ずっとずっと子供が欲しかった。
生まれてこのかた、
子供はいらないと思ったことはなかった。
子供が欲しかった、というよりも、
自分の家族を持ちたかった。
独身の頃、特に三十歳を過ぎてから
真剣に自分の人生を考えた。
この私の人生で、必ず実現したいこと。
それは何かと何度も何度も自分に問うた。
そしてその都度、
「自分の家族を持ちたい」
それだけは絶対に譲れない項目だった。
そして結婚し、子供を二人授かった今、
本当に幸せだと感じている。
ただ、想像していた子育てということと
現実の子育てのあいだには、
大きな大きな差があった。
自分の認識が甘かった。
簡単にいえばそうなのだけれど。
それまで、自分勝手に生きてきて、
好きなように生活をしていて、
行きたい所にはすぐに行き、
食べたいものはすぐに食べに行き、
聴きたいことがあればすぐにかけつけ、
学びたいことがあればすぐに調べて申し込んだ。
そんな、自分にとって当たり前だったことが、
まったく当たり前でなくなった今、
それは本当に贅沢なことだったと思う。
そして、それを十分に堪能しておいて
よかったなとつくづく思う。
だから今、すべてが子供中心になっても、
それは自分の選択したことだと、
とても幸せだと、感じることができると思う。
今目の前にあることを十分にやることって、
本当に大切なこと。
渦中にいるときは、これでいいのか不安になったり、
投げやりになりそうなこともあるけれど、
後から振り返ると、あぁこういうことだったのかと
その意味を感じることができるから。
必ずその後につながっているから。
育児まっただ中、社会とのつながりが
なかなか感じられないような時間だけど、
自分を信じて進んでいこう。