太田道灌に攻められた件(くだん)の小机城址は横浜市港北区

に在り、JR横浜線の小机駅から徒歩15分の鶴見川沿いにあります。区のサイトによれば、「太田道灌は近くの集落の松の大木に

腰掛けて

      「小机は先ず手習いの始めにて

             いろはにほへと ちりじりになる」

と、 歌を詠んで味方を鼓舞した。 その松の大木は3度も植え替えられて今でも存命しているとの事です。


 「小机城址まつりは、区内の歴史的資産である小机城の由来・歴史について広く区民に理解してもらうとともに、スポーツ・健康・

福祉が融合した魅力ある街づくりを推進することと地域の観光振興を図ることを目的として、毎年春に実施されています。」との由。

 今年も4月に第21回が実行され、武者行列・パレードには、小学生による少年少女武者隊・小机小マーチングバンド・城郷小子供御輿・鳥山囃子・消防音楽隊をはじめ区民など、約500人参加

。小机太鼓・武者行列・城郷中吹奏楽ほか盛りだくさん。

 

 太田道灌が、千葉の庁南(ちょうなん)城を攻めるべく山辺の道を行進していた。 すると、林の中から突然に矢が飛んできたり、山の上から射掛けられたりで負傷する兵士もでたので、「海辺を進もう」と言うことに成った。 それでは潮が満ちているか引いているか私が見て来ましょうと意気込む兵士を抑えて、道灌はじっと耳をすましていたが、「大丈夫、潮は引いている」と言い切った。


 遠くなり 近くなるみの 浜千鳥



          声にぞ潮の  満干(みちひ)をば知る


  (潮がみちていれば浜千鳥は近くまで寄ってくる、潮が

       引いていれば遠く離れて鳴き声も聞こえない


  古歌の知識を戦に役立てる・・道灌の面目躍如ですね。

  太田道灌は和歌の達人ですが、古い和歌の知識も豊富です。


  今回は、道灌の柔軟な頭脳が、古歌の知識を戦(いくさ)に活用して成果を挙げた、というユニーク話を二つ紹介いたします。


 ○ ある夜、古河公方軍を攻めるため利根川を渡ろうとしていた

   が、浅瀬を探すにも暗くて判らない。 どうしたら良いでしょう

   と部下が相談にきた。 道灌は、しばし沈黙してから「川音の

   大きな場所を探せ」と指示したのです。 兵士達は川音をたよ    

   りに無事に河を渡ることが出来たという事です。  


   底ひ無き 淵やは騒ぐ山川の 

               浅き瀬にこそ あだ波は立て


   川の底が判らないような深い処は波の音も立たないもの   

    浅瀬にこそ波立つ音がするのです、 という 古今集)


                           以下 次号