NHKで、昨日&今日とマイケル・サンデルの「ハーバード白熱教室」という番組が(再)放映されている。昨年放送され、書籍化され話題となった、政治哲学の入門講義である。


僕自身がアメリカ留学時代、政治哲学を専門的に勉強していたこともあり、また、サンデルの本も読んだことがあるとの経緯もあって、今回の現象にはとても興味を抱いていた。


なぜ、この時期に政治哲学という非実際的かつ硬派な分野の大学での講義が、通常このような学問分野にはありえないほどの関心を、日本人の間に巻き起こしたのであろうか?


考えられる理由はたくさんあるだろう。そのなかで教育者である僕の興味を引く点は、アメリカの大学の講義の様子がここまでライブリーなかたちで公開されるのは滅多になく、初めて目にする人も多かったことである。教授の熟練したプレゼンテーション技術、質疑応答(ソクラテス法)によって進められる展開、そして、なかでも学生が自分の意見を積極的に述べる様子などに、衝撃を受けたひとも少なくなかったのでは?


しかしながら、それはアメリカの一流大学ではよく目にする風景なのである。確かにサンデルの今回の講義は特別に出来が良かったかもしれないが、教授の授業の進め方や学生の積極的参加などについては、アメリカの高等教育のごく一般的な特徴なのだ。


そして、それらの特徴は、高等教育においては客観的に優れた方法だ、というのが僕の持論でもある。とくに日本の大学の教育現場と比べて、うらやましく思った人は多かったはずだ。伝統的な日本の大学の講義~一方通行の講義、低レベルのプレゼンテーション技術、質疑応答の欠如、議論の苦手な教授&学生~から、将来世界の第一線で活躍できるクリエイティブな才能を育てられる確率はかなり低いだろう。


手前味噌になるが、アメリカで学んだプレゼンテーション法や質疑応答スキルなどは、現時点での僕の

教育メソッドにはなくてはならないものになっている。それらが生徒たちの潜在能力を引き出すには最適であると考えているのが、その理由だ。


そして、今春から始まる個人指導塾でも、それらのメソッドが指導法の中核となるはずだ。


畑中個人指導塾