世は群雄割拠の戦国時代。
わしは北条氏康(ほうじょううじやす)です。
1567年、上総国の三船山の戦い(みふねやまのたたかい)で敗れた氏政(うじまさ)が小田原城(おだわらじょう)に戻ってきました。
三船山の戦いには氏康さんは出陣せず氏政さんに任せたんだけど里見氏(さとみし)に負けちゃったんだ。
氏政「父上…申し訳ございませぬ!今一度、機会をお与えください!」
氏康「氏政…なぜ負けたか、わかるか?」
氏政「それは……。」
氏康「負けた訳もわからず、再び出陣したら、今度は命がないぞ!里見を甘くみてはいかん!」
氏政はわしに叱咤され、落ち込みました。
その頃、甲斐国から綱成(つなしげ)が戻ってきました。
綱成はわしの元に甲斐であったことを話してくれました。
氏康「信玄(しんげん)にあったのか。」
綱成「はい。私の正体を見抜いた上で、それを言わず相対してくれました。そして…民を大切にしています。」
氏康「我が北条の教えと同じだな…だが武田は駿河に攻めることになるだろう。」
綱成「それは三国同盟の崩壊…、」
氏康「先日、駿河の今川氏真(いまがわうじざね)から甲斐に塩を送らないでくれと書状がきたのだ。」
綱成「塩止め…それだけで武田がこまりましょうか?」
氏康「甲斐の民が困るであろう。その民のため、信玄は駿河を攻めることになる。」
綱成「大殿はいかがされますか?」
氏康「…力無き氏真は我が娘、泉(せん)の夫。助けてやらねばならん。しかし、塩止めなど喜んでやるわけではないのだ。」
氏康さんは塩止めをしたけど、辛い立場だったんだね。
わしは綱成に三船山の戦いで我が北条が負けたことの詳細を伝えました。
綱成「武田と同盟が切れるとなると…武田、里見そして上杉(うえすぎ)と三方に敵がいることになります。」
氏康「うむ。此度の勝ちで里見は勢力を盛り返すであろう。綱成、そなたが里見を抑えてくれ。」
綱成「…いえ、その役目は我が嫡男・康成(やすしげ)に命じて頂けませぬか?」
氏康「康成に?康成も三船山の戦いに水軍として出陣したが…なぜだ?」
綱成「大殿、戦は次世代に任せねば北条の未来はありませぬ。1度負けたからといって任せぬでは息子たちは育ちませぬ。息子たちを信じてやりたいのです。」
綱成は信玄が自らの嫡男に謀反され苦しんだことを知り、北条がそうならないためにと思っていたのです。
信玄さんの嫡男・義信(よしのぶ)さんは幽閉されて1567年に自害したんだよ。信玄さんも辛かっただろうね。
氏康「…綱成の言うとおりだな。よし、康成は里見の抑えとしよう。綱成は武田との戦に備えておくのだ。」
綱成「はっ!」
翌1568年、ついに武田信玄は駿河に侵攻していったのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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