蝦夷薄雪草(エゾウスユキソウ)2


蝦夷薄雪草(エゾウスユキソウ)はキク科ウスユキソウ属の多年草である。
北海道の礼文島と道東の二ペソツ山、藻琴山に分布し、山地の岩場や草地に生える。
海外では、サハリンにも分布している。
別名を礼文薄雪草(レブンウスユキソウ)とも言い、礼文町の町花に指定されている。
環境省のレッドデータブックでは、「ⅠA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種」である絶滅危惧IB類(EN)に登録されている。
草丈は15~30センチくらいである。
葉は先が尖った倒披針形で、根元にロゼット状につく。
開花時期は6~8月である。
細い茎の先に白い花をつける。
白い花びらのように見えるのは苞葉といわれる部分で、中心部に頭花がつく。
苞葉は幅が広い。
「薄雪草」の名は、うっすらと雪をかぶったような姿からきている。
アルピニスト憧れのエーデルワイスと同じ仲間である。
日本に自生するウスユキソウ属には、他に低山帯にも生える薄雪草(ウスユキソウ)、東北地方の高山に生える深山薄雪草(ミヤマウスユキソウ)、中央アルプスに生える姫薄雪草(ヒメウスユキソウ)、岩手県の早池峰山に生える早池峰薄雪草(ハヤチネウスユキソウ)などがある。
写真は6月に北大植物園で撮った。
学名:Leontopodium discolor


★岩肌にはりつきながら薄化粧
 蝦夷薄雪草は夏に咲く花



蝦夷薄雪草(エゾウスユキソウ)


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バーチリーフ・スパイリー2


バーチリーフ・スパイリー(Birchleaf spirea)はバラ科シモツケ属の落葉小低木である。
北アメリカに分布する。
学名のつけ方によるが、日本にも分布する丸葉下野(マルバシモツケ)の近縁種ないし同一種である。
バーチリーフは「樺の木の葉」を意味し、スパイリーは属名の英語読みである。
樹高は25~60センチくらいである。
葉は長さ2~7センチの卵形で、互い違いに生える(互生)。
葉の縁には粗いぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は6~8月である。
枝先に散房花序(柄のある花がたくさんつき、下部の花ほど柄が長いので花序の上部がほぼ平らになる)を出し、白い小さな花を密につける。
花びらは5枚で、雄しべが長く突き出る。
写真は6月に北大植物園のカナディアン・ロックガーデンで撮った。
学名:Spiraea betulifolia


★調べてもどこが違うかわからぬが
 よく似ているよ日本の花と


バーチリーフ・スパイリー


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ポテンティラ・アルバ


ポテンティラ・アルバはバラ科キジムシロ属の多年草である。
原産地はヨーロッパの地中海沿岸地方で、低地や山地の草地、岩場などに生える。
英名はホワイト・シンクフォイル(white cinquefoil)である。
シンクフォイルはキジムシロのことである。
草丈は10~20センチくらいである。
根際から生える葉は5小葉からなる複葉である。
小葉の形は細長い楕円形で、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。
開花時期は4~8月である。
茎の上部に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、小さな白い花をたくさんつける。
花弁は5枚で、ハート形をしている。
花の真ん中には黄色い雄しべがある。
写真は5月に神戸市の六甲高山植物園で撮った。
学名:Potentilla alba


★黄の花も素敵だけれど真っ白な
 花は自ずと気品漂い


ポテンティラ・アルバ2


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蝦夷犬薺(エゾイヌナズナ)2


蝦夷犬薺(エゾイヌナズナ)はアブラナ科イヌナズナ属の多年草である。
北方領土を含む北海道から本州の中部地方にかけて分布し、海岸の岩場や高山の岩場に生える。
海外では、サハリンなどにも分布する。
草丈は5~20センチくらいである。
根際から生える葉は倒卵形で、ロゼット状となる。
葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)がありね両面に毛が生える。
茎につく葉は幅の広い楕円形で2~7枚くらいつく。
開花時期は5~7月くらいである。
茎先に総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、白い小さな花を5~20個くらいつける。
花弁は4枚で、花弁の先はへこむ。
花の後につく実は長い楕円形で、ねじれているのが特徴である。
別名を白花の犬薺(シロバナノイヌナズナ)ともいう。
これは、犬薺(イヌナズナ)の花が黄色いのに対してつけられた名である。
写真は5月に北大植物園で撮った。
学名:Draba borealis


★こんもりと株立ちをして白い花
 泡立つような蝦夷犬薺


蝦夷犬薺(エゾイヌナズナ)


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海緑(ウミミドリ)


海緑(ウミミドリ)はサクラソウ科ウミミドリ属の多年草である。
北海道から本州の中部地方にかけて分布し、海岸近くの塩湿地や岩礁に生える。
塩分の影響が強い過酷な環境で生育する植物である。
海外では、アジアや北アメリカ北部などに広く分布する。
草丈は5~20センチくらいである。
地下茎が横に這って繁殖する。
葉は幅の広い披針形で、向かい合って生える(対生)。
稀に3枚が輪生することもある。
葉は肉質で分厚く、濃い緑色で艶がある。
開花時期は6~7月である。
葉の脇に花径6~7ミリの淡い紅色を帯びた小さな花を1つずつつける。
花弁はなく、花弁のように見えるのは萼で、深く5つに裂けて開く。
花の後にできる実は卵球形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)である。
茎を切ると白い乳液が出る。
写真は6月に富山県の氷見市海浜植物園で撮った。
学名:Glaux maritima var. obtusifolia


