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●ひき逃げ事件でウソ、知人に罪なすりつけた2被告実刑

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ひき逃げ事件でウソ、知人に罪なすりつけた2被告実刑
読売新聞 20061107 取得 元記事

 東京都世田谷区内で昨年6月に起きたひき逃げ事件で、警察の取り調べや公判でうそをつき、知人男性に罪をなすりつけたとして、危険運転致傷、偽証などの罪に問われた無職榎本智久被告(22)と、共犯の同菅野北斗被告(21)の判決が6日、東京地裁であった。

 朝山芳史裁判官は、「(虚偽の証言で)他人を陥れたことは悪質で軽視しがたい」と述べ、榎本被告に懲役4年6月(求刑・懲役5年)、菅野被告に同2年4月(同3年6月)の実刑を言い渡した。

 判決によると、榎本被告は昨年6月、世田谷区内の交差点で無免許で乗用車を運転し、バイクの男性をひき逃げして約1か月の重傷を負わせた。榎本被告と同乗していた菅野被告は、乗用車を山中に捨て、警視庁の調べに対し、知人の男性が運転して事故を起こしたと供述。これにより、知人男性が誤認逮捕されたが、両被告は公判でも同様にうその証言をしていた。

 判決は、「(知人男性は)身に覚えのない事実によって長期間身柄を拘束され、有罪判決を受ける危険にさらされており、精神的苦痛は容易に癒やしがたい」とも指摘した。

 誤認逮捕された男性は、約10か月間拘置されたが、今年8月、検察の求刑通り無罪判決を受け、確定している。

(2006年11月7日0時1分 読売新聞)

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●投票用紙に「ヒゲ」有効、1票差落選元市議の訴え棄却

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投票用紙に「ヒゲ」有効、1票差落選元市議の訴え棄却
読売新聞 20061106 取得 元記事

 昨年12月に投開票された徳島県鳴門市議選で、1票差の次点で落選した元市議の明野尚文さん(76)が、最下位で当選した坂東成光市議(61)が得た「バンド ヒゲ」などと書かれた票は無効だとして、県選管を相手取り当選無効などを求めた訴訟の判決が6日、高松高裁であった。

 馬渕勉裁判長は「一定の範囲の市民の間で『ヒゲ』は市議の通称として認められており、有効」として原告の訴えを棄却した。

 判決によると、坂東市議は854票で当選し、明野さんは1票差で落選。有効とされた坂東市議の得票の中に「バンド ヒゲ」などの票があり、明野さんは2月、県選管に審査を申し立てた。馬渕裁判長は「『バンド』という市議の氏名の一部と、通称と判断される『ヒゲ』とを合わせた記載で、公職選挙法で無効とされる(氏名以外の)他事記載には当たらず、投票した人の意思は明白」とした。

(2006年11月6日13時4分 読売新聞)

