini Vなんかも単純で、結構簡単に、それなりの音が作れるんだけど、教材としては単純すぎる気がする。Logicのes m、es p、es e、efm1ほどではないけど、出版社の違う教科書ガイドを使っているような感覚になるんじゃないかな。
 まあ、そのうちmini Vについても書きますが。もちろん、好きですよ、mini V。
 
 moog modular V。今は、modular Vか。あとARP 2600Vなんかだと複雑すぎる気がする。
 やっぱ、これから学ぶ方には強力にSUBTRACTORをお勧めしますね。
 
 減算シンセシスの場合というか、ほとんどのシンセは、この応用なんで、減算シンセシスを学べば、シンセのほとんどは理解できる。FM音源のみ、理解と使いこなしに大きな乖離があるけど。ああ、横道逸れそうだから、FM音源は保留。
 
 減算シンセシスは簡単にいうと、音の要素。波形といえばいいのか。もっと言い方変えると、ある特徴的な音を発振させて、それを削って形を変えて、時間的な音色や音量の変化を設定して、音を作るって方式。ザックリだけど、これでいいでしょう。
 
 で、特徴的な音を発振させる。=波形を設定する部分が、オシレータと呼ばれる部分。昔はVCOって呼ぶことの方が多かった気がするけど、近年は単にオシレータって呼んでる気がする。
 SUBTRACTORでいえば、OSC 1、OSC 2、NOISEって書いてあるブロックがあるでしょ。その部分ですね。
 
 OSC 1やOSC 2にWaveformって部分があって、画像では山型の記号が見えますね。ここが波形の選択部分です。
 SUBTRACTORの場合、4種類の基本的な波形に加えて、より複雑な波形28種類が使えます。それが2セット。そしてプラスノイズ。
 ここで、大まかなというか、素材的な音色(オンショク)を決めるわけですよ。
 このセクションだけでも、かなり音色の変化ってものは楽しめるはず。
 最初は、Osc 2やNoiseの文字の左にある赤ボタンは押さないで、Osc 1だけで、音色の変化を試してみるといいと思う。
 次の段階で、Osc 2またはNoiseをまぜまぜしてみてください。
 Osc 2を混ぜるときは、微妙に音程を変えたりなんだり。
 それはWaveformの右にあるOct、Semi、Centって部分で設定します。
 いわゆるディチューンってやつですね。わずかに音程をずらしてモジュレーションさせるってこと。Centをいじれば気持ちよくディチューンする。
 Octはオクターバ的使い方かな。Semiは和音だろう。不協和音もありだが。
 そして、その合わせ技。
 
 なぜ、このブロックだけで、面白いかというと、SUBTRACTORは、このブロックだけで、結構、モジュレーションがかけられる。変調というのかな。
 
 あ、シンセやる場合は、日本語名で覚えるより英名覚えちゃった方が楽だと思いますよ。シンセのパネルはほとんど英語なので、その方がスッキリ頭に入りやすいと思う。
 
 さっきのWaveformの今度は左。×、-、◯って記号がある。これは、下のModeスイッチで切り替わりますけど、xは掛け算ってことで、-は引き算って意味。◯はオフってことです。そして、Phaseって書いてあるノブがある。
 ここでフェイズモジュレーションをかけられる。
 これ、言葉で説明するの難しんだけど、
 過程としては、モードで、掛け算や引き算を選ぶと、オシレータで設定している波形のコピーが作られます。
 ここでは、図的に波形を思い浮かべればいい。
 画像の山型だったら山形でいい。
 で、作ったコピーは、描いた山型の位置から、Phaseノブを動かした量だけずれて描かれる。
 で、原本と写しの間で、掛け算または引き算をする制度です。
 それによって音色というか、波形がまったく変わってしまう。
 ずれて描かれた図で、引き算ならば、重なった部分はなくなる。
 だから引き算選んで、Phaseノブがゼロなら音は鳴りません。
 
 掛け算の方は想像しにくい。予期せぬ出来事的な結果になったりします。
 
 これが、Osc 1、Osc 2各々でできるんですが、さらにこのブロックの右上にFMってありますよね。これはFM変調、フリケンンシーモジュレーションです。
 FM音源のFMですけど、ここでは、Osc 1の周波数をOsc 2の周波数でモジュレーションさせるってことなんだけど、これ、想像できないんですよ。やってみないとわからない。
 
