ハーバード大学入試突破法 -4ページ目

ハーバード大学入試突破法

生まれは九州、小学生で渡米し、ハーバード大学を卒業した僕の経験談です。皆様のお役に立てば光栄です。

ビック4カラーペン


皆さんはBIC という会社が造る4カラーペンという優れものをご存知ですか?四つのボタンのうち、一つを押すたびにペンの色が変わります。赤、青、緑、黒のインクが一つのペンで自由自在に使えるのです。授業でノートに書き込む際、上手く色を使い分けて文章や図を整理すれば、テスト勉強にかなり役立つ資料が出来上がります。


僕が在学中、このペンはガリ勉のシンボルと言われていました。もちろん良い成績を与えられる学生を嫉む他の学生が流したデマに過ぎないでしょう。しかし確かにこのペンを使う生徒と一緒にいると、大抵僕は居心地悪く感じました。


彼らの多くは競争率の高い医学校を目指していました。そして本当によく勉強していました。他の学生よりも多く単位を取り、高学年になると研究室などに属して、まさに多忙の日々を過ごしていました。週末も、週末だからこそ勉強していました。たまに寮の食堂で一緒に食事を取ることがありましたが、彼らの話を聞いていると気持ちが焦りました。僕も決して怠けたつもりはありませんが、彼らと自分を比べると罪悪感さえ覚えました。時には彼らに憎しみのような感情も持ちました。決して(血液検査を受けると必ず貧血を起こす)僕は医学校に行きたいとは思いませんでしたけど。


でも実は僕も高校時代、このペンを愛用してました。もちろん僕の高校ではこのペンは何のシンボルではありませんでした。しかし、高校のクラスメートには僕も医学校志望者のように見えたのかもしれません。常に好成績を取っていたせいか、皮肉を言われることも少なくありませんでした。


不思議なものです。努力、向上心を映画などで見ると応援したくなりますが、実際に目の前で努力して頑張る人間を見ると素直に応援できません。映画だと人を様々な角度から見ることが出来ますが、現実では人を見る角度が限られるからでしょうか。

先日、crypton と名のる高校生からコメントをいただきました。彼は現在アメリカの高校に通い、今年の秋からカルフォルニア大学サンタバーバラ校に進学するそうです。彼は高校時代に渡米したとは思えないほど、英語が上手です。僕の大学時代の友達にも何人か似たような状況の日本人がいましたが、一年ほど語学学校に通ってから大学というケースばかりでした。これから先が期待できる方だと思います。


アメリカ高校の実態、アメリカナイズされた僕 」という記事に、彼は自分の大学入試結果をこう書いています:


  決してIvy級の上位校には受かっていないが、50位以内には入っているあのカリフォルニア大学には入れてもらえた。ここ数年、アメリカ国内のノーベル賞を独占しているくらいなので、数年後には上位に昇るに違いない潜在力を持つ学校だ。なにも文句はない。

そのとおり、「なにも文句はない」です。


実際に「Ivy級の上位校」に受かった僕からこんな言葉を聞いても、彼にはイヤミにしか聞こえないかもしれません。確かに再度大学入試を受けたとして、ハーバードとカルフォルニア大学サンタバーバラ校、両方合格し、どっちを選ぶと迫られたら僕は迷わずハーバードを選ぶでしょう。でもそれは経済的に状況が同じ場合だったらです。もしハーバードの高い学費を払う余裕のある家庭に恵まれず、奨学金もアテにできないようでしたら、僕はハーバードを選ぶのにかなり躊躇するでしょう。


ハーバードは他の大学に比べて、ヘドが出るほど学費が高いのです。でもハーバードを卒業していようと、サンタバーバラを卒業していようと新卒ならばそれほど給料はかわりません(いくつ内定をもらっていようと最終的な就職先は一つなのです)。だからもし僕が学費全額を借金してて、卒業後返金しようとしていたらかなり辛いおもいをしたでしょう。甘やかされた人生を送ってきた僕にとっては、きっと耐えられないでしょう。


