HDD鑑賞
監督・製作:ロバート・ワイズ/監督・原作:ジェロームズ・ロビンス/原作:アーサー・ローレンツ/脚本:アーネスト・レーマン/作曲:レナード・バーンスタイン/作詞:スティーヴン・ソンドハイム
出演:ナタリー・ウッド/リチャード・ベイマー/ジョージ・チャキリス/リタ・モレノ/ラス・タンブリン
アメリカ、ニューヨークのダウンタウン。リフ(ラス・タンブリン)率いるポーランド系ジェット団とベルナルド(ジョージ・チャキリス)率いるプエルトリコ系シャーク団が抗争を続ける中、ダンスパーティーで出会って恋に堕ちたマリア(ナタリー・ウッド)とトニー(リチャード・ベイマー)。しかし、マリアはベルナルドの妹、トニーはジェット団元リーダー。二人は結ばれない運命にあった。
ローレンツ、ロビンズ、バーンスタイン、ソンドハイムらによるブロードウェイ・ミュージカルを同スタッフで映画化。ストーリーの下地がシェイクスピア「ロミオとジュリエット」というのは有名な話。対立する名家をダウンタウンの不良グループに置き換えた、許されない恋の話。
ヨーロッパ系アメリカ人とプエルトリコからの移民。人種的な対立構造が軸なのは、当時の混沌とした空気感。そんな中、自分たちに甘い顔を見せる警察にも牙をむくジェット団の面々。彼らの対立は、差別社会とは別物の若者の血のたぎりに他ならない。
彼らの怒りや焦燥、夢や希望があるからこそ、歌と踊りがその発露となる。彼らの唇、指先、爪先から発する感情が、観る者の心をつかむ。
「America」は自由の国アメリカ讃歌であり真逆な現実へのアンチテーゼ。男女の掛け合いに体が動く。
「tonight」はもはや伝説の愛の歌。階段でのデュエットは誰もが知る名シーン。
決闘に向かうジェット団、同じくシャーク団、ベルナルドの帰還を待つアニタ、平和を祈るマリア、決闘を止めようと走るトニー。5つのパートが別々の歌を唄い、やがてひとつのハーモニーとなる「五重奏」は、本作最大の見せ場。
仲間を失った怒りをなだめようとアイスが唄う「cool」は、イライラした時に効能あり。
当時、歌の声あては常識(歌手はノン・クレジット)。撮影中のナタリー・ウッドはそれを知らず、自分の生声が使われると思って、一悶着があったとか。しかも、本作のサントラが大ヒットしたらしく、声あての歌手もまた一悶着起こしたとか。
関係ないけど、これ観るたびに小森のおばちゃま、思い出す。「チャキリスちゃん、チャキリスちゃん」言ってたもんな。
原典が悲劇である。ミュージカル=ハッピーエンドの構図は成り立ちようがない。それでも間違いなく、ミュージカル映画の金字塔。
hiroでした。