 さっきのPhaseとこのFMは、合わせ技を色々実験していかないと、わからないというか、実験を結構しても、乗算PhaseとFMは結果の予想はつきにくい。
 
 あとは、Ring Modurationを使うとか、Osc 2のかわりにNoise使うとか実験項目はたくさんあって、最初はこのブロック出ないで、色々、実験するといいと思う。
 
 その次は、FILTER 1とFILTER 2のブロック。最初はFILTER 1のみいじるといいでしょう。
 ここは、OSCのブロックで作った音色をさらに削っていく部分。
OSCのブロックだけでも面白いけど、ここに来るとさらに面白くなる。
Freqって書いてあるスライダはカットオフって呼ばれるものと同じ。
 フィルターが動作する周波数の高さを決めるとでも説明すればいいのか。
隣のResはレゾナンスで、フィルターの効き具合を決めるって言った方がわかりやすいかな。
 そしてTypeは文字どおりフィルターのタイプを決める。
 この辺も実験あるのみ。
 
 次に3つエンベロープジェネレータがあります。ADSRとも昔は言いました。
 SUBTRACTORには、MOD、FILTER、AMPと3種のエンベロープがあります。
 これは、それぞれ時間的な音の変化を表現するのに使う。
 
 まず、分かりやすいAMPで説明すると、エンベロープでは音量の時間的変化を設定します。
 AはAttackで、音の立ち上がり時間。
 キーボードを弾いて、音が出るまでの時間。0ならその瞬間に音が出る。
 DはDecayで、弾いた音が最高音量になってから減衰していく時間を設定する。
 SはSustainで、これだけ時間ではなくて、サスティーンのレベル……、音量のレベルがどのくらいで減衰しなくなるかって設定をする部分です。
 
 これわかりやすいのがピアノとオルガンの違い。
 ピアノは鍵盤を弾いて、指をそのままにしても音量はどんどん減衰していく。
 アタックタイムは0かほとんどなくて、ディケイタイムは、それなりにある。
 弾いたらすぐ音がなって、徐々に音量は減衰していくってことです。
 そして、サスティーンレベルはありませんよね。
 どんどん減衰して、減衰が止まるポイントなんて、ピアノにはありません。
 どんどん減衰する。
 
 これに対して、オルガンは、アタックタイムはピアノと同じでしょう。
 でも、ディケイタイムなんてありますかね。
 指がそのままなら、ずっと鳴ってるのがオルガンですよね。
 だから、ディケイタイムの設定を無意味にしておかないといけない。
 それには、サスティーンレベルをMAXにしておくことです。
 サスティーンレベルは、減衰しなくなる音量のレベルなんだから。
 押してる間は鳴りっぱなし。
 
 そして最後のRはReleaseでリリースタイムで、指を離した後、音量がゼロになるまでにどれくらいの時間がかかるか。
 余韻の時間設定ですね。
 
 今は、音量で説明したけど、ADSRの考え方は同じ。
 効く対象が違うだけ、フィルターの場合は、フィルターブロックで設定しているはずのFreqの時間的変化を設定する。だからFILTER ENVELOPEを使うと、Freqの設定はFILTER ENVELOPEの設定に大いに影響を受けちゃいます。
 
 MOD ENVELOPEも考え方は同じ。
 対象は、Destボタンで決めます。
 
 次、LFO 1、LFO 2って部分。
 この2つのブロックは、低い周波数のオシレータなんだけど、聞こえる音を作るわけでなくて、音に揺らぎ、ビブラートを加える部分。
 SUBTRACTORのLFO 1とLFO 2は、大分、性格が違うけど、教科書にマッチするのはLFO 1の方でしょう。
 LFO 2は、結構、結果が想像しにくいので実験あるのみ。
 
 そして、右上のLEVELで、全体の音量を決める。
 
 これでシンセの基本部分は概観したかな。
 あと、右側にPortamentoのブロックがある。ここはアナログシンセらしい部分なんですね。
 Portamentoの横のPolyphonyは同時発音数の設定。
 ここを単音にして、左側のModeでLegatoを選んで、Portamentoを 軽くかけ、Bassの音色を作れば、Logicのes mっぽい音色は簡単に作れると思う。
 
 他のブロックは、再生中というかプレイ中に影響があるベロシティやピッチベンド、モジュレーションホイールといったシンセやMIDIキーボードではお馴染み機能ですね。
 
 長くなってしまった。