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満天の星降る下に

読書ブログです。

社会科学系、歴史、歴史ドラマ、小説など。

備忘録は、名著からの名言抜粋。

理系に弱いながらも物理学的、数学的思考に興味あり。

アマゾンを覗いていたところ、偶然、朝鮮短編小説集というものがあった。

その中の一編に、桑の葉、という短編が収められている。

むろん翻訳本であるが、朝鮮の小説を読むのは初めてのこと。

また、なぜこれを選んだかというと、例の日本による朝鮮統治時代の小説だからである。

あの慰安婦問題は、日本統治時代のもの。

はたしてその真相はいかに、という問題に対し大変興味がある。

その手がかりとして、日本統治時代における朝鮮人側からの意識、風俗、社会はどんなものであったのか、ということが慰安婦問題を考える上で多少なりとも手がかりになるのではないか、と思う次第。


映画桑の葉は、当然ながら小説桑の葉を原題として映画化されたもの。

しかし、小説を読んでみて初めてわかったが、映画とは似ても似つかぬ作品となっている。

小説のほうは、まったくの駄作、こんなものが世に出たことすら理解できないくらいの幼稚なしろもの。

それに対し、映画桑の葉は素晴らしい出来である。

サブタイトルには韓国エロチシスムという副題が付いているが、まったくの見当違い。当時の韓国社会を知るうえでも素晴らしくよくできており、統治者としての日本人警察官なども出てくる。

映画の最後のシーンは、若い朝鮮人5人が互いにひたすら殴り合いを続けて終わる。

このシーンがひじょうに象徴的である。つまり当時の韓国社会を写しだしているのだと思う。ひたすら目先の自分の利益だけを考え、他人の足を引っ張ろうとする朝鮮人の愚かさを自虐的に描いているのだと思われる。

この映画もまちがいなく秀作の一つであろう。

大久保利通 (講談社学術文庫)/講談社
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本書は大久保に関わった人々、家族を始め同郷の志士はもちろん、明治後政治の世界で関係した人々の回想録によって構成されているという異色な本である。

それによって、大久保利通という人間像を浮き上がらせようとするものである。


それにしても、大久保という人間に対し、家族も政治の世界でも全員が褒め称えている。

明治維新を背負い、その後の明治政府を背負ったという並外れた能力は、日本歴史の中でも稀有ではなかろうか。

いつの時代でも、前の時代を壊す英雄というものは数多であるが、そのあとの建設の英雄というものは数少ない。

大久保利通という人間は、その両方を兼ね備えた実に珍しい人間といえる。

そうしてみると、日本史上、西郷に比べ、大久保の評価というものは、もっともっと評価されるべものだと思われる。

受取人不明、うつせみ、と衝撃的な映画を観た後の、同じ監督キムギドクの三作目。

大いに期待してみたが、この3作の中では一番面白くない。衝撃的映像もない。

なにを主題としているのか、理解できなかった。

やはり、この人の持ち味は、朝鮮人という民族の深い哀しみ、深い慟哭を描いてこそ存在価値があるのであって、一見他の監督も描きそうな安易な題材は扱わない方がよいと思う。