HEEL'S GATE
相互リンク募集中! 詳細はこちら

貴方を仄暗い闇の世界へと御連れ致しましょう・・・血しぶき


ドクロ 闇へのリンクページ ドクロ



注意著作権は著作憲法により保護されています。


「HELL'S GATE」のオリジナル画像は全て管理人「鴉」に帰属します。


illustrated by 鴉 Copyright (C)幻夜工房 2011

Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

-第2話- 「綾子」

狂った愛に溺れて… 第1章 ~出会い~ 第2話 「綾子」


幽霊の様に朧げにゆらゆらと歩く。

夢遊病者の様にふらふらとした足取りで。


そして時には乙女の様にその頬に突然涙を伝わらせ。

そして時には生き疲れた老婆の様に深く重く長い溜息をついた。


その顔は青白く、生気は無く。

その目は死んだ魚の様に虚ろな空洞だった。


久藤はそんな危うい精神状態で、現実と狂気の狭間で、何とか仕事を続けていた。


そんな或る日。

久藤は新人の女の子とたまたま一緒に帰る事となった。


そのコは綾子といった。歳は23。スタイルは良くて顔もまあ可愛い。

何より見た目が派手で、そのコが店内に居ると、まるで其処は夜の店の様だった。


そして久藤はそんな雰囲気のコが決して嫌いではなく、

どちらかと言えばそういった夜の空気を纏った女性に惹かれる、そんな傾向にあった。

だが久藤にとって綾子という女性は、外見や雰囲気には確かに惹かれるものがあったが、

優しい雰囲気や言葉遣いというものを女性に対して求める重要な要因としている久藤にとっては、

綾子は純粋にただの同僚というそれだけの存在であった。


何故なら、綾子はいわゆる元ヤンで、性格がキツめで言葉遣いが乱暴だった。

元ヤンが皆そうであるという事ではないが、久藤は綾子のそんな面を不得手としていた。



だからこそ、まさかそんな彼女と男女の仲になるなど、この時の久藤は知る由も無かった。


そう。後々、久藤と綾子は付き合う事となる。

それは本当に、ほんの短い間ではあったけれど。



綾子がこの輸入雑貨店に入店した日。

綾子を笑顔で迎える同僚達の後ろの方に立っていた無口で怖そうな男、

それが綾子が抱いた久藤の第一印象だった。


だが、仕事をしていく日々の中で綾子が感じたのは、

どうやら久藤は見た目とは違って意外と優しい、という事だった。


綾子は今の彼氏と一度別れて、その後ヨリを戻して再び付き合っていたのだが、

やはり以前同様とはいかなかったし、綾子自身の心も最近では彼から離れつつあった。


そんな時、第一印象では無口で怖い男というだけだった久藤に、

何故か綾子は胸が高鳴るのを感じていた。


確かに自分でよく考えてみれば、喋り過ぎる男は嫌いだったし、

170センチの自分より背が高い男が良いと思っていたから、無口で180はある久藤なら悪くは無い。

しかし、久藤には彼女がいる事は人づてに聞いて知っていた。

そして何より、久藤は話し掛け難かった。

元ヤンの綾子は過去に強面の男なんか飽きるほど見てきたし、時にはそんな男相手に喧嘩もしてきた。

だが、久藤はそれらの男達とはまた違う、綾子が過去に触れた事がない雰囲気があり、

元ヤンの綾子にしてみても、その未知の雰囲気がなかなかに話しかけ難い障壁となっていた。


そんな折りに綾子は、たまたま久藤と一緒に帰る事となり、

この日の帰りに交わされた会話がきっかけとなり、二人は後に付き合う事になるのだった。




綾子と久藤は並んで歩いた。


くだらない話をしながら…。


それは仕事の話や愚痴だったり、上司の悪口だったり、同僚の噂話…。

何となくお互いにぎくしゃくしながら、それでも何となく浮かれた気持ちで、

二人は駅までの道のりを歩いていた。


綾子は久藤に彼女の話を振ってみた。

別に何かを期待していた訳ではない。

ただ、最近の久藤を見ていると、彼女と上手くいってないのかな?と思ったから、

本当に何となく、ただ聞いてみただけだった。


すると、久藤から思いもかけない言葉が返ってきた。

長年付き合った彼女と別れたと。


綾子は驚きと喜びで、つい叫んでしまった。


「やった! 別れたんだ?」


久藤はその綾子の声を聞き、自意識過剰かと思いながらも一瞬ドキッとした。

それは心が弱っていたせいかもしれないが、

この瞬間から綾子に対する久藤の意識に変化が表れ始めた。

そうすると、もう少し綾子の事を知ってみたいという思いが芽生え、久藤は綾子を誘ってみた。


「週末にウチで飲み会やるけど、良かったら来ない?」


綾子は目を輝かせ満面の笑みで答えた。


「え~マジで? 行く行く~!」


その笑顔を見て、普段はキツくて言葉遣いも乱暴な綾子の可愛らしさを垣間見た気がして、

久藤は少しドキドキしていた。




