安倍晋三の終わりの始まりです。
憲法学者に安全保障関連法案についてどう思うか、中日新聞がアンケートしています。そのときの意見が掲載されました(7月12日)。大事な視点だと思ったものを引用します。
〇大量破壊時代の今日にあっては戦争をしない国際関係を構築することが国家存立の基礎であり、わが国の憲法はその点からみても人類史的意義を持つ。
石崎雅也(新潟大学)
〇人類の英知が9条には詰まっている。将来、9条が世界基準になったとき、すばらしい理念を持つ条文を捨てた国として日本は評価される。嘲笑の対象になるのは想像に難くない。 高良鉄美(琉球大学)
〇武力行使をしないと自らの手を縛る国のみが、国際紛争の平和的な解決を真摯に、そして粘り強く追求することができる。そこに9条の現代的意義がある。
岩本一郎(北星学園大学)
〇軍事力によって平和や国民を守るという発想は時代遅れ。すでに膨大な軍事支出が多くの国民、とりわけ社会的弱者を苦しめていることに目を向けてほしい。 右崎正博(独協大学)
〇安保法案は明白に違憲、無効だ。憲法と法律の上下関係も知らず、立憲主義も理解できず、判決の読み方も知らない政治家の提案による改憲は、砂糖と塩の違いも知らずにケーキを作るようなもの。味見すら恐ろしい。
高橋雅人(拓殖大学)
〇集団的自衛権行使を認めた閣議決定自体が違憲だ。安保環境の変化に対しては、憲法の恒久平和主義の下でどのように対応することができるかを国民全体で考えることが必要。 畑尻剛(中央大学)
〇政府が堅持してきた憲法解釈は、それ自体が不文の憲法の一部を構成していると評価すべきだ。抜本的に変更する場合、改憲の手続きを取らねばならない。
甲斐素直(日本大学)
〇政治家の一部は、憲法学者が現実の政治を見ていないと非難している。だがむしろ今の政治家にこそ、現実の政治から目をそらし、自分に都合の良い解釈を展開しようとしている者が多いのではないか。 渋谷秀樹(立教大学)
〇首相は「国民の生命と安全」を守ると言うが、そのルールは憲法で定めている。時々の政権の一存や、国会の多数決で法律を作り、ルールを変更することは許されない。政治家にとって最低限の常識のはずだ。 中島徹(早稲田大学)
〇安保法案は、集団的自衛権を認める点で違憲である。違憲の武力行使一体化をもたらす危険性が高い。憲法9条の改正は、周辺諸国との軍拡競争を招き、かえって日本の安全保障を損なう。 長谷部恭男(早稲田大学)
〇国民世論の多数が反対し、多数の憲法学者が「違憲」とする法案をなぜ安倍政権はごり押しできるのか。真の「民意」(得票率)と議席占有率が乖離しているからだ。比例代表中心の選挙制度に改めなければ、数の横暴は続く。
長嶺信彦(愛知大学)
〇政府は社会保障や派遣労働の制度を劣化させつつ、他方で「国民の生命、自由および幸福追求の権利」を持ち出して「集団的自衛権」を主張している。これは全く一貫しない態度だと思う。 高橋洋(愛知学院大学)
〇日本国憲法の平和主義は世界史的普遍性と先進性を有しており、9条を世界に広めることが、日本の行うべき積極的平和主義である。小松浩(立命館大学)
〇個別的自衛権と集団的自衛権は全く別物。個別的自衛権の延長上に一部の集団的自衛権を位置付け、憲法上認められているとする現在の政府解釈は、論理的に成り立たない。 市川正人(立命館大学)
〇政治家が憲法を守る気がない点は欧米にはほとんど見られない。憲法より政治を上位に置く思想は近代以前の極めて野蛮な考え方である。
多田一路(立命館大学)
〇政府はアジアの平和を模索するのでなく、外交能力の不足を軍事に頼ろうとしている。抑止力というが憲法の禁止する「武力による威嚇」である。平和主義を外交の基本に据える立場に戻ることを望みたい。 永田秀樹(関西学院大学)
〇立憲主義、法の支配に照らせば、従来の政府解釈は簡単に変更しうるものではない。仮に今回の法案が本当に必要であれば、正面から改憲を提起し、実現した後に整備すべきだ。そうした作法を守らない政治は立憲主義に違背する。
塚田哲之(神戸学院大学)
ついでに自民党のネット番組で、安倍晋三が安全保障関連法案について説明したものをのっけます。
「安倍は生意気なやつだから今度殴ってやる」という不良がいる。
たとえば私の友だちのアソウさんという人が「おれはケンカが強いから一緒に帰って守ってやるよ」といって一緒に帰ってくれて、そこに3人ぐらいの不良が出てきて、いきなり私のまえにいるアソウさんをまず殴りかかった。私とアソウさんと一緒に対応する。私もアソウさんをまず守る。これはまさに、今度の平和安全法制において私たちができること。
知性が剥落するとこうなるのか?オイオイ、お前を殴りたくない国民がいるとでも思っているのか?