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●滝井元最高裁判事 空前の利益…高利で自殺者、疑問に

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滝井元最高裁判事 空前の利益…高利で自殺者、疑問に


 最高裁判事として貸金業者の高金利受領を厳しく制限する意見を述べ、10月末に定年退官した滝井繁男さん(70)が毎日新聞のインタビューに応じた。「消費者金融が空前の利益を上げる一方で、高利のために自殺者まで次々と出ているのは、どこかおかしいと考えていた」と当時の心境を初めて明かした。裁判官が、関与した判決に言及するのは珍しく「時代の状況をにらんで、法律をなるべくまともな方向に生かしていくのが法律家の役割」とも語った。【木戸哲】
 83年に成立した貸金業規制法は、業者が一定の書面を交付し、借り手が「任意」に支払った利息は、利息制限法の上限(15~20%)を超えても有効とみなすと規定。上限を超えた利息を支払っても返還を求めることが出来るという判例を「骨抜き」にする立法だったとされる。
 業者はこの法律を根拠に高金利を受領していたが、滝井さんは「利息制限法があるのに、あくまでその例外に過ぎない貸金業規制法が幅を利かせているのはおかしい」と感じた。裁判長として04年2月、超過利息を受領するための書面の要件を厳しく解釈する判決を言い渡した。
 だが、業者が要件をクリアする書面を作れば、超過利息の支払いは有効となり「いたちごっこ」が続いてしまう。このため、滝井さんは貸金契約にある「分割弁済の支払いが遅れた場合は全額を一括弁済し、損害金も払わなければならない」との特約に注目。このような特約がある限り、任意の支払いとは認めないとする補足意見を述べた。「一括弁済を逃れようと借金を重ね、仕方なく高利を払う。これでは『任意』とは言えないと判断した」と振り返る。
 滝井さんも関与した今年1月の判決は、この意見を踏まえ「特約は超過利息の支払いを事実上強制している」と判断し、超過利息の受領を認めなかった。「天と地がひっくり返るほど画期的」と評価され、法改正の動きも加速した。
 業界側は低所得者への「貸し渋り」につながると主張し、金利引き下げに反対してきた。だが、滝井さんは「高金利でお金を借りたために、かえってその負担で状況が悪化し、自殺に追い込まれた人もいるはずだ。お金を借りられなくなって本当に困る人がどれだけいるのか」と指摘。「金利が入るからという理由で十分な審査もせずに融資し、生命保険にまで入れというのは正常な発想ではない」と、業界の姿勢にくぎを刺した。
 ◇流れ決めた1月の最高裁判決
 利息制限法は年利の上限を15~20%と定めているが、貸金業規制法では(1)業者が一定の書面を交付(2)借り手が任意で支払う--の条件で、出資法の上限(同29.2%)までの「グレーゾーン金利」を認めている。
 これについて、今年1月の最高裁判決は、業者のほとんどが設けている「返済が滞れば一括弁済する」という特約が「借り手に高利を事実上強制するもの」として(2)に当たらないと判断し、そのままでは超過利息の受領が不可能な事態になった。この判断は、滝井さんが別の裁判で示した補足意見そのままだった。
 判決後、消費者金融各社には、それまで利息制限法での上限を超えて支払った「過払い金」の返還を求める借り手が殺到。滝井さんが退官した翌日の10月31日、政府は、グレーゾーン金利を撤廃し、多重債務者救済につながる貸金業規制の関連法改正案を国会に提出した。

(毎日新聞) - 11月5日17時23分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061105-00000016-maip-soci より

●東京・清瀬の警官殺害、時効まで100日…捜査を強化

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東京・清瀬の警官殺害、時効まで100日…捜査を強化

 東京都清瀬市の旭が丘派出所で1992年2月に勤務中の警察官が刺殺された事件は6日、時効成立まであと100日となった。

 警視庁東村山署の特捜本部は同日、捜査会議を開き、同庁捜査1課の光真章課長が、捜査員約30人を前に「残された期間は短いが、絶対解決するという信念のもとに執念の捜査をしてほしい」と訓示した。

 事件発生後の14年余りの間に、特捜本部に寄せられた情報は3091件。今年になってからも、「犯人を知っている」「拳銃マニアがいる」などという情報が43件寄せられている。このため6日からは、特捜本部の捜査員を10人増やして40人体制に拡充。改めて不審者や拳銃マニアの洗い出しなどを進める。

(読売新聞) - 11月6日12時38分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061106-00000405-yom-soci より


記事中に「時効」とあるのは「公訴の時効」を意味する。


刑事法上、時効には2種類ある。


一つは「刑の時効」であって、刑の言い渡しを受けた後一定期間の経過によってその執行が免除される制度である。


これに対して、「公訴の時効」とは犯罪行為が終わったときから一定期間が経過すると公訴の提起ができなくなるという制度である。刑事訴訟法250条に規定がある(現在は殺人については以前は「15年」だったが、平成16年に改正され現在では「25年」となっている。改正前に発生した事件については発生時の規定である15年が適用される)。





●今月下旬に簡裁申し立てへ=受信料不払い「民事手続き」-NHK

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今月下旬に簡裁申し立てへ=受信料不払い「民事手続き」-NHK

 NHKは2日、受信料不払い対策で、簡易裁判所を通じて支払いを督促する民事手続きを今月末に初めて行う方針を明らかにした。対象者が異議申し立てをしなければ強制執行も可能となり、事実上の受信料「強制徴収」が始まることになる。 

(時事通信) - 11月2日18時1分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061102-00000076-jij-soci より


