6月9日

 

 

「ねえ、

三浦タカヒロさんって知ってる?」

 

「マームとジプシーの人?」

 

「ちがう、そっちじゃなくて」

 

「マームの三浦さんってさ、

最近、小説とかエッセイ

書いてるんだよね。

 

この前、本屋さんで見つけて

驚いちゃったわ。

すごいよなあ。

本谷有希子みたいになるのかな」

 

「だから、そっちの人じゃなくて」

 

「どっちのタカヒロ?」

 

「ほら、あのさ。

コルクの佐渡島さんとかの

本に出てくる方」

 

「あ。あー! GOの三浦崇宏か」

 

「あー! そうそう!」

 

「その三浦さんがどうしたの?」

 

「あんたさ、

三浦さんの本とか持ってないの?」

 

「いやぁ、持ってないなぁ」

 

「オッケー。じゃぁ、ポチする」

 

「三浦さんの本読むの?」

 

「そう、なんか気になってさ」

 

「なんで急に」

 

「その佐渡島さんの文章の中で、

三浦さんの本のことが出てきてさ」

 

「なんだっけタイトル?」

 

「観察力の鍛え方」

 

「ちがうちがう、

それ佐渡島さんの本のでしょ?

三浦さんの本」

 

「たしか言語化力、みたいなタイトル」

 

「あー、そうだ!

聞いたことある。

そうだよね、三浦さんって、

本出してるんだよね」

 

「そうなのよ」

 

「これは完全に偏見なんだけどさ。

なんか三浦さんの出演してる

動画とか見てると、

三浦さんって超合理的というか。

 

それが逆に恐さを

感じるというか。

だから、勝手に

ニガテなイメージ

持っててさ」

 

「そぉ?」

 

「だから、自分のアンテナが

反応しなかったんだよね」

 

「そうなんだ。

あんた好きそうだなと思ったけど。

もしかしたら本も読んでるかもなって」

 

「いやぁ、だからね、

買わなかったんだよね」

 

「あ、そう。じゃあ、ポチるわ」

 

「エライなぁ、ほんと」

 

 


 

 

 

6月12日

 

 

「今日の佐渡島さんのnoteも面白い。

ハルキのこと書いてある」

 

「ムラカミ?」

 

「そう」

 

「好きねぇ、佐渡島さん」

 

「佐渡島さんって、

文章読んでても、

ボイシー聴いてても、

あったかいんだよね」

 

「あの人も

編集者というより、

プロデューサーっぽい

感じだもんね」

 

「そぉ? 

なんかすごく大切に

漫画家を育ててる感じじゃない?」

 

「本とか読んだことないから

人間性とかは知らんけど。

なんか、ネ。

 

ある種の残酷さを

感じるというか。

 

まあ、プロデューサー

あるあるなんだけど」

 

「そぉかなぁ……。

息子の話とかもしてて、

すごく人間らしいというか。

優しい人間味を感じるけどね」

 

「え、ぼくと印象ちがうんだけど」

 

「ま、人間なんて好みだからね。

佐渡島さんのnoteとか読んでみたら?」

 

 

 


 

 

 

6月13日

 

 

「佐渡島さんのnote読んだ。

たしかに面白い」

 

「でしょ」

 

「うちに本って、

あるんだっけ?」

 

「あるよ。ずいぶん前に読んだ」

 

「かして」

 

「ええよ」

 

「てかさ。

これまでの自分の意見を

読み返すとゾッとするけど。

 

人って、

たいして知らないクセに

めちゃくちゃなイメージを

勝手に作り上げて、

意味不明な

バッシングするんだね」

 

「あたいも、

アンタがそんなこと言うの

珍しいなと思ってたよ」

 

「自分で自分が恐ろしくなったわ」

 

「謝ったほうがいいよ」

 

「本当に申し訳ございませんでした」

 

「完全にバイアスかかってたね」

 

「たしかに舞台とかでも、

バッシングする人って、

舞台を見てない人が

多かったりするもんね……」

 

「そうかもね」

 

 

「チケット買ってないのに

『チケット代が高すぎる!』

みたいなさ。

 

佐渡島さんとか三浦さんへの

ボクの反応も一緒だよね……」

 

「何度でも謝ったほうがいいよ」

 

「はい。本当にすみません」

 

「観てる人たちとか、

知ってる人たちからは

全然クレームが出ないもんだよね」

 

「ほんと気をつけよ」

 

 

「スタンプ」

 

 

「でも、ぼくのことも

勝手にイメージされて

批判とかされてるんだろうね」

 

 

「え」

 

「ん?」

 

 

「知らないの?」

 

 

「なにが?」

 

 

「あんたのこと書いたネットニュース」

 

 

「え!?」

 

 

「ブログかなんかを、切り取られて」

 

 

「嘘でしょ?」

 

 

「見なくていいと思うけど!」

 

 

「(電話)」

 

 


 

 

6月16日

 

 

「(電話)」

 

「おーい」

 

「(電話)」

 

「(電話)」

 

「大丈夫?」

 

 


 

6月17日

 

 

「(電話)」

 

「おーい」

 

「(電話)」

 

 


 

 

6月19日

 

 

「(電話)」

 

 

「佐渡島さんの

『観察力の鍛え方』読んだ。

めちゃくちゃ面白かったし、

勉強になった。

 

もっと早くに

読んでたらなぁ」

 

 

「(電話)」

 

「あんた大丈夫だったの?」

 

 

「本にも出てくるけど、

まさにぼく、バイアスかかってたわ」

 

「ねぇ」

 

「めっちゃ愛情持って

新人漫画家を育ててたし

 

「(電話)」

 

「大丈夫なんかーい?」

 

 

「あ、話は変わるけど、

あのネットニュース、

自作自演だったんだよね。

 

