ドキュメンタリー映画『先祖になる』をみてきた。
池谷薫監督って、すごいなぁ。『蟻の兵隊』(2006年)のときも思ったけど…。
岩手県陸前高田市の佐藤直志さん(77)は、農林業で生きてきた。大津波で亡くなった長男の慰霊し先祖を守るため、仮設住宅への移住を拒み、元の場所に新たな家を建てようと決意する。
穏やかな人柄、彼の人間くさい語りと一挙手一投足をカメラは最近接で追い続ける。
そこから浮かび上がる彼の〈生き方〉〈生きざま〉は、見る者の注意を2時間近い上映時間中、一時もそらさせない。
周りの目を気にしてちょっと恥ずかしかったけど、僕はずっと涙腺がゆるみっぱなしだった…(笑)。おかげで、ハンカチは濡れたまま。
無理かと思われていた「七夕けんか祭り」を、震災後最初の年にやりとげた青年団長が「町内会を解散すると役員(の長老たち)は言ってるが、俺たちはあきらめない。やりとげる!」と叫ぶシーンでは、涙があふれ出した。
必見です。
直志じいちゃん(と監督)の執念の奥にあるものは何か、ぜひ見極めてほしいと思います。
地域で生き、働き、家族の暮らしを重ねてきた民衆の歴史の重さを感じずにはいられません。
真の復興とは何かを描き切ったすばらしい作品です。