( ・ω・) えっ?英語でプレゼンしなきゃならないんですか?
(イギリスなので当たり前)
どうも~、はむです( ・ω・) ノぃょぅ
前回の更新が1月、そして今は9月になってしまったという段階で半年以上が経過していますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。前回スイスに共同研究のために行ってきた話を書いたのですが、それ以降研究が加速して忙しくなっておりました。
はむのblog更新が止まった時は忙しい時で、はむがblogを頻回に更新している時は発信意欲が増している暇な時という訳です。先日まであれこれ更新できていたのは時間があったからなんですね、振り返ってみると。
という訳で、真面目なことはあまり書かないことに定評 (低評?) のあるhamlogではありますが、イギリスでの研究生活について少し真面目に書いていきたいと思います。
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これまでの記事通り、はむはイギリスのExeter大学、MRC Centre for Medical Mycologyで基礎研究をしております。昨年12月から少しずつ開始しておりましたが、12月はクリスマス休暇もあるため、すぐにfull timeで研究ができるような状況ではありませんでした。
どこの施設でも同じと思いますが、実験を実際に開始するためには、まずいくつかのinductionを受ける必要があります。
- 実験室全般について (日本のラボでいうバイオセーフティーに近い)
- 実験室雑務のrotationについて
- 特殊な機械のそれぞれの使い方について
- 動物実験に関して (部屋の使用~実際の手技まで様々)
- 細胞・組織培養の部屋を使用法
- 糸状菌のみ使用可能な部屋の使用法
などなど様々あります。最初の頃は週1回くらいは何かしらの講習を受けているような感じがします。そしてこれらのinductionを経て、何とか一人で色々実験ができるようになったのが2月~3月頃でしょうか。
( ・ω・) はむはようやく一人で動けるようになった!
とは言うものの、日本でやっていれば簡単な実験でも、こちらでは作法も違えば物品・試薬の置いてある場所も最初はわかりません。そして物品とか試薬の場所も度々変更があり、先日あったはずの場所に物がないというのもしばしばです。
( ・ω・) あの試薬は…あの物品はどこ……??
最初の頃は実験室内をフラフラしている奇妙な不審な不慣れな日本人研究者に見えたことでしょう (いいえ、今もです)。
( ・ω・) ∩ シツモーン あの試薬はどこに置いてありますか??
困ったときは補助員の方や他の研究者に (英語で) 聞けば基本的には教えてもらえるので、何かあれば助けてもらえますが、一先ずは自分で色々と探してみることにしています。どこに何が置いてあるかを覚えておくのも効率よく研究を行う上では重要なことですね。
(物品・試薬の置き場所変更の時はメールで知らされるが、英語を読むのに時間かかる…)
特殊な機器、特にフローサイトメトリー機器の使用に関するinductionはとても厳格です。最初にbasic courseとしていわゆる座学の講習会 (3~4時間) を受けた後に、それぞれの機器についてinductionが必要になります。日本でフローサイトメトリー機器を使用した時は特別な講習会はなく、使用申請と使用経験のある人から教えてもらうことを条件として使用開始、でしたがこちらはかなり厳密に管理されております。
使用している機器も、日本の研究所では主としてBD社 (FACS CantoIIやAriaIII、最近ではSymphony) でしたが、こちらはAttune (Thermo Fisher Scientific)、Aurora (Cytek) の2機が主体です。いずれも日本での使用経験がないのでinductionから結構真剣に受けないと使用できませんでした。
On siteのinductionもかなりしっかりしていて、1対1のtraining形式でした。自分でsampleを準備し、当日持参しcontrol sampleのデータ採取、full stained sampleのデータ採取、libraryの構築などなど3~4時間くらい訓練を受けます。Aurora → Attuneの順にinductionを受けたので、Attuneの時は半分くらいの時間で終了しましたが、機器の立ち上げとcleaning、シャットダウンのところがどちらも重要ですね、壊さないようにするためにも。
