世は群雄割拠の戦国時代。
わしは北条氏康(ほうじょううじやす)です。
1567年、氏政(うじまさ)は里見氏(さとみし)に留めを刺すべく、里見義弘(さとみよしひろ)の居城・佐貫城(さぬきじょう)攻めを開始しました。
氏政さんの弟・氏照(うじてる)さんは義弘さんの父・義堯(よしたか)さんの居城・久留里城(くるりじょう)を攻めるために向かったんだよ。
その頃、綱成(つなしげ)は忍びの美咲(みさき)を連れ、甲斐国に入っていました。
出立前に綱成はわしに許しを得に来たのです。
氏康「内密に甲斐に行きたいと?」
綱成「はい。武田信玄(たけだしんげん)の領国・甲斐を1度見ておきたいのです。民や領地の様子を知っておきたいのです。」
氏康「信玄を知っておきたいと言うのだな?」
綱成「上杉輝虎(うえすぎてるとら)が苦戦した相手。輝虎は欲で領地を奪う悪とみていたようですが、自らの目で見ておきたいのです。」
氏康「うむ。同盟崩壊をした場合のことを考えれば綱成も知っておくべきだな。ただ今は同盟関係とはいえ他国、用心せねばならんぞ。」
綱成「塩売りの商人に身を変えて入ります。」
綱成はこうして甲斐国に入りました。
三国同盟はまだ崩れてはいないけど信玄さんは今川氏(いまがわし)の娘を正室に持つ嫡男・義信(よしのぶ)さんを謀反をしたとして幽閉していたんだ。
綱成と美咲は塩を運ぶ商人の列に加わっていました。
綱成は甲斐国で田畑で働く民の様子を見入って、時折、民に声をかけていました。
綱成「作物の出来はどいだい?」
民「今年もいい出来だぁ。これも御館様のおかげだなぁ。」
綱成「御館様とは武田のかい?」
民「そうだぁ。昔は川が増水して田畑や村が流されて大変だったからなぁ。それを御館様が川の流れを留める堤を作ってくれてな、わしらは信玄堤(しんげんつつみ)と呼んでるだよ。」
堤って堤防のことなんだよ。
美咲「殿、信玄公は民に慕われているようですね。川の氾濫を防ぎ、田畑で働くものは助かってます。」
綱成「うむ。作物がたくさん取れれば石高も上がる。だがそれだけではない。」
美咲「といいますと?」
綱成「川を整備すれば軍が制限されることなく動けるということだ。増水すれば軍の進む道は限られるからな。」
美咲「殿、武田の館が見えてきました。」
綱成は武田氏の館に入ることに成功し、そして信玄を見たのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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