アジアで中国をもっとも敵視している国は・・・「日本に非ず」=中国
サーチナ / 2016年5月30日 22時15分
 中国メディアの網易はこのほど、アジアの国々のなかで中国をもっとも敵視しているのは「日本ではない」と主張する記事を掲載。その国は「シンガポール」だと記事は説明しているが、何を以ってシンガポールが日本以上に中国を敵視する国だと主張しているのだろうか。
 記事が注目しているのは「マラッカ海峡」だ。シンガポールの発展はまさにこの天然の海峡がもたらしたものだと指摘、積み替え港としてのシンガポールの役割がこの国に発展をもたらした。
 しかし、もし中国がマレー半島のクラ地峡に「クラ運河」を建設し、各国の船がシンガポールを経由せずにクラ運河を航路にとり、上海を積み替え港として利用するなら状況は変わるだろう。中国は莫大な利益を得ることができる一方でシンガポールを利用する船は「80%減少する」と記事は指摘。シンガポールにとってはまさに致命的な打撃になることは容易に想像ができる。
 また記事は「中国の石油備蓄7日分に過ぎない」と指摘、もしシンガポールがマラッカ海峡を封鎖し中国の原油輸入を阻止した場合、中国にとって致命的な打撃になる。いざという時、この措置を「米国が支持、また指示するだろう」と指摘する。
 しかし、もし中国がクラ運河を建設するなら、米国にとってシンガポールは戦略上の重要性を失い、シンガポールは「米国の保護を失う」と記事は説明。そうなればマレーシアやインドネシアといったイスラム教国の犠牲になるだろうと主張し、それゆえシンガポールは中国のクラ運河建設に「死にもの狂いで抵抗する」と説明した。
 中国にはクラ運河建設のための十分な理由がある。積み替え港としての上海や周辺港の利益を飛躍的に向上させることができるだけでなく、マラッカ海峡封鎖による致命的な打撃を回避できるからだ。しかし、もしそうするならシンガポールにとっては大打撃となる。こうした理由により、記事はアジアで中国を敵視する最大の国はシンガポールだと論じた。(編集担当:村山健二)


・・・・・・・・・・・・・・



クラ運河計画を巡る各国の思惑
http://kotobukibune.at.webry.info/201507/article_21.html
2015年5月14日、中国・広州のメディア『南方日報』が「中国がクラ地峡運河プロジェクトの覚書に署名した」と報じ、内外の注目を集めたことがありました。

仮にクラ運河ができると、マラッカ海峡の代替航路となり、航程は約1200キロメートル短縮され、運航所要時間を2~5日間短縮され、輸送費も大きく削減できると言われています。けれども、未だに建設されないのは、大きく2つの理由があります。

ひとつは、これまで何度も計画が頓挫した最大の理由でもあるのですけれども、シンガポールの重要性が薄れてしまうということです。

シンガポール港は世界有数のハブ港で、コンテナ取扱量は2012年当時で3165万teu(Twenty-foot equivalent unit)と上海(3253万teu)に次いで世界2位の取扱量を誇っています。そしてそのコンテナの85%は周辺諸国への積み替え貨物です。同じく、アジアのハブ港である釜山や高尾の積み替え貨物が50%に満たないことと比較しても、如何にシンガポール港がアジアのハブ港として重要な位置にあるのか良く分かります。

シンガポール港は大きく、CityターミナルとPasir Panjang ターミナル(PPT)の2つのエリアに分かれるのですけれども、PPTの方は増え続ける貨物に対応するため、現在も拡張工事がされていて、2020年には、最大貨物取扱能力が現在の3500万teuから5000万teuまで増加するとしています。

それが、クラ運河が出来ることによって、船舶がマラッカ海峡を通らなくなって、シンガポール港が廃れてしまうのではないかということですね。

尤も、一部には、独自にコンテナ港を持ち、貨物の取り出し・置き換えなどの機能を有するシンガポール港を差し置いてクラ運河が成功することは余程の事がない限り難しいという見方もあるようです。

そしてもう一つの理由は軍事的理由です。

現在マレー半島を挟んで太平洋からインド洋への移動またはその逆をするためには、マレー半島を回り込んでいくことになるのですけれども、マラッカ海峡は船舶通過の順番待ちの時間が長く、しかも多数の船舶がひしめいています。これは、軍艦をマレー半島の向こう側から、必要な時に素早く投入することを著しく困難にさせますから、軍事的にみれば致命的なことなのですね。

ですから、それに対応しようとすると、軍艦を太平洋側(タイ湾)とインド洋側(アンダマン海)と予め2つに分けてそれぞれ配備して置かなくてはならなくなります。ところが、クラ運河ができると、太平洋からインド洋へ極めて短時間で移動できるようになりますから、2つに分ける必要がなくなるのですね

要するに、タイは、太平洋とインド洋を自由にアクセスできるようになるわけで、軍事的重要性がうんと高まることになります。けれどもこれは同時にインドにとっては安全保障上の脅威にもなるわけですね。

また、アメリカにとっては、マラッカ海峡を封鎖することによる経済制裁というカードを失ことにもなります。

そういったことから、今現在、インドとアメリカはクラ運河の建設には否定的だとも言われています。1973年の4ヶ国合同の運河建設提案のように、1970年台のアメリカであれば、クラ運河建設によるデメリットは左程気にしなくてもよかったのかもしれませんけれども、今はそうではないということですね。その原因の一つには、昨今の中国の拡張主義もあるでしょうね。

世界地図をみれば一目瞭然なのですけれども、インド洋・ベンガル湾に接している国はインド、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、マレーシアです。中国はインド洋に面した港を持っていません。従って、中国は中東石油の輸入に当たってはマレー半島を回って、南シナ海に持ってこなければなりません。要するに、マラッカ海峡は日本の石油のシーレーンですけれども、中国にとってもシーレーンなんですね。

現在、マラッカ海峡は事実上アメリカが守っているのですけれども、アメリカは、シーレーンの重要なチョークポイントであるマラッカ海峡を抑えることで、中国をいつでも牽制することができるというわけです。

もちろん、中国は中国でそれは面白くはないでしょう。ですから、たとえ今回のクラ運河建設計画がデマだったとしても、潜在的にはクラ運河への野望というか意欲は失っていないと見ておいたがいいように思われます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上の解説が極めて妥当だと思います。南沙諸島の問題もあって、中国は、この運河の建設を望むでしょう。しかしニカラガワの代にパナマ運河のように花火を打ち上げただけで、動きもとれない課外投資の失敗をいくつもしています。

シンガポールが、この計画に対してどのような意思表示をしているかはネットにはありません。



中国の記事を読むと、シンガポールが一番反対する国になると読んでいる。

実際のところ中国にこれを成し遂げるだけの資金と技術があるのか疑問だともいえる。

実際に中米ホンジュラスの第2パナマ運河計画もそのままだし、実行力と言う点では首をかしげる。この地図を見るだけでもかなり複雑な地形だ。直線でないから余計にむずかしい。

さらに、AIIBなどの融資でなどといっても、実現性は低いと言える。


ただこの記事で改めて、シンガポールが中國によって、今の繁栄を失うというもろさを持っていることが分かった。

この運河計画を見ていると、この通行の時間、例えば高低差があった場合には、プール式で推移を調整する水門が必要となる。軍事的な意味で戦艦をこの運河で利用するのは問題が大きいのではないか。


日本がもし元にゅの依存を中近東だけにせず、ロシアとかインドネシア、アメリカなどへシフトした場合は、この運河の意味は薄れていく。

まあ、しばらくは計画中という事になるでしょうね。