「え」

 

「注目されたくてさ。

 

自分のブログを切り取って、

刺激的なコメントつけて

裏アカで発信してみたの。

 

そしたら、

それがバズっちゃって」

 

 

「で、どうしたの?」

 

 

「関係者まわりに、

その説明というか」

 

 

 

「(電話)」

 

「なんで出ないの」

 

「ごめん、今、

電話の気分になれなくて」

 

 

 


 

6月20日

 

 

「電話でろ」

 

「大丈夫だから」

 

「とりあえず出て」

 

「発信しなかったら、

〈やる気ない〉とか

言われてさ。

 

発信したらしたで

「不適切だ」とか

言われる社会なんだよね

 

だからなんか・・・

 

せめてもの

悪あがきというか」

 

「(電話)」

 

「出てよ!」

 

「めんどくさいね、社会」

 

「スタンプ」

 

「(電話)」

 

「でも、改めて自分の発言が

跳ね返ってくるというか」

 

「(電話)」

 

「(電話)」

 

「電話でなさい」

 

「勉強になりました」

 

「スタンプ」

 

 


 

 

6月21日

 

 

 

「(電話)」

 

「ごめん、出れなかった。」

 

「(電話)」

 

「(電話)」

 

 

「すれ違うねぇ」

 

「ごめん

 

もう電話

繋がらないから、

文字で伝えることにするね」

 

「え、なに」

 

「こわ」

 

 


 

 

6月22日

 

 

「え、おーい!

なに、なんなの?」

 

 

「バッシングコメント、

あたいも書いてたの」

 

「ん?」

 

「ほんとゴメン」

 

「ん?」

 

「ん?」

 

「どゆこと?」

 

「いや、だから、うん」

 

「へ?」

 

「炎上に乗っかったというか」

 

「(電話)」

 

「(電話)」

 

「いや、出てよ!」

 

「ごめん、今、話す気分じゃない」

 

「なんでやねん!!!」

 

「あたいも、

あんたの悪口書いて、

炎上に乗っかったの」

 

「うそでしょ!?」

 

「まさか、

こんなことになるとは思わなくて」

 

「(電話)」

 

「いや、でろや!!!」

 

「SNSで、

あんたのブログのこと上がってきて、

読んでもいないのに、

辛口コメントというか。

書いちゃった」

 

「なぜ?」

 

「(電話)」

 

「なぜ?」

 

「・・・注目されたくて」

 

「え」

 

「そういう

ズバッと本音をいう系って、

賛同を得られやすいからさ・・・」

 

「・・・」

 

「誰でもよかったというか。

それが、たまたま

アンタだったというか

ほんと、ごめん」

 

 


 

 

7月5日

 

 

「(電話)」

 

「元気?」

 

 

「おっす。

なんとか元気にやってるよ

世界の見え方

変わった気がする」

 

 

「あたいも。

・・・ほんとゴメン」

 

 

「もう、いいよ! 

落ち着いたし!

喉元過ぎればナントヤラだよ!」

 

 

「うん」

 

 

「この世界にさ、

近道なんてないんだよね」

 

 

「せやなぁ」

 

 

「最近さ、

ディスクリプションとか、

するようになった」

 

 

「ああ、佐渡島さんの書いてたやつ?」

 

 

「そうそう。これからは

観察力が大事だなって」

 

 

「・・・そうだね」

 

 

「伝える方もさ、

もっと勉強しなくちゃと思って

 

 

「はい」

 

「そういえば、

平野啓一郎の

『本心』って持ってる?」

 

「ある」

 

「かして」

 

「ええよ」

 

 

「今週末って、暇?」

 

 

「うん、今度の土曜はなにも予定ない」

 

「オッケー。

じゃあ、三浦さんと

平野さんの本、

2冊借りにいくわ」

 

「わかった。

てか、あげる。

せめてもの償い」

 

 

「いいって、そのキャラ!」

 

 

「スタンプ」

 

「それでさ、提案なんだけど。

読書会というか、お互いのブログで、

それぞれの本の感想文

みたいなモノ書いてみない?」

 

「え、すごくやりたい」

 

「自分の言葉でさ、

正直に書いて」

 

「うん」

 

「伝える練習にもなると思うし」

 

「イイ! いいと思う!」

 

「うん、やってみよ!

地味な企画だけどさ。笑

 

地道にコツコツと、

楽しくやってこ。

 

「すごくイイ!

 

ブログだけじゃなくて、

二人でポッドキャスト

みたいなの始めても良くない?

 

読書会ポッドキャスト的な。

 

「なるほどね。

たしかにイイかも!」

 

 

「これぞ悪あがき!」

 

 

 

「ネタにすんな!!!笑」

 

ポッドキャストで、

炎上のこと言うぞ!笑

 

「本当にゴメンナサイ! 

でも注目度的にはアリかもwww」

 

「スタンプ」

 

「じゃあ、取り上げる最初の本は

佐渡島さんの本からいこっか!

 

「観察力の鍛え方?」

 

「うん、それだったら、

ぼくも最近読んだばっかりだし」

 

「オッケー!」

 

「ま、頑張っていきましょ」

 

「うん、ありがとう」

 

「とりあえず、土曜に行くから、

その時、また具体的に

色々打ち合わせしよ!」

 

「オッケー!」

 

「じゃ!」

 

「うん。また!」

「スタンプ」

 

 


 

 

 

 佐渡島庸平さんの「観察力の鍛え方」を読んだ。

 世界の見え方、捉え方が変わった。

 

 もはや感想文でもなんでもない。

 変な会話のヤリトリが頭に浮かび、書き殴ってみた。

 

 こういう会話ができる友人がいたらよかったなぁ。

 

 物語とか、書きたくなった!

 

 できることは、たくさんある、ね!