14本目(3月23日鑑賞)

見たことのない世界を創造するということ
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アーロと少年

監督:ピーター・ソーン/製作総指揮:ジョン・ラセター/脚本:メグ・レフォーヴ/音楽:マイケル・ダナ/ジェフ・ダナ
出演:レイモンド・オチョア/サム・エリオット/アンナ・パキン/A.J.パックリー/ジェフリー・ライト/フランシス・マクドーマンド/スティーブ・ザーン/(日本語VC)石川樹/松重豊/片桐はいり/八嶋智人/山野井仁/安田成美

恐竜が絶滅しなかった地球。三兄弟の末っ子として生まれたアーロは、気弱で小さく、いつも姉のリビー、兄のバックに遅れをとっていた。ある雨の日、アーロと父ヘンリーは食料を盗むヒトの子どもを追跡するが、増水した川にヘンリーが飲み込まれて帰らぬ人(恐竜)となってしまう。子どもを仇と信じたアーロは、再び現れた子どもを捕まえようとして川に転落。流されてしまう。

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ゼロからの創造。クリエイトとはそういうもの。賛否が微妙な塩梅の本作。不思議とhiroの周りに否定意見はなかった。当人もいたく感服し、お約束の涙付きで劇場を跡にした。

「もしも」の世界。しかも日常派生の「もしも」ではない。人類誕生前の壮大なるパラレル。常識など通用しない。いや、常識を持ち込んでいたらゼロからなど作れない。

ヒトが犬のよう。物語の主観が恐竜目線。食物連鎖の頂点であり、地上の王。人間に置き換えれば容易に想像できる。ならば犬猫を可愛がる我々を想像すればいい。ヒトを下に見ている、と腹を立てている方は、犬猫を下に見ていることに他ならない。

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トイ・ストーリー 」「モンスターズ・インク 」…名作揃いのディズニー・ピクサー。フルCGの画をベースに、妙に入り細に入りの脚本が人気。本作、それらよりストーリーが弱いのはたしか。シンプルさとネイチャームービーのようなクソ真面目さ。ストーリーよりも、シチュエーションと世界観の構築に重点を置いた「バグズライフ」的作品だと思う。

否定派の方々をも唸らせてるのが、実写のような映像。揺れる草木と流れる川が本物と見紛う。ここまでくるとどんな映像も作れてしまうから怖い。リアルすぎる鉄砲水のシーンは要注意。「カリフォルニア・ダウン」のように発券時と上映前の確認をお願いしたい。

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ディズニーアニメは日本語吹き替え可。むしろ吹き替え版を推奨。有名人声優であってもオーラ消しの術。極めて自然。「トイ…」の唐沢氏など、唐沢氏がウッディに見えてしまう逆流現象さえも。

アーロの石川樹くん。はまりすぎてて、キャスティングのコツをお聞きしたい。松重豊さんのドスも素敵で、どんな顔してマイクに向かっているのか、想像するとおかしい。

未見の字幕版では、サム・エリオットジェフリー・ライトを気にしていたところ、フランシス・マクドーマンドの名を発見。先日、出演作を観て認識したばかり。優しいママ役に違和感(笑)。

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クリエイターたちが常識一切を切り捨てたからこその、本作のパラレルワールドなんだと思う。常識という足かせがなければ何を作るのも自由。この際限のない自由がなかなかクレイジー。日常から逸脱するのではなく、日常すらないものとしなければならない。これをできるクリエイターが世界を創造できる。常識に囚われない…言うは易しだ。

誰も見たこともない風景を彼らは見ることができる。実は誰もが見ることができるのだと思う。ただ、目を瞑っているだけなんだと。



hiroでした。



脚本7 映像10 音響7 配役7 音楽7
38/50