グーグルのロゴが9月から変わって、なんだかいまだに違和感があるのだが、
「福祉」で検索すると、冒頭に、ウィキペディアの以下の定義が表示される。

福祉ふくし、英: Welfare)とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉であり、すべての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念を指す。

日本で「福祉」という言葉は、社会保障の一部として、主に「困っている人」を社会的に救済する、その制度・政策について使われることが多いが、
本来は、「すべての人に」あてはめるべきものである。
思えば、「困っている人」というのも、とても主観的で曖昧な概念である。

ベーシックインカムについて考えたりすると、とりわけそう思う。
福祉は、すべての人の問題である。

福祉の意味は、常に問い直されなけばならないと思う。
なぜなら、「しあわせ」や「ゆたかさ」も、人によって、また時代によって、違うのだから。

  ◇

だが、現実に福祉政策の対象にされているのは、「困っていると、想定される人」たちである。

最も話題にされるのは、高齢者だろう。
少子高齢化によって、ボリューム(人数)がある。
これまでの年金政策は、現役に大きな負担を求め、そのぶん、老後に大きな保障を約束してきた。
生活、医療、介護、多重の「コスト」が想定され、それぞれの「公的保険制度」がある。

年を取れば、できないことは増える。病気にもなるだろう。
だが、よくよくみれば、高齢者だからといってさほど困っているわけではない。
行政と、制度を支えるべき若い世代が、途方に暮れているのだ。

次にくるのが、「病気」や「障害」の人たちであろう。
病気は、診断され、病気や症状に名前が付く。保険の対象になる。
障害と認定されれば、手帳を給付され、年金をもらう。

だが、それで「困っている人」は困らなくなるのだろうか?

子供の福祉も話題になる。
虐待など、「困っている子供」もいる。

ただ、よくよくその現場を見れば、救済すべきは被害者ではなく、加害者のほうだったりする。
いじめをするものがいなくなれば、いじめられる子供はいなくなる。
親が虐待に走らなければ、そもそも虐待問題など起こらない。
助けるべきは、そちらなのではないか?

あと、失業対策や生活保障など、貧困にまつわる福祉政策もある。

金のない人は、マジ、困っている。

  ◇

今月1日付で書いたように、
障害者の「就労継続支援」事業所の設立を、手伝っている。
仕方なく、少し勉強した。

障害者福祉は、「障害者基本法」にのっとり、具体的な制度が、
社会福祉基礎構造改革(H9~)を経て、
「障害者自立支援法」(H17制定、H18施工)ができ、さらに今は
「障害者総合支援法」(H25~)へと、変わってきている。

おおもとのおおもと、障害者基本法の、第一章・第一条「目的」が、H23年の改正で変わったのだ。
長いが、内閣府のサイトから、すべてコピペする。

(旧)
第一条 この法律は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて障害者の福祉を増進することを目的とする。

(現)
第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。


以前は、障害者の「自立と社会参加」が目的だった(つまり、障害者とは「自立できていない、社会参加が不十分な人、という理解だった?)のに対し、

「基本的人権を尊重」し「分け隔てのない」「共生社会」をつくることが目的となった。

障害者の問題は、めでたく、すべての人の問題になったのである。

  ◇

一方で、「障害」の範囲は広がり続けている。

身体障害、知的障害に加え、精神障害、発達障害、難病なども障害に含まれるようになってきている。

それは、誰もが障害者の予備軍であり、家族に障害者を抱えうるという現実の反映でもある。

そして一言で障害者と言ってしまうのもはばかられるほど、障害はさまざまで、一律に扱えるものではない。

だからこそ、「自立」などという抽象的な概念に追い立てるのではなく、
ひとつひとつの、まさに「障害」となるものを取り除くことで、「共生社会」を目指し続けなければならないということのようである。

そのために、障害者総合支援法では、
就労支援、生活介護、重度訪問介護、同行援護、グループホームなどなど、さまざまな「障害福祉サービス」が想定されており、また相談支援事業所なども整備されている。


(その2に続く)


https://ameblo.jp/higashinojiri/entry-12082645328.html




「これならわかる<スッキリ図解>障害者総合支援法」を参考にしています。

※このテーマ、「はたらくひらくふくし」内では、「障がい」「障碍」ではなく、法律に基づき「障害」の表記を使用しています。

※下の写真は、とある障害者の自宅葬の様子。

真由美