今回NHKがやろうとしている手続きは民事訴訟法第7編の「督促手続」というものである。


手続きの概要はこうである。


まず、NHKは簡易裁判所の書記官に対して「支払督促の申立て」をする。すると裁判所書記官は、要件が備わっているかどうかをチェックして問題がなければ「支払督促」を発してくれる(民訴法382条)。この「支払督促」は債務者(受信料を払っていない人)に送達される(民訴法388条1項)。


①債務者に支払督促が送達されてから2週間が経過すると、NHKは今度は裁判所書記官に対して支払督促に仮執行宣言を付けることを申し立てる(民訴法391条1項)。この場合も裁判所書記官は問題がなければ支払督促に仮執行宣言を付す。これを「仮執行宣言付支払督促」という。仮執行宣言付支払督促は債務者に送達される(391条2項)。


②債務者に送達されてからさらに2週間が経過すると仮執行宣言付支払督促は確定判決と同一の効力を有することになる(民訴法396条)。


この確定判決と同一の効力を有することになった仮執行宣言付支払督促によって、NHKは民事執行法の手続きに則って債務者に対して強制執行をすることができるようになる。強制執行というのは、要するに債務者の財産(土地・建物・車・・・)を強制的に売ってその売却代金から受信料を回収するということである。債務者が「うらないでぇ~」といっても駄目である。

では、債務者は黙って見ているしか手はないのか。そうではない。債務者にも防御の方法が用意されている。それが「督促異議」である。


まず、①のところで、債務者に支払督促が送達されたら、債務者は2週間以内に簡易裁判所に対して督促異議の申立てをする(386条2項)。これによって支払督促の効力を失わせることができる(390条)。

この後は、通常の裁判によってNHKと債務者が争うことになる(395条)。ここで債務者が負ければやはり受信料は支払わなければならない。


①のところで、督促異議をすることなく2週間が経過してしまった場合にはどうなるのであろうか。この場合には、②のところで督促異議が可能である。つまり、仮執行宣言付支払督促が送達されたら、債務者は簡易裁判所に対して督促異議を申し立てることができる。この場合も通常の裁判手続きでNHKと債務者が争うことになる。


しかし、①と②とでは、督促異議の効力に違いがある。①のところで督促異議を行えば、支払督促を失効させることができるが、②では失効させることができない。したがって、②のところで督促異議をする場合には、同時に民訴法403条1項3号に基づく執行停止の裁判の申立てを行う必要がある。手続きがめんどくさくなるわけだ。したがって、債務者は早めに督促異議を申し立てたほうがよい。


NHKが何人に対して支払督促をしようとしているのか知らないが、数百人の債務者に対して支払督促を行うと、下手をすれば、数百の裁判を抱えることになる。これは大変だ。だから、NHKは一部の者に対して支払督促をして債権を回収し、これをちらつかせて他の債務者からも受信料を回収しようとしているのであろう。

●小田急線の高架化訴訟、住民側の上告棄却…敗訴確定

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小田急線の高架化訴訟、住民側の上告棄却…敗訴確定

 小田急線の複々線化に伴う高架化事業を巡り、東京都世田谷区の沿線住民37人が「騒音への配慮を欠いたのは違法」として、国に事業認可の取り消しを求めた訴訟の上告審判決が2日、最高裁第1小法廷であった。

 泉徳治裁判長は、小田急線の事業認可は裁量の範囲内で適法だとした2審・東京高裁判決を支持し、上告を棄却した。住民側敗訴が確定した。

 沿線住民は1994年6月に提訴。2001年10月の1審・東京地裁判決は事業認可を取り消したが、03年12月の2審判決は、沿線住民に原告の資格(原告適格)を認めず、事業認可も適法とする判断を示した。

 上告審では、上告した沿線住民40人の原告適格だけに限って最初に大法廷で審理され、昨年12月、判例を変更して37人に原告適格を認める判決が出た。これを受け、第1小法廷で事業認可の違法性について実質審理に入っていた。

(読売新聞) - 11月2日18時20分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061102-00000411-yom-soci より



●少年犯罪の実名報道紙・誌 図書館協会「原則公開」へ

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少年犯罪の実名報道紙・誌 図書館協会「原則公開」へ

2006年11月01日15時07分

 未成年である犯罪容疑者の実名や顔写真が雑誌や新聞に掲載された場合、公共の図書館では閲覧できるのかどうか。これまで各館の自主的な判断に委ねられてきた問題について、日本図書館協会の委員会は「加害少年の推知報道については提供することを原則とする」という考え方をまとめた。目立った異論は出ておらず、協会全体としての方針となる見込みという。