一応はむは学生時代からフローサイトメトリー機器の使用経験がある (FACS Calibur) のですが、当時は1 (or 2) laserで最大3色あるいは4色という時代だったものの、現在は5 laserで数十色まで同時に染色可能というすごい時代になったものです。Laserと蛍光色素の名前を覚えるだけでもtough workではありますが、毎週のようにやっていると意外と頭に入っていくものです。
最近日本の研究室にもAurora-CS (Cytek) が導入されたという話を聞いておりますので、ここで機器の使用法と解析法を学んでいくと日本に戻った時の研究にそのまま使えそうですね、頑張って覚えていきましょう。
( ・ω・) でも使用料が結構かかるんですよね…
日本の研究所でも最近物納という形で使用料が幾分か取られるようになったようですが、こちらの研究所では単位時間当たりの使用料が定められているので、できる限り短い時間で使用する必要があります。毎回データ採取は時間との勝負です。
( ・ω・) 頼むから止まるんじゃないぞ…
(毎回祈りながらsampleをセットしている)
動物実験についてのinductionもかなり厳格です。まずは動物実験に関する講習会 (Charles River社) を2日間受講し、その後に試験を受けて合格する必要があります。当然のことながらすべて英語です。実験手技などに関するものだけであればまだ楽なのですが、法律や歴史、倫理、実験動物そのものに関する知識など様々問われ、それぞれの分野で一定以上の点数を取る必要があるので非常に大変でした。
講習会を受けた後に付与されるものはlicence (Personal Licence : PIL) だけですので、その後各施設でinductionを受ける必要があります。
Basic inductionは各施設の使用法 (非感染区域、感染区域に分けて実施されるので計2回)、実験動物のhandlingと実際の手技についてという流れでやはり数時間かかります。さらに、実際の手技 (Regulated procedureと呼ばれる) などについてはそれぞれ別途training & assessmentが必要となりますので、一人で自分の実験全体をできるようになるにはPIL取得後1~2ヵ月を要します。
( ・ω・) いやまあ長い旅路であった
(終わってはいませんがね)
当初はそれほどin vivo実験をする予定はなく、PPL (Project Licence) という単語を聞いても遠い世界のような話と思っていましたし、in vivo実験後のpaper workやPILの管理ということを聞いてもピンときませんでしたが、そういったことを何回もすることになるとは思ってもいませんでした。
実際PPLはPIL個人が作るものではなくPIレベルでの書類になるので、はむは特に関係はありませんが、PPLの内容を把握しておくことがPILの責務ですので、実際はPPLについても知っている必要があります。長い文書ですが、必要なところはしっかりと読んで頭に入れておきます。
In vivo実験を始めてからも、定期的に自分の実施した手技についてのrecordを残しておく必要がありますし、定期的 (年1回?) はそれぞれのPIL recordを提出するような仕組みになっているようです。普通にpaper workは日本の時と同じあるいはそれ以上に存在しているような気がします。
細胞・組織培養の部屋や糸状菌のみ使用可能な部屋の使用法のinductionはそれと比較すると軽いものかもしれません。
( ・ω・) 部屋に入る時はそれぞれの部屋の白衣に着替えましょう、と
( ・ω・) オートクレーブにかけるゴミは定期的にまとめて処分しましょう、と
( ・ω・) キャビネットの使用が終わったら必要に応じてUV点けましょう、と
( ・ω・) 廃棄物はその日のうちに片づけましょう、と
・・・
( ・ω・) ですよね…!!
2月~3月頃から一人で実験ができるようになり、それから半年かけて色々データを集め、定期的なミーティングや発表を通じて方向性を確認・修正して今に至るという感じです。
残り約2ヵ月程度になりましたが、もう少し頑張って論文も少し書いてから日本に帰りたいものです。
さて、長くなりましたので本日はこの辺りで。
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