★過酷なる自然の中で海緑
 地を這いながら縄張り広げ



海緑(ウミミドリ)2


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砂引草(スナビキソウ)


砂引草(スナビキソウ)はムラサキ科スナビキソウ属の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、海岸の砂浜に生える。
海外では、冷帯から温帯にかけてユーラシア大陸の海岸に広く分布する。
和名の由来は、長い地下茎をもつことからきている。
草丈は20~30センチである。
茎や葉の両面には白い軟毛が密生している。
葉はへら形で、互い違いに生える(互生)。
開花時期は5~6月である。
茎先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、花径8ミリくらいの白い小さな花をたくさんつける。
花冠は先が5つに裂けて横に開く。
花の真ん中は黄色い。
花の後にできる実はコルク質の核果(水分を多く含み中に種が1つある)で、海水に浮いて散布される。
写真は6月に富山県の氷見市海浜植物園で撮った。
学名:Messerschmidia sibirica


★砂浜に帯を描いて花咲かす
 砂引草の姿やさしく


砂引草(スナビキソウ)2


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サキシフラガ・パニクラタ2


サキシフラガ・パニクラタはユキノシタ科ユキノシタ属の多年草である。
原産地は北アメリカとヨーロッパである。
流通名を星綴り(ホシツヅリ)という。
草丈は30~40センチくらいである。
根際から生える葉は長い楕円形で、マット状に広がる。
葉の色は淡い緑色で灰白色を帯びる。
開花時期は5~7月である。
花茎を伸ばして円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)
を出し、花径1センチくらいの小さな5弁花をつける。
花の色は白、クリーム色、黄色などのものがある。
写真は6月に北大植物園で撮った。
学名:Saxifraga paniculata


★ひっそりと花を咲かせてパニクラタ
 住めば都の思い溢れて


サキシフラガ・パニクラタ


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泡盛升麻(アワモリショウマ)


泡盛升麻(アワモリショウマ)はユキノシタ科チダケサシ属の多年草である。
日本原産である。
本州の近畿地方から九州にかけて分布し、山地の谷川の岩場などに生える。
また、観賞用として栽培される。
草丈は40~60センチくらいである。
茎は直立し、硬い。
葉は2~4回3出複葉で、互い違いに生える(互生)。
数回枝分かれをさせて、先に三つ葉をつける。
小葉の形は長い卵形で、縁には不揃いなぎざぎざ(鋸歯)がある。
葉は硬くて艶がある。
開花時期は6~7月である。
茎先に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、白い小さな花をたくさんつける。
それぞれの花は、花弁が5枚、萼片が5枚である。
雄しべは10本、雌しべは2本である。
、白い五弁の小花を泡を盛るように咲かせる。
名の由来は、花の様子を泡に譬えたものである。
「升麻」というのは生薬名で根茎を用いる。
別名を泡盛草(アワモリソウ)ともいう。
写真は5月に小石川植物園で撮った。
学名:Astilbe japonica


★せせらぎの音を静かに聞きながら
 泡盛草は小花を開き



泡盛升麻(アワモリショウマ)2


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大花耳菜草(オオバナミミナグサ)2


大花耳菜草(オオバナミミナグサ)はナデシコ科ミミナグサ属の多年草である。
名は大花の耳菜草(オオバナノミミナグサ)ともいう。
北方領土を含む北海道から本州の東北地方北部にかけて分布し、海岸沿いの草地や岩礫地に生える。
海外では、千島列島、アリューシャン列島からアラスカにかけても分布する。
草丈は15~60センチくらいである。
葉は長さ1~5センチくらいの長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はなく、先は丸い。
開花時期は6~8月である。
花径は25~30ミリくらいあり大きい。
花弁の数は5枚で、先が2つに割れる。
萼片は5枚である。
耳菜草(ミミナグサ)の場合は萼片と花弁の長さは同じくらいであるが、本種の萼片は花弁の半分以下の長さである。
雄しべは5本、雌しべは1本である。
写真は6月に富山県の氷見海浜植物園で撮った。
学名:Cerastium fischerianum


★北の地で開く花びら大きくて
 野に咲く花と思えぬ姿



大花耳菜草(オオバナミミナグサ)


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捩木(ネジキ)2


捩木(ネジキ)はツツジ科ネジキ属の落葉小高木である。
本州の岩手県から九州にかけて分布し、山地に生える。
樹高は2~8メートルくらいである。
樹皮は白っぽい。
葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
葉の縁にぎざぎざ(鋸歯)はなく、波打っている。
葉の先はよじれて尖る。
開花時期は5~6月である。
葉の脇から総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、小さな白い壺形の花をたくさん垂れ下げる。
花冠の長さは1センチくらいで、先は5つに浅く裂ける。
実は球形のさく果(熟すると下部が裂け、種子が散布される果実)で、上向きにつく。
名の由来は、幹が捩れることからきている。
馬酔木(アセビ)と同様に葉には有毒成分を含む。
秋には紅葉をする。
写真は5月に小石川植物園で撮った。
学名:Lyonia ovalifolia var. elliptica


★葉の陰に鈴蘭思わす壺形の
 花がずらりと居並ぶように


捩木(ネジキ)


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