正月は普段働き詰めの方たちにとっては、やっと訪れた束の間の休息。コタツに入りながら、テレビを見たり、食っては寝てを繰り返されることも多いかと思われます。
 折角の帰省にもかかわらず、家の中でジッとしているのも、なんだかもったいないような気もしまして、砥部焼を見に行くことにしました。


 砥部の方へ車を走らせると、砥部焼会館と炎の里といって、いろいろな窯元から集めて販売している場所があります。
 最近下宿先に人を呼んで、ホームパーティ を開催する事にハマっていて、料理を作ることはもちろんのこと、料理を受ける器も大切だなと。そこから焼き物も、見に行くようになって、今となっては、いろいろ探している最中です。 少しずつ食器も揃えていきたいです。

 ↑砥部焼の原料です。

 2、3年程前に道後商店街の中にある伊織というタオル屋さんに、貝殻のようなおもしろい形をしたぐい呑みが置いてあって、感性にどストライクに響いたものの、衝動にかまけて買ってしまうのもなとも思い、その場では見送りました。その後も帰省毎に「そういえば、あったな〜」と度々思い出してはいたんですけれども、ここ炎の里にも一点だけ、窯元を並べたぐい呑みコーナーの棚に置いてありました。ん〜、一点だけだと、選びようが無いしなぁ…。一旦保留して、初めて出会った場所である道後のタオル屋さんまで行ってみました。


 ついでに一つ。

 伊織の中に置いてあったぐい呑みは、もう売り切れてしまっていて、ありませんでした。ここまできたら、もうどうしても窯元まで行ってしまうしかない。面倒に付き合わされる母親を何とか説得して、再び砥部焼の窯元が集まる五本松エリアへ。



 あの特徴的な形をしているぐい呑みは、ここ龍泉窯で作られています。中に入ると落ち着いた雰囲気で、アトリエが併設されており、暖房が効いていてとても暖かい。棚や机には、普段使いの食器は大小、丸いものから四角いものまで、いろいろ置いてあって、大きめの壺や花瓶等もありました。



 やはり目を惹くのはこのぐい呑み。

 中に入ると、少し大きめのものから、釉薬の種類も様々な物がありました。一点一点微妙に形も違っていて、もう選ぶに選びきれないくらい、ずっと並べてどれにしようか悩んでいました。

 インターフォンを押すと陶芸家のおっちゃんが応対してくれました。お茶まで出してもらって、話しているうちに、「よかったら窯を見ていきませんか」と。「是非お願いします!!」

 工房から程なく歩いてすぐの所に、木で作られた建家があって、奥に煙突が伸びていました。扉を開けると、ぎっしり松の木が積み上げられていました。3メートルほど地面に穴を掘って、そこから奥に向かって、横穴に、そして煙突まで20m程の奥行きがありました。窯の周りにはいくつかぐい呑みや食器類が置かれていて、窯の扉は閉まっていました。焚き口の周りには煤が黒くまとっていて、年季の入った佇まい。電気やガスの窯もあるらしいのですが、薪を使って4日間ぶっ通しで焼くこともあるそうです。貴重な体験に感謝して、また来て、ここで買おうと決意しました。


 そして、購入したぐい呑み三点。奥にある黒いものは、おまけで頂きました。本当にありがたい。
 この形といい、色合いといい。表面も滑らかなものと、ちょっとザリザリした手触りのものと。どれもが全て一点ものなので、小一時間ぐらい悩んでいました。均整の取れたものも、もちろん綺麗ですが、こういった形は立体物ならではで、360°どの方向からも眺め続けられる味わい深さがあります。これまた家に帰っても小一時間眺めてしまっていました。

 今年はこれでいい酒を飲もう。

  感性にビビビッと響いて、忘れられず、気に入った作品があるなら、是が非でも窯元に直接行くべきでした。本当によかった…夏にもまた来ようと思います。


ではでは。