とりあえずこの話題に触れざるを得ますまい。

下馬評通り、民主党が300議席以上を獲得し、自民党が惨敗を喫するという結果となりましたが、「これが国民の総意だ!これで日本政治は良くなるぞ!」というように手放しには喜べないわけです。

気になるポイントは3つ。


1. 民主党が勝ちすぎ

これは、今回避けられないことではありましたが、二大政党制を理想形と考えている私は懸念を抱きます。

あまりに1つの政党が議席を獲得しすぎると、これまでの自民党によるように一党優位政党制に陥るおそれがあります。

理想は、二大政党が常に政権交代の緊張感の中でより良い政策を練り上げ、また双方が政権運営経験を蓄積する、ということなのだと思います。

それにより、結果として政治の質が高められるのではないでしょうか。

アメリカ、イギリスも二大政党制にあり、比較的、日本よりも政治の質は高いように思われます。


例えるなら、野球のペナントレースで1位と2位のチームのゲーム差が0.5~1.0であればお互い真剣度合が増すでしょう。

しかし、もしゲーム差が10.0だったらどうでしょう。

勿論、昨今「メークドラマ」などと呼ばれる大逆転劇はありましたが、一般的にゲーム差が大きいほどに真剣度合は低下するのではないかと思います。


2. 投票率が伸びていない

報道によれば、今回の衆院選の投票率は期日前投票が増えた一方で当日の投票は前回並みか減少する見込みとのことです。

投票率はすなわち国民の政治への関心度合を示すバロメーターですので、あれだけマスコミが煽った割には国民の政治への関心は高まらなかったことが分かります。

日本の政治の質が低いことの理由の1つは、国民の無関心であり、今回の歴史的な選挙においてすら事態が大きく好転することがなかったというのは非常に由々しき事態です。


上のペナントレースの例において、観客を国民とするならば、1位と2位のチームのゲーム差が大きい場合、ペナントレースへの観客の関心度合は低くなりがちです。


3. 海外からの反応がイマイチ

あくまで英字新聞などの情報に基づきます。

Financial Timesでは一面に今回の衆院選に関する記事を載せたり、少なくない紙面を割いていますが、論調といてはあくまで淡々と「日本国民の自民党への不満が民主への期待を高めている」という事実を示すのみで、民主党の政権運営手腕は全くもって未知数である、という程度の内容です。

また、すでに報道されているように、鳩山論文のアメリカ批判がアメリカでは大層不評(当たり前)で、民主党に対しても懐疑的な見方が多いようです。

安全保障問題、環境問題、経済問題など世界各国(特にはアメリカ)との連携が、政権運営経験が乏しい民主党にとっては、特に重要となりますので、この点心配です。

別に尻尾を振れということではなく、彼らを納得させるネタを提示できなかった点が問題。


さて、いかに。