おじじからの
おたより
独活(ウド)を探して
山菜の中でも、とりわけウドはわたしの恋人もう好きで好きでたまらない。
一線のすぐ傍まで行った後だし
少し歩いても
息が上がる
足腰の痛さもある
奥森吉の山道の橋崩れで
ブナのモリ行きが1ヶ月延びたのも
そんなカラダ休ませろ
モリさんの忠告かも でも
ウドさんの季節だと思うと心が疼く
今年は
カラダのことの他に難題がある
去年11月
木さんが葉を落とす前に
重い湿った大雪が降った
モリの木さんたちも
梢や太い枝を折られている
倒れた木さんも少なくない
今年の山菜採りは危険を伴う
だが恋は盲目
ウドの出が一番早い滝西林道へ
ついつい車を入れる
この林道は
落石あり
崖崩れありで有名
4駆にして
ゆっくりゆっくり
左手は目もくらむ崖
車を右に寄せ
右の崖を見上げながら進む
あった!
さすが恋人
フキさんの陰から
わたしを誘う
崖崩れの場所を
注意ぶかく
避けて進む
断崖の傍にも
微笑むウドさん
後ろから車が来た
森林管理局の車
ということは先まで行けるのだ
安心!
目指す崖
見上げると
ウドさんの群
5-6メートルの高さだが
絶壁のようながれ場
登る足場を固め
特製の鎌を地面に叩き込んで
全身を引き上げ
少しずつ登る
何回もずり落ちて
やっとウドさんにたどり着く
崖を横に這って
次のウドさんへ
この崖から先
ウドさんはない
2-3日恋人の深い味を戴ける分はある
夕食の天ぷら
涙が出るほど美味しかった
いのちに自信が戻って来た日でもあった
おやすみ
森を愛する
おじじ、
元に戻った感じ。
安心しました。