昨日の結果に落ち込んでいる親御さんとこども達に贈る
ハートウォーミングストーリー

ぜひお子様に読んで聞かせてあげてください。

この時期にこの物語を織り込む先生方の
心意気に惚れちゃいます😁





「きみのとうさんって、なんでいつも頭をぴょこぴょこ下げてんのさ」

そう言われたハゲ鷹の子どもはビクッとした。

「なあ、なにをいつもあやまっているのさ」
カンムリクマタカの子は更に続けた。

「あやまってなんかいないよ」
ハゲ鷹の子は平静を装って応えた。

「あやまってもらってもいいんだけどね。
だって、タカの名を汚しているもん」

「おんなじタカなのに、ぼくのパパとぜんぜんちがいすぎるじゃないか」

お前はいいよな、
ハゲタカの子は内心 毒づいた。
威風堂々とした父親はさぞ誇らしいだろう。
未来は明るいよな。

一方、うちの父さんは本当にうだつがあがらない…
ただでさえ、禿頭(とくとう)・赤黒く皺の寄った皮膚と冴えない風貌なのに、
だらんと下げた首が追い討ちをかける。

せめて背筋をしゃんと伸ばしてくれれば、
もう少し見映えがするじゃないか❗

ハゲタカの子も実は常々思っていたが、
風格さえ漂うカンムリクマタカの子に、
そう察せられるのは癪に障る。


他のタカの子達も、
「同じ仲間だなんて思われたくないんですけど」
と、ハゲタカを嘲笑う

「ぼくのパパは言ってたぞ。
死んだものを口にするなんて死んだ方がいいってさ」

ハゲタカの子はくちばしをかみしめた。

そうさ、とうさんは狩りをしない。
死にそうな動物を見つけては
しんぼう強くつけまわす。
そしてその動物の命がつきるのをまってからあさましくとびつくのだ。

もしこの草原にハゲタカたちがいなかったら、こまるのはみんなもわかっていた。

それでもそのようすには目をそむけずにはいられないものがあったのだ。

「ぼくはとうさんとはちがう」

ハゲタカの子は顔を上げ、胸をぐっとそらせてみせた。

「ぼくは臆病者にはならない。
だれにも恥ずかしくないりっぱな鳥になるんだ」
ところがみんなはかえっておもしろがり、いっそうはやしたてた。



「ああくやしい。あんなふうにいわれるなんて、死ぬほどくやしい」
ハゲタカの子は彼らから離れてひとりでないていた。

するとうしろからわらい声がきこえてくる。

「ヒャッ、ヒャッ、
   おまえ死ぬほどくやしいのか。
   くやしくて死ぬのか?」
わらいハイエナだった。

「おまえ死ぬか?
   もう死ぬか?
   いま死ぬか?」


「死ぬほどくやしくたって死んだりしません」
ヒナはくるりとふりかえり、
「ぼくを食べるわけにはいきませんから」

自分の死がだれかをよろこばせるなんてますますくやしい。


このハイエナも父親と同じように地面をなめるようなかっこうで上目づかいに相手を見る。

からだつきといったらまるで腰がぬけたように尻を落とし、そのすがたはいかにもなさけない。

わらっているような声も耳ざわりだ。

あれはただわらっているんじゃない、
悲しいからわらおうとしているんだ

とうさんにそう言われても信じなかった。
たとえ信じたとしてもいやらしさにかわりはない。

「ぼくはタカです。ほこりたかい鳥なんです。

   こんなところで死ぬわけにはいかないんです」

キッと天空を見据え、
そして初めて地から天に飛びたった。
(今までは、枝から落ちる飛行訓練だった)



中略
飛びたったハゲタカの子は、
クマタカの成鳥に襲われます

岩の隙間に隠れて難を逃れようと
必死に知恵を働かせます。


「せっかく飛べたのに、あんまりじゃないか」
「だいたいなんでぼくは
    ハゲタカの卵の中にいたんだろう」

「ねえクマタカ、なんであんたの卵の中にいるのがぼくじゃなかったの?」

「ぼくがクマタカの卵の中にいて、
   あんたの子がハゲタカの卵の中にいたってよかったのに。ねえ、なんで?」

「さあてな、そういう運命だったんだろう」
そう言ってクマタカは
くちばしをすきまにつっこんできた。

逃げながら必死で頭を働かせたハゲタカの子は妙案を思い付く。
そうだ死んだ振りをするんだ❗

何とか死んだ振りをして
ハゲタカを騙したものの、
今度はハイエナに狙われた。
奴も死肉を喰い漁る奴だ。

最後にはハイエナにくわえられ、
それでも必死に抵抗を試みるハゲタカの子

だが、なんとハイエナは味方だった。
あまがみだったのだ!

「ぼうず、わしも見習いたいくらいのいい演技だったな」

そう言うと、だらしなく垂れた片目をひょいとつぶってみせた。

ハゲタカの子は目をあわせないままで頭をさげた。

「ありがとう。おかげでたすかりました」

「いずれはおやじさんのような
   立派なハゲ      タカとなる身。
   みすみす あんなばか鳥に
   食わせるわけにはいかんだろ」

「え?
    ぼくはとうさんとはちがう。
    勇敢なタカだ!
     ちゃんと獲物は自分でしとめる勇者になるんだ」

「ほぉ。命をとるのが勇者ってのかい?」

「そうだ!ぼくは勇者として、
  ほこりをもっていきるんだ」


「ふむ、誇りをもつのは
   大事なことだとも」

「さて、それではおまえのおやじさんたちの誇りを見ようではないか?」

そう言って、ハイエナのじいさんは
荒い息をつきながら、
岩場を登っていった。

ようやく着いた頂上から草原が見渡せた。

一頭のシマウマが少し遠くに横たわっていた。
どうやら今際の際(いまわのきわ)らしい

※臨終(りんじゅう)=死ぬこと

その上には、待ちかねたハゲタカが群れをなす。
父もその中にいた。

「どうせ死ぬのを待ってるんでしょ」
「そうだ。ああして命の終わりに付き添っておるんだ」

ハゲタカたちはシマウマの前におり立った。
そして頭(こうべ)を低く垂れた。

暗い色の鳥たちは翼を広げて、
縞馬の身体を覆っていく。

「あの口煩かったシマウマの婆さんも、
   なかなかしぶとく生きたからなぁ」

「そんな言い方はひどいよ」

「あのはもう年をとりすぎた。
   つれていってもらってホッとしとるだろ」

「どこに?」
「そんなこともしらんのか」
ハイエナはヒナを見つめ、
そのあと目玉だけをくるんと上に向けた。

「上って・・・空のこと?」
ハイエナはうなずいた。

「それが仕事なのだとおまえのおやじさんはいっとったぞ。

   死んだものを食うことは
   その魂を天につれていくことだと。
   それが神さんとの約束だとな。

    まるで天にいる神さんと
    しょっちゅう会ってるみたいな
     言いぐさだった」

ハイエナは小さくわらい、
「それがハゲタカの誇りなのかもしれんなぁ」

「ハゲタカのほこり?」
そんなものがあるなど、
ヒナは考えたこともなかった。

「ほこりなんてあるの?
   みんなからあんなにバカにされている父さんに」

そう口にしてしまうと、
まるで刺のある草を呑み込んだように
ヒナの胸は痛くなった。

「なあぼうず。みんなからどんな風に思われたって構うことはない。

   自分が決めた一つの星に
   恥ずかしくないように生きていけりゃ
   それでいいんだ」

そう言って、ハイエナは静かに目を閉じ、
二度と目をあけることはなかった。












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