 この方針は、協会の「図書館の自由委員会」の素案として、10月上旬に開かれた協会の常務理事会で事実上の承認を得た。その後、27日に岡山市で開かれた第92回全国図書館大会の分科会でも公表された。強制力は持たない。詳細は、機関誌「図書館雑誌」12月号で発表される予定だ。

 少年法61条では、加害少年の氏名など、読者が本人だと推測できる記事の掲載を禁じている。しかし、出版社系の週刊誌を中心に実名や顔写真を掲載する例はあり、少年の保護・更生と知る権利のどちらを優越させるかが議論になっていた。

 図書館の自由委員会はこの問題を約1年間、検討してきた。その結果、「重大な犯罪事件は社会的関心事だ」として、考えるために読みたい市民へ資料を提供する機関としての意義を重視する考え方をまとめた。

 今年8月に発生した山口・徳山工業高専女子学生殺害事件では、殺人容疑で指名手配されたあと自殺した男子学生(19)の実名と顔写真を、週刊新潮と読売新聞、週刊朝日、週刊ポストが掲載し、一部の図書館は閲覧を制限した。

 この事件では、山口県警が10月31日、男子学生を殺人などの疑いで被疑者死亡のまま書類送検し、一連の捜査を終えた。

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http://www.asahi.com/national/update/1101/TKY200611010271.html より

●<ロス銃撃事件>無罪の大久保さん、賠償請求の敗訴確定

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<ロス銃撃事件>無罪の大久保さん、賠償請求の敗訴確定 

 81年の「ロス銃撃事件」の実行犯として殺人罪に問われ、無罪が確定した会社経営、大久保美邦(よしくに)さん(54)と妻(57)が、国などに約1億4500万円の賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(堀籠幸男裁判長)は31日、大久保さん側の上告を棄却する決定を出した。国に約250万円の支払いを命じた1審判決を取り消し、請求を棄却した2審判決が確定した。
 東京地裁は05年5月に「無罪を予想できたのに、検察官が十分な立証を行わないまま控訴を取り下げなかったのは違法」と判断したが、東京高裁は今年6月に「検察官は無罪とは考えておらず、控訴審を続けたことは違法ではない」と判断した。

(毎日新聞) - 10月31日20時49分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061031-00000092-mai-soci より

●文春に謝罪広告、賠償命じる=読売会長の資産疑惑記事-東京地裁

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文春に謝罪広告、賠償命じる=読売会長の資産疑惑記事-東京地裁

 個人資産の蓄財方法に国税当局が関心を抱いているとする「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長が、発行元の文芸春秋と編集者を相手に1000万円の損害賠償と謝罪広告を求めた訴訟の判決で、東京地裁(綿引穣裁判長)は31日、200万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。
 綿引裁判長は「国税当局が渡辺会長の個人資産に関心を持っているとの記事は真実ではなく、真実と信じる相当の理由もない」として、名誉棄損を認めた。
 文芸春秋側は、国税庁幹部が取材に対し、渡辺会長には申告していない所得があるかもしれないと回答したと主張。しかし、同裁判長は「国税庁職員には守秘義務があり、週刊誌記者にそのような回答をするとは考えにくい」として、退けた。 

(時事通信) - 10月31日23時1分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061031-00000186-jij-soci より

●神戸地裁での一括審理命じる=8人死傷テレクラ放火の被告-最高裁

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神戸地裁での一括審理命じる=8人死傷テレクラ放火の被告-最高裁

 神戸市で2000年、テレホンクラブ2店が放火され、客ら8人が死傷した事件で、殺人などの罪に問われた会社役員坂本明浩被告(46)について、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は28日までに、広島地裁で審理されている組織犯罪処罰法違反などの事件も、神戸地裁で一括して審理するよう命じる決定をした。決定は26日付。
 刑事訴訟法は、裁判所間で審理の併合について意見が一致しなかった場合、高裁や最高裁が決めることができるとしている。ただ、意見が分かれることはまれで、最高裁が決定するのは1980年の富山、長野両県で起きた連続女性誘拐殺人事件以来。 

(時事通信) - 10月28日18時0分更新

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061028-00000071-jij-soci より