[2019/12/23] 上毛新聞
抗がん剤治療で髪が抜けた人に贈るため、前橋市のボランティア団体「スマイル」が手作りした帽子が、発足から4年で5000個を超えた。賛同した人から合わせて100キロ超の毛糸が寄付され、活動の後押しになった。メンバーは協力に感謝し「治療に不安を持つ人に、これからも帽子で笑顔を届けたい」と願っている。
◎亡き姉の望み 「同じ思いの人のために」
スマイルは元小学校教諭の桃井里美さん(59)=同市=が2016年1月に立ち上げた。がん患者や支援者ら1都5県の36人が所属し、群馬、栃木、愛知3県の計15病院に帽子を届けている。毛糸や綿の帽子は色や柄がさまざまで、外出にも適したデザインを心掛ける。
帽子を受け取った患者からは「心が温まった」「励ましがうれしかった」とのメッセージが寄せられ、メンバーの励みになっている。
メンバーの女性(58)=同市=は25年前、がんで姉を亡くした。「姉も『外でかぶりやすい帽子がほしい』と言っていた。姉に対してできなかったことを、同じ思いの人のためにしたい」と話す。
桃井さん自身も難病の療養生活を続ける。13年に個人で帽子を寄付しようと思い立ち、看護師の協力を得て活動が始まったという。「スマイルがあるのは、寄付を含め多くの人の支えのおかげ」と感謝している。
スマイルは毛糸の寄付を受け付けている。問い合わせは県難病相談支援センター(電話027-220-8069)へ。