鳩山由紀夫首相の辞任表明に伴う民主党代表選で3日、菅直人副総理兼財務相(63)と樽床(たるとこ)伸二衆院環境委員長(50)がそれぞれ記者会見し、立候補を表明した。代表選は4日に告示、投開票される。小沢一郎前幹事長と距離を置く前原誠司国土交通相や岡田克也外相、野田佳彦副財務相らのグループが相次いで菅氏支持を表明。夏の参院選に向け知名度が高い菅氏に対し、党内最大勢力の小沢氏グループも樽床氏で一本化できず、自主投票を決めた。他に立候補の動きはなく、菅氏が過半数を得て代表に選出されることが確実な情勢だ。菅氏は衆参両院での首相指名選挙を経て、4日夜に新内閣を発足させる見通し。【竹島一登】
代表選は党所属国会議員423人(衆院307人、参院116人)が投票し、有効投票の過半数を得た候補が代表に選出される。立候補には国会議員20人以上の推薦人が必要で、菅、樽床両氏とも確保している。新代表の任期は、鳩山代表の残り期間の9月末まで。
菅氏は3日夜、党本部で記者会見し、小沢氏の処遇について「(政治とカネで)国民の不信を招いており、少なくともしばらくは静かにしていただいた方がご本人、民主党、日本の政治にとっても、いいのではないか」と述べ、一定の距離を置く考えを示した。
菅氏は小沢氏について「03年の『民由合併』は私と小沢党首(当時)で決めた。民主党を強くし、政権交代につなげる大きな機会になった」と評価。その上で鳩山首相が小沢氏の幹事長辞任を求めたことを踏まえ、「首相の思いを大事にしなければならない」と述べ、主要閣僚や役員人事で起用しない意向を明らかにした。
衆院解散・総選挙の時期について「もう一度予算を組むか、いくつかの政策を実行するまでは(衆院選を先送りしても)国民の理解を得られるのではないか。参院選も国民の一つの審判だ」と指摘。今夏の衆参同日選の可能性を否定した。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については、移設先を沖縄県名護市辺野古周辺とした日米合意を重視するとしたうえで「沖縄の負担軽減という目標に向かって息の長い努力が必要だ」と強調。昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)については、財源確保策を見直し、社会保障や雇用対策を重視する考えを示した。
一方、樽床氏は会見で、マニフェストに盛り込んだ衆院定数の80削減などを急ぐ意向を示し「世代交代を進めたい」と支持を訴えた。また「社会保障制度の安定と財政再建の両立」をうたい、消費税率引き上げについても「(将来的に)国民に信を問うべきだ」と述べ、次期衆院選後、検討する考えを示した。
民主党内では3日、前原、岡田、野田各氏らのグループが菅氏支持を表明したほか、横路孝弘衆院議長ら旧社会党系グループや川端達夫文部科学相ら旧民社党系グループも菅氏支持を決めた。参院幹部は「樽床氏はなじみが薄く、参院も菅氏への支持が多い」と指摘する。
小沢氏グループは3日、対応を協議。樽床氏が協力要請に訪れたが、自主投票で臨むことを決めた。鳩山首相グループは菅氏支持が大勢とみられ、4日朝に会合を開き対応を協議する。海江田万里衆院議員を推す声も残っているが、首相周辺に独自候補擁立論は広がっていない。
菅、樽床両氏の一騎打ちとなり菅氏の優位は揺るがない見通し。
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