世は群雄割拠の戦国時代。
わしは北条氏康(ほうじょううじやす)です。
1564年1月8日、我が北条軍は夜討ちにより里見(さとみ)軍に勝利しました。
氏康「氏政(うじまさ)、綱成(つなしげ)!よくやった。里見の背後に回り込んだ動き、見事であった。」
氏政「ははっ!里見が酒を飲み、浮かれていたので我らの移動に気づかなかったのが勝因です。」
氏康「あれは我が忍びの働きじゃ。綱成と忍びの策じゃ。」
氏政「忍び?風魔ですね?」
綱成「北条軍に内通していた土岐為頼(ときためより)殿の家臣に忍びがなりすまし、為頼殿と忍びで里見義弘(さとみよしひろ)に祝い酒を勧めたのです。」
里見軍は初戦に勝ったんだよね。正月ってこともあって義弘さんは兵に酒を振る舞ったんだよ。
氏康「初戦で北条の先方が討たれ、我らが退く姿を見せたのも策の1つであった。それを見て義弘は完全に油断したのじゃ。」
氏政「さすが綱成じゃ。」
綱成「有難きお言葉にごさいます。」
その時!
バンッ!!
綱成「鉄砲⁈ 氏政様!!」
氏政「…わしは大丈夫じゃ。」
そこには氏政をかばい、鉄砲に撃たれた小太郎(こたろう)が倒れていました。
氏康「小太郎!!」
小太郎「うっ…美郎(よしろう)!賊を捕らえよ!」
美郎は小太郎が言うや動いていました。
氏康「小太郎!死んではならん!」
小太郎「……大殿、賊は北条家を狙う暗殺者でしょう。」
綱成「またしても…。」
小太郎「大殿、氏政様…私の後、風魔の頭は美郎にすることをお許し下さいませ…。」
氏康「何を申す!」
わしは小太郎の手を握りました。
小太郎「……忍びが大殿に手を握って頂くとは、私は幸せ者でございます。あ、ありがとう…ございま…す………。」
小太郎は逝ってしまいました。
小太郎は忍びの風魔の頭の2代目だったんだよ。
「賊を追い詰めました!!」
賊を追っていった美郎ら忍びの者らからの声で綱成はその場へ走りました。
賊は風魔の者らに囲まれていたのです。
綱成「貴様!!」
賊「……もう少しで氏政を討てたのに!」
美郎「お前は里見にいた忍びだな!もう逃げらぬぞ!」
賊「大泥棒の北条め!!根絶やしにしてやろうと思ったのに!」
綱成「大泥棒とは!貴様、何者だ⁈ 」
賊は変装していたが素顔を見せました。
そこにはかなり年老いた顔が現れたのです。
賊「わしは…わしは足利茶々丸(あしかがちゃちゃまる)の子だ!」
綱成「茶々丸⁉︎ 」
綱成は驚愕したのです…。
つづく…
次回をお楽しみに〜
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