世は群雄割拠の戦国時代。
わしは北条氏康(ほうじょううじやす)です。
1564年1月8日、国府台の戦い(こうのだいのたたかい)の後の北条の陣中で氏政(うじまさ)をかばい、風魔(ふうま)の棟梁・小太郎(こたろう)が賊に撃たれ亡くなりました。
その賊は綱成(つなしげ)や美郎(よしろう)に追い詰められて、その正体を明かしたのです。
賊「わしは足利茶々丸(あしかがちゃちゃまる)の子、高政(たかまさ)だ!」
足利茶々丸さんって北条氏の祖・早雲(そううん)に討たれたんだ。
綱成「茶々丸は伊豆の深根城(ふかねじょう)の戦いで亡くなり、子はいないはず…。」
高政「わしの母その深根城の陣中で父に見初められ関係を持ち、戦後にわしは生まれたのだ。」
美郎「深根城の戦いでは城にいたものは全て討たれたはずだか、生残りがいたとは…。」
早雲さんは深根城に籠城した民まで殺害したんだ。見せしめのためだったんだよ。
高政「母は命辛々、城から逃げたが、その後も北条の詮索を逃れ、わしを育てた。わしは…我が父の領地を奪い、母を苦しめた北条を恨んだ!北条を潰してやると誓ったのだ!」
綱成「…それで北条の者を暗殺したのか?」
高政「氏綱(うじつな)、為昌(ためまさ)、氏親(うじちか)…皆、殺してやった。氏政も殺すはずだったがな。」
綱成「北条を潰したら、その後はどうするのだ?」
高政「わしは…恨みを晴らしたいのだ。早雲の系統を根絶やしにするのがわしの望みだ!」
綱成「北条がいなくなれば関東はまた荒れる。民の住める地は関東にはなくなるのだぞ。」
高政「ふっ、民など、わしには関係ないわ!」
綱成「…貴様」
ザクッ!!
綱成は高政を一刀両断に斬ったのです。
綱成「これ以上、語るな。」
綱成は恨みを晴らすだけの欲しかもたない高政を許せなかったのです。
わしは事の顛末を聞きました。
氏康「祖父が行なった唯一の惨殺の報いがこんなことになるとは…。」
綱成「されど今の北条は民から慕われております。」
氏康「うむ。亡くなったものの為にも関東を平定し民のための国を作らねばならん。」
その後、綱成は高政を丁重に弔ったのです。
国府台の戦いで北条に敗れた里見義弘(さとみよしひろ)率いる里見軍は安房国に撤退したのです。
しかし、里見には隠居した里見義堯(さとみよしたか)がまだ健在でありました。
義弘「父上、申し訳ございませぬ。」
義堯「油断したな。」
義弘「兵を立て直し、すぐにでも…」
義堯「待て!今は安房に引きこもるのじゃ。いずれの好機を待つのじゃ。」
里見は死んではおらず反撃に転じるのですが、それはまだ先の事。
国府台の戦い後、北条軍は里見に付いた太田資正(おおたすけまさ)を岩付城(いわつきじょう)から追放し、武蔵国の大半を平定したのです。
しかし、これに黙っていない上杉輝虎(うえすぎてるとら)が再び動き出したのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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