県道の拡幅にともなう、我が家の土地収用の件、

 


7月9日、契約書にハンコを押した。

県と私とN氏(…N氏のことは、この記事の後半に書く)との、「三者契約」なので、公式の契約日時は前後するかと思うが、
1~2年後には、道路用地を引渡さねばならない、そのかわりにN氏の土地が代替地として早々に私のものになる、という契約である。

もちろん、建物の取り壊し・構外再築のための、補償金の請求も含んでいる。

 

あえて、上のリンク記事は書き直さずにいるが、

その後、認識の間違いも指摘され、私の方向転換もあったので、

経緯に沿って、それを記しておく。

まず、私のところの用地交渉が最終らしいという推測は間違いで、
浦之島公民館から、苗加用水までの150mほど、
例の、「土地は売らない」と言っている不在地主の田んぼを含む用地は、

まだ交渉も事前調査もないようだ。

 

また、「残った土地で生活も商売も」という方針だったが、
それも変更を余儀なくされている。
 

事の発端は、「ゴミをとっておきたい」という話である。

いま、無駄に広い工場の多くを占めているのは、
中途半端に残った材料、

さまざまな樹種の木材や、合板ポリ板メラミン板、金具類などで

客観的な評価など、ゼロに近いものばかりである。
それらを、コストのかかった新しい建物に収容するのは不合理である、

処分するか、野外や簡単な小屋に収納するかしなければ、ということに気づいた。


現場で出た廃材も、できればリサイクルしたいほうで、これらを捨てるのは忍びない。

とっておくためには、近くにいくばくかの土地が要る。


ちゃんとした建物の建築コストを、床面積で㎡(平米)あたり、仮に15万円(坪50万円)とする。

土地は、このあたりなら、㎡1万円から3万円もしないだろう、
10㎡弱の物置や小屋なら、新品でも30万円ほどからある。中古の建物ならもっと安い。
 

耐久年数に難はあるが、土地と小屋と合わせても、100㎡ほどの「床面積」を確保するのに800万円ぐらいですむものならば、たとえば、新築する建物を3階建てにして床面積を確保よりも、ずっと合理的だ。

(上に書いた「ちゃんとした建物」の価格なら、床面積100㎡で1500万円となる)


実はこのあたり、私たちが来る昭和40年より以前から、一軒の家があった。
古い木造住宅で、最後までトイレも汲み取りだっただろうと思うが、一軒家にしては安かったのだろう、ときおり借りて住む人がいた。

空き家の期間も長く、今から10年ほど前になって、ついに建物は取り壊された。

裏に大きなケヤキや栗の木があって、うちの子も栗拾いをしたが、

木々もすべて切られて、更地になっている。

細い道を隔てて、うちの「はす向かい」で、敷地どうしの距離は、4mしかない。

記事冒頭の写真が、その空き地である。500㎡ある。

 

そして、現在その空き地を持っていらっしゃるのが、市内の別のところにお住まいのNさんなのである。
 

Nさんの父親が昔ここを買われたということで、土地への思い入れはあまりないはず。

年数回、草刈りにはいらっしゃるが、固定資産税も含め、負担ばかり感じていらっしゃるのでは、と推測して、せめて借りることなどできないか、土木センター(用地課)の了承を得て、ご相談に伺った。

 

その際、二つの問題が用地課からは指摘されていて、

A.ひとつは、この土地へ通じる道の幅が3mしかなく、「敷地は4m以上の幅の道路に面していること」という、建築基準法の規定に合わないこと。

B.もうひとつは、ウチの道路用地の代替地として非課税でNさんが売れるのは、収用予算465万円まで、ということで、500㎡の宅地は、㎡あたり1万円以下になってしまうか、分筆するか、ということになること。

 

それぞれに対策もあるのだが、Nさんに直接あたってみたところ、

そもそも、使うあてもなく、ましてそういうことでは単純に売ることも難しいようだ、

安くてもこの際処分したい、と、あっさり465万円で譲っていただくということになった。

 

Bの問題は解決したが、その解決理由でもある、Aの問題が残っている。

 

お隣に土地を融通してもらって、道路幅を広げればいいかと思っていたが、
それは、すっきり断られてしまった。

用地課の担当さんは、「ものによっては建てられるらしいです」と、
よくわからないアドバイスである。

相談している設計士さんに、「はっきり聞いとかなくちゃ!」とはっぱをかけられ、

市役所や、土木センターの建築課をまわって、話を聞いてきた。

 

市役所では、

この土地は、建築基準法のできた昭和29年以前から道路に面して家のあったところなので、「みなし道路(2条道路)」と認められるのではないか、という話だったが

建築課では、

建築基準法上「家が建ち並んでいた」という表記なので、一軒あったというだけでは「みなし道路」として認められない、という。

ただし、以前も住宅があったのは明らかなので、同様に普通の「住宅」であれば、「建築許可」は出します、とのこと。

 

結論として、

現状のままでも、Nさんから譲っていただくこの土地に、住宅なら建てることができる、
ということで、ある。

 

従って、

現在の土地(苗加303)に建て直すのは、工場兼倉庫、そして住民票もここ、

Nさんの土地(苗加305)に、主たる住宅を建てる

ということになりそうである。


正直な話、当初思っていたように、

残った土地に工場と住居を兼ねた建物を建てるには、

建築費が補償金を大きく超えてしまいそうなこと、
また、引越しが、生活面も仕事面でも2回になるため、
それこれが収入減と支出の増大につながり、経済面が厳しいこと、

計算して、ちと行き詰ってもいたのである。

 

工場だけであれば、既存の建物の骨組みを利用する手もある。

コストダウンにもなって、光が見えてきたのである。