一つのテーマについて書いている人のブログを読むと、

いくつかそのテーマについてネタをもっていて、

一回一ネタ書いているように思います。



そういうわけで、今日は私もいくつか

トピック(ネタ)を挙げてみたいと思います。



=南部について語る際のトピック=

- 奴隷制とその後の歴史

- 気候

- 南部の花

- 南部の産業

- 人種問題

- 宗教

- 南部人の気質と呼ばれるもの

- 服装

- ソロリティーとフラタニティー

- 南部料理、メキシカン、ケイジャン

- 南部の方言

- 黒人の文化

- 大学

- 北部人の見た南部



どうでしょうか?

何か他に「こういうのはどうなの?」というのがありましたら

遠慮なくお知らせください。



で、このまま終わるのも何なので、

今日は南部の気候について書きたいと思います。



南部は一年を通してだいたい温暖です。

と言っても、南部の中でも北の方は冬には雪が深く積もり、

私の住む深南部と呼ばれる南の方では

冬と呼べるほどのものはない、というくらいの違いがあります。

地図で見ると南部はまとまった狭い地域のように見えますが、

それはアメリカがものすごく広いせいで、

実際は南部だけで日本の総面積の3.5倍以上あるのです。



そう言えば私は自分の住んでいるところの気候しか知らないので、

申し訳ありませんが、「南部の気候」ではなく、

「深南部にある私の住んでいる地域の気候」をご紹介したいと思います。



私の住んでいる地域の2月4日現在の気候は、冬です。

このあたりで日本で考える冬にあたる気候が始まるのは12月頃、

終わるのは2月か3月頃だと思います。

日本のように、10月、11月ごろから段々寒くなって、

1月、2月と底冷えのするような寒さを経て春になる、

というのとは違って、

11月や、遅い時は12月の初めまで半そでを着るような暑さで、

12月から急に涼しくなります。

その後、12月から3月までの間は

全体的に日本の秋から初冬のような陽気が続き、

2、3回、3日から1週間程度の真冬日が入ります。

雪はめったに降りません。



冬が終わると春になりますが、

昨年、春休みに10日程度、日本に帰りました。

3月の終わりにこちらを出るときは肌寒い春の陽気で

薄手のコートを着ていましたが、

10日後に帰ってみると、すっかり夏になっていました。
てっきり寒いと思ってコートを着てアトランタに降り立った私は
数分後に季節が変わっていることに気がつく頃には
すっかり汗だくになっていました。

秋とか春とか、中間の過ごしやすい季節がとても短いのです。



さて夏ですが、アメリカでは、南部の気候といえば、

夏のうだるような蒸し暑さが真っ先に思い浮かべられます。

小説の中の、絞るとお湯のでてきそうな空気の描写とか、

こちらの人からもさんざん脅されて、覚悟していましたが、

実際は、蒸し暑さ自体は大したことありません。

太平洋に面した日本の方がずっとひどいです。

一年目の夏には思ったより低い湿度に拍子抜けしてしまい、
「あの小説の描写全部日本に捧げた方がいいんじゃないか」と思いました。

でも、おそらく南部の夏の威力の本質は、蒸し暑さよりも、

むしろその長さにあるのだと思います。



日本で夏の陽気が続くのはせいぜい3ヶ月程度ですが、

ここでは4月から気温28度前後の夏が始まり、3ヵ月後の7月、

気温35度を超す本格化した真夏の陽気がやってきて、

それが8月、9月、10月、と続くのです。

8月にはすでに体力を消耗しきって、

その後は何もやる気が起きません。

南部の人がみんな時間にルーズで、

話すのも動くのもゆっくりなのも、

この暑さのせいかもしれません。



こんな風に冬があまりなくて夏が長いと、

やる気が出ない以外にも良くないことがあります。

それはゴキブリです。

夏にはゴキブリをたくさん見かけます。

冬にあまり寒くならないので、前の年のゴキブリが死なず、

そして新しく生まれたゴキブリもいて、

増えていくばかりだからだそうです。

すごいところは、ゴキブリが家の中でなく、外にいることです。

夜に外を歩くと、必ず足元を黒いものがすばやく通り過ぎていったり、

行く手を阻んでいたりするのに何度も出くわします。



もちろん悪いところばかりではありません。

この気候のために生まれた素敵な文化もあります。

それは、屋外で食事をすることです。

アイスクリーム屋さんはもちろん、

コーヒーショップや、個人経営のレストランやバーの多くが、

客席の約半分を屋外にあてています。

日よけ用の大きなパラソルがついた金属製のテーブルで、

コーヒーを飲んで友達とおしゃべりしたり、

お昼休みにサンドイッチを食べながら、
会議をしている会社員もいます。

寒い時期にも昼間は暖かいし、

暑い時期にも夜は外に出れば夕涼みになるし、

これは、一年のほとんどが

外で食事を取れるような気候だからできることだと思います。

お店だけでなく、庭にパラソル付きのテーブルを置いている家もあって、

私もクリスマス休暇にホスト・ファミリーの家に行ったときは、

みんなで庭にあるテーブルでお昼ごはんを食べて、

その後は日向ぼっこをしました。



さて、ここまで深南部にある

私の暮らす地域の気候について書きましたが、

深南部って、ちょっと耳慣れない言葉だと思います。

深南部というのは南部の中でも南にある州のことで、

フロリダ、ジョージア、アラバマ、ミシシッピー、ルイジアナ、

の5州を指します。

今日私が書いたのは、その中でも私の住んでいる一地域の例ですが、

常夏のリゾート地フロリダを除いて、

深南部の他の四州は似たりよったりの気候で、

私が今日書いたものとだいたいどこも同じだと思います。



そこで、

アメリカ南部を舞台にした文学作品を思い浮かべてみてください。

読んだことのない人も、暇な時に一つ手にとってみてください。

そしてどこの州を舞台にしているか見てみてください。

ストウの『アンクル・トムの小屋』はルイジアナとミシシッピ、

フォークナーの『響きと怒り』はミシシッピ、

ウィリアムズの『欲望と言う名の電車』はルイジアナ・・・

南部、と言った時に、実際はほとんどが

深南部を描写していることに気づきます。

それは、アメリカ人が抱く南部のイメージが、

深南部に凝縮されて見られるからです。

そのことはまた後日書きますが、

だから、今日の日記を読んで、

私の住んでいる地域の気候を知っただけでも、

「南部」の気候について、

イメージが得られると思います!




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