こうして久藤の新たな運命の歯車は回り始めた。


「狂った愛に溺れて…」目次はこちら

金蛇

昨夜は下北沢のQueに

水戸華之介さんと騒音寺のライヴを観に行った。


ちなみに水戸さんとはアンジーのVoだったお方だ。


どちらもCDは持ってなく、付き合いで行ったのだが、

なかなか良かった。


騒音寺は初見だったが、

Voのなべさんがとても味があるキャラで

妙に頭から離れなくなってしまった。


そして水戸さんもカッコ良かったが、

水戸さんの横でベースを弾く内田雄一郎さんが良かった。

内田さんは言わずと知れた筋肉少女帯のBだ。


筋少を観に行きたくなった…。


HEEL'S GATE-金蛇

さて、1ヶ月放置プレイになっていた金蛇をやっと接着。


HEEL'S GATE-金蛇

踊っている訳ではない。


HEEL'S GATE-金蛇

合体するのである。

次はもう数日乾燥させて、削り込んでいく。


ところで最近、小説を載せ始めたが、

アップした後もわりと小まめに推敲しているので、

気が向いた暇な時にでも読んで頂けると嬉しい。

-第1話- 「孤独」

狂った愛に溺れて… 第1章 ~出会い~ 第1話 「孤独」


泣き疲れて目覚めた朝。


何もしたくない。 何も考えたくない。 何もかもを捨ててしまいたい。

久藤はもはや全ての事に関心は無く、ただ無気力だった。



しかし彼女にフラれようが朝日は昇り、また一日は始まり、

生きる為には食事を摂らなければならないし、生活する為には働かねばならない。




そして今日も仕事が始まる。

久藤は重い心と重い体を引きずり部屋を後にした。



とぼとぼ…、とぼとぼ…と駅に向かう。



虚ろな眼で、弱々しい足取りで、それが刷り込まれた行為であるかの様に



とぼとぼ…、とぼとぼ…と、ただ駅へと向かう。



久藤は思う。

この胸の穴は次第に大きく大きく、その領域を広げて、

やがて自分という存在はこの世から消て無くなるのだろう。


そんな妄想に捕われ、何の為に歩いていたのかという事さえ忘れ、久藤はただ歩き続けた。

川を流れる落ち葉の様に、人の流れに身を任せ、濁流に浮き沈みする塵芥の様に、

何に抗う事も無く久藤はただ人のうねりに身を任せ歩いた。


そして駅へ流れ着いた久藤を乗せ、電車は発車する。


電車はその中にいる人間達が人生に絶望していようと、彷徨っていようと

定められた道を迷わず行く。

その迷いの無い力強さが生む揺れに久藤は身を委ねる。


ガタンゴトン…、ガタンゴトン…、揺れるがままに…


ガタンゴトン…、ガタンゴトン…、ただ呼吸を繰り返し…


ガタンゴトン…、ガタンゴトン…、流されるままに…


ガタンゴトン…、ガタンゴトン…、ただ其処にあるだけ…



ガタンゴトン…、ガタンゴトン…、ガタンゴトン…



ガタンゴトン…、ガタンゴトン…、ガタンゴトン…。



電車の揺れと一体化していく間に、久藤は自分が消え去って行くかの様な錯覚を覚えた。

夏の陽射しに溶けて消える氷の様に、

自分自身の何もかもが跡形も残さずにこの世界から消えて無くなる。


こうしている今も少しずつ、少しずつ、意識は輪郭が曖昧になり、滲み、溶け出し、

そして自分の存在は埋没し拡散し、やがて希薄になり霧散し消え去る。


始めから久藤龍一という人間は存在していなかった様に…。


この世界はもはや久藤にとっては身体が属している次元であるだけで、

心はここに存在していなかった。


それは閉ざされ、鎖にかけられ、深い深い…、

果てしなく深い暗闇の深遠へと葬り去られていた。


隣の男の肘が身体に当たり、前の女の髪が目や顔を打つ。

やたらと人にもたれ掛かってくる人任せに立っている奴、

脂ぎっていて触れたくも無い肌を密着させてくる奴。


普段なら神経を逆撫でするそんな満員電車も

心を失くし、虚無にとり憑かれた久藤は何も感じる事は無かった。


喜びも哀しみも棄て、ただ生きながらえるだけの生きた屍と化した久藤にとっては、

もはや現世の些事など関心も無く、どうでも良かった。


電車を降りて、どこをどう歩いたのか覚えていなかったが、

気付くと久藤は職場である輸入雑貨店に、いつの間にか着いていた。

長年通い慣れた道は無意識でも辿れる。


生活する為に生きて行く為に意識せずとも久藤はこうして職場に立っている。

それが無意識であろうと命は生きる事を望んでいる。

心が死んだとしても現にここにこうして久藤は存在している。


辛い事があろうと、悲しい事があろうと、

人はこうして営みを続けていかなければならない。


久藤は事務所の天井を見上げると、蛍光灯の眩しさに目を伏せ、

暗い顔のまま重い足取りで、虚ろに店内へと歩み出した…。


「狂った愛に溺れて…」目次はこちら

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>