1600号「『赤毛のアン』の幸福論」
砂辺光次郎
講義録1600
(2009/4/12)
(プリンス・エドワード島のアン)
『赤毛のアン』を読むと、
広々とした自然と、青い空、
草花の色彩の豊かさ、
アンの豊かな空想力、
アンの生命力、
に感化され、読む私たちもいっしょに幸福感を味うことができます。
(アンの家)
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アンは孤児院にいるときは、空想することができませんでした。
しかし、プリンス・エドワード島に到着し、美しい自然と青い空を見たときに、一気に空想力が開花しました。
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アンの空想力は周りを感化させます。
アンを孤児院に戻そうとしたマシュー(60歳代の男性)の気持ちを変えてしまい、
頑固で厳しいマリラ(50歳代の女性)の気持ちも変えてしまいます。
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アンが、結局、マシューとマリラに引き取られることになって、アンに家庭ができました。
このことによって、アンの幸福感はいっそう高まります。
アンの感化力によって、どんどん幸福を創りあげている、と感じます。
アンは空想力ではなく、生命力と未来創造力をその中心に持っているのだと思います。
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『赤毛のアン』が、多くの人に読まれ、愛されているのは、こうした生命力と未来創造力を、シャワーのように浴びてしまうからではないでしょうか。
私たちもいっしょに感化されて、幸福感を味わえるのです。
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『アン』の作者モンゴメリーのルーツはスコットランドだそうです。
アイルランドやスコットランドには、ときどき、妖精のような女性がいるそうです。
この話は、茂木健一郎氏の本で知ったのですが、
こういう女性は、どこか空想の世界に住んでいるような感じで、夢の世界とこちらの世界を行き来しているそうです。
ただし、こちらの生活は、こちらの生活できちんとできているそうです。
アンの魅力もこうしたところから来ているのではないかと思いました。