「でも君、世界のハーバードといえば、有能が学者が揃っていて、授業のレベルも高いし、最先端の研究ができるから高い学費の価値があるんじゃないかね」という意見もあるでしょう。ごもっともかもしれません。でも学生時代の僕にはこれが勉強したい、学問を徹底的に追求したいという意欲がありませんでした。年頃でホルモンの分泌が活発だったせいか、女の子のことぐらいにしか熱中できませんでした。ですからどんなに有能な学者がいようと興味が湧きませんでしたし、成績を下げないことだけが目的で授業に出てました(そして出なくても成績には響かない授業には全く出ませんでした)。専攻も卒業後の就職を考えて、別にハーバードではなくてもどの大学でもある情報科学を選びました。だからハーバードの授業、教育者をとおして学んだことは決して他の大学では学べなかったことではありませんでした。こう考えると高い学費を払ってくれた両親に本当に申し訳ないです。


他の大学ではなく、ハーバードでよかったなと思える点はそこでできた友達ぐらいです。学校の近所の家賃が高いせいか、ハーバードのほとんどの生徒は寮で生活します。ですから、すごく親しくなれます。僕は5人の男と一緒の部屋で暮らしました。そのうち二人は医者で、二人は弁護士という、いかにもハーバードらしき肩書きを持つ連中ですが、謙虚で優しい奴らです。


でもそれは別にハーバードだから出会えた友達ではないと思います(その異様な医者と弁護士の割合はハーバードならではと思いますが)。むしろハーバードで彼らのような気さくな連中と友達なれたのはとてもラッキーなことだったと思います。ハーバードという学校は何だかんだ言っても、優等生、お坊ちゃま、お嬢様、ボンボン、天才ゆえに変態が比較的多い学校のような気がしました(ちなみに僕は「優等生」か「お坊ちゃま」の分類に入るのでしょう)。そういう集まりなので、やはり「遊び」に関しては他の学校に劣るのはないのでしょうか(もちろん「偏った遊び」に関しては優れているのでしょうが)。それにニューイングランドの長く、厳しい冬では、行動が限られます。サンタバーバラのような素晴らしい天気に恵まれ、何もかもが美しい環境にはやはり羨ましく感じます。


ですから未だに思います、もし僕がハーバードではなく他の大学へ行っていたらどうなっていただろうな、と。ちなみに僕は八つの大学を受けましたが、そのうち4校はカリフォルニアの大学でした。僕の高校時代はサーファーファッションが流行ってました。

ハーバードの入試を突破するには英語は絶対に必要です。もちろん凝ったズル(例:SATを他人に受けてもらい、エッセイを他人に書いてもらう)をした場合は話は別ですけど、実際に入学して授業を受ける際、英語の理解力が低ければ苦労することは間違いなしです。ですからハーバードを目指すならば、英語を覚えても決して損はないでしょう。


ハーバードを目指しているわけではないでしょうが、日本人の皆さんは英語を覚えるのにかなり力を入れているように思えます。電車の中吊りには英会話教室の広告がよく見られますし、雑誌を開けば英語テープの広告が多数のページに載っています。それに、この留学のジャンルがあること事態が日本人の英語に対する熱意を語っているのではないでしょうか。


上の例の中で、どの方法が一番効果的なのかはわかりません。でも英語を覚えるのに一番手っ取り早いのは、やはり英語を話す、つまり外国人の恋人をつくることだと思います。


僕はハーバードに入学する前に8年間アメリカの学校に通いました。ですから入学当時の英語の理解力は既にかなり高かったものだと思います。しかし、決してペラペラではありませんでした。渡米して間もなく僕は思春期を迎えました。英語を覚え出しの僕は、学校でクラスメートに間違った発音や表現を指摘され、笑いのネタにされるのがとても嫌で、無口になりました。おかげで英会話は全然上達しませんでした。高校では英語で書いたエッセイで賞を取る程の英語理解力を持ちながら、スピーチをすれば笑われる存在でした。(当時は僕の英語の発音を笑ったクラスメートを憎みましたが、つい最近友達の結婚式でとてつもなく外れた発音で日本語のスピーチをする外人の牧師と出会い、笑いをこらえるのに必死な思いをし、クラスメートを憎んだのは間違っていたことを実感しました。)


しかし大学入学後、僕にはアメリカ人の彼女が出来ました。無口で口下手な僕を彼女が何故気に入ってくれたのかは確実にはわかりません。でも彼女が日本人とアメリカ人のハーフだったのが大きかったと思います。しかし育ちはアメリカで日本語はほとんど喋れませんでしたので、僕らは英語で会話しました。いくら無口な僕と付き合うまで至ったといえど、常に彼女が話し手で僕が聞き手では彼女もいずれ愛想を尽かすだろうと思い、僕は必死で英会話術を覚えました。彼女は容姿があかぬけていて、男子クラスメートに人気があったので彼女の視線が僕から逸れないように努力しました。そして気づいたら僕の英語はかなり上達していました。決して「おしゃべり」にはなっていませんでしたが(思春期に無口になったのは性格のせいでもあったと思います)。


