ボストンのポプラ並木　その６
「ハーバード大での最初の関門は研究棟に出入りするためのＩＤカードを取得することだった。ＩＤカードをもらうために、いくつかのオリエンテーションに参加し、健康診断も受けた。当然ながらすべて英語で行われる。部屋を間違えていないか、席を間違えていないかと、緊張の連続だった。最後に写真を撮られ、丸一日かけてようやく発行されたＩＤカードを受け取り、首から下げると、「ついにアメリカに来ちゃった」と急に実感が湧き、小走りで建物の外に出た。夕日に照らされて黄金に輝く木々の葉が驚くほどに眩しい。秋の気配が感じられはじめた夕方の空気に包まれながら、ＩＤカードを眺めると、ＩＤカードに写るあまりにも緊張した表情の自分の写真がおかしく、こみ上げる笑いを必死にこらえた。
　翌日にはハーバード大学医学部の現役の学生であるセレナが私の隣の席にやってきた。セレナは、バカンティ研での研究を経験するために、１年間大学を休学することにしたという。日本とは異なり、アメリカの医学部は大学院であり、まずは学部を卒業し、学部卒の資格を得ていないと医学部に入学することはできない。セレナはイェール大を首席で卒業しハーバードの医学部に入学した秀才で、バカンティ研での研究経験とバカンティ先生からの推薦状が研修医に応募する時に有利に働くそうだ。よくよく話を聞くとハーバード大の他の教授とすでに論文を書きはじめているようだった。セレナは次元を超えて頭がよく、その上、かわいい顔立ちをしていた。最初は、自分がみじめになるほどの格差を感じたが、いつの間にかどんなことでも話し合える大親友になっていった。
　その２日後にはヴァネッサがやってきた。ヴァネッサもイェール大卒のエリートで、名門校の医学部入学を目指して勉強中だった。医学部入学試験の際にハーバード大での研究経験や、バカンティ先生からの推薦状が有力に働くので頑張りたいと話していた。かくして同世代の４人の女が揃い、スパルタ式の英会話レッスンが始まった。アナがリーダーとなってバカンティ研のルールをいろいろと説明してくれた。アメリカの大きすぎる白衣をまとい、ハーバード大学での研究生活が始まった。」
「あの日」小保方晴子著より

感想
＞日本とは異なり、アメリカの医学部は大学院であり、まずは学部を卒業し、学部卒の資格を得ていないと医学部に入学することはできない。

常識を身に付けさせるためなのかな。何にしても医者になるには金がかかり過ぎるね。

＞セレナは次元を超えて頭がよく、その上、かわいい顔立ちをしていた。最初は、自分がみじめになるほどの格差を感じたが、いつの間にかどんなことでも話し合える大親友になっていった。

ＳＴＡＰ細胞発表当時はすっかり立場逆転となってしまったが、嫉妬なんかはなかったんだろうね。因みに、数学科なんかには次元を超えて頭がいい人がいる。１００点満点のテストで２００点を取った男の話を紹介しよう。大学の数学科の試験は高校までの数学とは違って概念ばかりで慣れないうちはさっぱり理解できない。そんなテストで皆が０点に近い状態で一人だけ１００点を取ったのだが、このままでは皆が留年してしまうので配点を２倍にして救いの道を与えたところ、その彼は２００点となってしまったらしい。（私は会った事がない人の話。）
個人的には、もっと分かり易く教えろと思っているが、昔の常識では意味が分からない（高度な）授業をする事がステータスだったんだろうね。今でもそうかもしれないが。

因みに、頭脳王とかでこういう問題を一瞬で答える人がいるが、

次元を超えて頭がいい訳ではない。膨大な知識量と頭の回転の速さだろう。ゆっくり考えれば誰でも答えられる。

一番上の段は４個で２段目は４個見えているので（４＋４）個。３段目はさらに４個見えているので（４＋４＋４）個。４段目もさらに４個見えているので（４＋４＋４＋４）個。５段目も６段目もさらに４個ずつ見えているので（４＋４＋４＋４＋４）個，（４＋４＋４＋４＋４＋４）個より全部で、
４＋８＋１２＋１６＋２０＋２４＝４×（１＋２＋３＋４＋５＋６）＝４×２１＝８４個
ただし、等差数列の和の公式を使うと、４＋８＋１２＋１６＋２０＋２４＝（４＋２４）×６÷２＝８４個

ニュートンは元はバカだったが歴史に名を残す天才になったのは、小保方さんのようなタイプだったのだろう。念のため、小保方さんは初めから頭がいいが。（集中力が凄いらしい。）
次元を超えて頭が良く見えても膨大な知識量で煙に巻いている可能性が非常に大きい。そうじゃなかったら、ノーベル賞を取るような人は皆、頭脳王になるような人達だけだろう。
（子供の頃から蓄積されているから本人が工夫で思い付いたと思っていても膨大な知識量から来ている可能性が非常に大きいという事。だから前例がない発見などには集中力が強い人が貢献するのかもしれない。）

＞スパルタ式の英会話レッスンが始まった。

少なくとも英会話の能力は本物だろう。若い頃は苦労しておくものだね。

おまけ

参考資料１０６６