平城遷都1300年祭 まであと100日余りとなりました。

平城京は74年という短い間ではありますが、日本史を語る上でかかせない重要な都の1つ。

遷都1300周年は日本史にとって記念すべき年であると同時に、奈良県の観光事業にとっては乾坤一擲の年となることでしょう。


これまで奈良はその歴史上の重要性と美しい景観から日本を代表する観光地の1つであり続けましたが、残念ながら京都観光とのパッケージにされることが多く、しばしば日帰り旅行の対象となってきました。

今回の記念事業を契機に、奈良県は観光客がより多くのお金を地域に落としてくれるようになることを期待しています。

日帰りで、奈良県内に宿泊してくれる観光客を増やそう、という試みです。


しかし、大極殿正殿というシンボルを再建したり、イメージキャラクター「せんとくん」を打ち出すなどしていますが、正直なところ、イマイチ盛り上がりに欠けているような、そんな気がします。

なぜなのでしょうか。

これはあくまで仮説に過ぎないのですが、奈良の観光的魅力のバックボーンである「歴史」に対するイメージの曖昧さ、が存在するのではないかと思います。


一般的に、史上の他時代と比べて、奈良時代は歴史上の意義の大きさに反して影が薄いような気がします。

例えば、平安時代や戦国時代を題材にした映画・ドラマ・小説・漫画・ゲーム・アニメは多くあるのに対して、奈良時代を扱うものは非常に少ない。

「歴史」という、ただでさえ、渋い(語弊は承知の上で)トピックの上、教科書以外ではなかなか露出のない奈良時代。

奈良時代というコンテンツに対する理解が広まっていない段階で、大極殿正殿というハードを用意するだけでは弱いのではなかろうか。

もちろん、色々なイベントが用意されていることは理解しますが、先ず「奈良に来て貰う」ことが第一であり、興味を引かせる強いきっかけが欲しいところです。


おそらくそのきっかけの1つとして用意されたのが、「せんとくん」だったのかもしれませんが、ブームになるのが早すぎた感は否めません。

主催者側もまさか「せんとくん」のデザインを巡ってあれほどの大騒ぎになるとは考えていなかったのかもしれませんが、あの協奏曲も今はどこへやら。


第二のきっかけが必要です。

記念祭スタートまでそうそう日がない中、やれることは限られますが、たとえば、他メディアとのコラボレーションというのはどうでしょうか。

具体例としては、いわゆるプロダクトプレースメントという広告戦略(映画やドラマの劇中に特定の商品・サービスを登場させること)を用いたり、奈良時代を扱った小説・漫画などのドラマ・映画化、アニメ化など、が挙げられます。

ぱっと調べたところでは、『日出処の天子』という聖徳太子を題材にした有名漫画があるようです。

平城京とは時代が違う上、内容も賛否両論とのことですが、そこは使いようでしょう。

歴史モノに対する世間の関心が高い今なら尚更、消費者のアンテナも反応するのではないかと思います。