もちろん外国人と恋人関係になることに対して抵抗がある方にはこの英語習得法は適しないかもしれません。しかし、コミュニケーションが命の恋愛関係、英語を学ぼうという「やる気」を起こすのにはこれに勝るものはないと思います。それに上手くいけば人生のパートナーとなる相手を見つけられる可能性というオマケつき、悪い話ではないでしょう。

僕は日本の大学を受けたことがありません。ですからもちろんセンター試験が、どのようなものかわかりません。でもとりあえずセンター試験を受けるとなると、かなりプレッシャーを感じるものだろうと予想はつきます。なぜならその試験の結果のみで自分が志望校へ入れるかどうか決まるらしいですから。

 

 

しかしアメリカの大学へ入れるかどうかは試験の結果のみではありません。SATやACTという試験の結果(外国人はTOEFLの結果も)を提出しなければなりませんが、決してこの試験の結果のみで落とされるということはありえません。現に僕はSAT1600満点中、1250点という決して自慢はできない点数を提出したにも関わらず合格しました。

 

理由はずばり大学の合格者選択法にあります。SATの試験結果の他にも高校での成績、高校の先生の推薦状、課外活動、部活、エッセイ、海外旅行経験、アルバイト経験など色々を検討した上で審査員は合格、不合格を決めていきます。何万もの入学希望者から送られてくる書類です。しかも大学がハーバードとなると、成績、試験結果はピカイチなものばかりが送られてきます。ですからこそ、審査員の意表を突く書類を送れた希望者はかなり有利です。「これも典型的な優等生。これもそう。これもそう。おっ、でもこいつは違う。若干5歳で相撲部屋入りし、史上最年少の横綱?面白いじゃないか。」という具合が理想です。

 

だから勝負は何万人もいる中、いかに自分を目立たせるかです。もちろん目立ち方は選ぶべきでしょうが。それには強烈なキャラを作り上げることです、少なくとも提出する書類の中では。

僕は決して楽をしてハーバードに入れたのではありません。もちろん二宮金次郎ほど苦労はしてないでしょうが、ハーバードを目指さなければ中学、高校生活をもう少し楽しめたような気がします。でもハーバードへさえ入れれば、後はバラ色の人生が待っていると思い込み、入試突破に打ち込みました。

 

甘かったです。

 

ハーバード卒だからといって、特別高い給料をもらった覚えはありません。将来が約束されたエリートコースを歩んできた記憶もありません。面接試験はもちろん、書類審査の時点で落とされたことだってあります。やはりサイバーエージェントの藤田社長が「営業の仕事 」に書かれたとおり、高学歴だけではビジネスに通用しないと、何度も痛感しました。

 

でも高学歴が不利になることは決してありません。ハーバード卒はとても良いブランドです。僕が卒業した当時はITバブルの真っ只中でした。コンピューターサイエンスを専攻していた僕の履歴書を見た会社はすぐに面接させてくれて、僕と面接してくれた面接官はすぐに僕を気に入ってくれました。「優秀」と誉められました、まだ僕と一日も一緒に仕事をしたことない人に。

 

人事部の友達の話によると、僕がすぐに気に入られた理由は僕を選択することに対して「説明」がつくからだそうです。雇う方も遊びで面接しているわけではありません。人を見る目があるかないかを試されているのですから。その時に高学歴にこだわってしまうのは、恋人へのプレゼントにブランド品を選んでしまう気持ちに似ているのでしょう。

 

でも、もちろんブランドだけでは通用しませんでした。ITバブル崩壊後、転職先を見つけるのはバブル時に比べてかなり難しかったです。IT職人として自分ではかなり満足のいく経歴を積んだにもかかわらず、僕のような人材は今募集していないと断られました。でも企業側の気持ちもわかります。どこの大学を卒業していようと、ITは欲しくなかったのでしょう。グッチは僕の憧れのブランドですが、グッチのセカンドバッグをプレゼントされても、セカンドバッグを欲しくない僕はその処分に困るように。