さてさて早速シリーズ第二弾です。
今回は、万が一ユーロ圏が解体になったとして、フランスへの影響を考えます。
結論から言うと、フランスはユーロ圏解体に耐えられないでしょう。
フランスのGDP対比の政府債務はかなり大きく、これまで散々削減して来ましたが、なお年間GDPの80%以上の水準です。それでもこれまで大きな問題になってこなかったのは、フランスのGDPが緊縮財政を受けてなおプラス成長を維持するとの政府見通しがあるからです。
要は、「借金はたくさんあるけど、経済全体が成長するから余裕で返せるよ!」ということですね。
しかし、市場では最近この「プラス成長」を疑問視する声が聴かれます。
市場の関心がギリシャ、ポルトガルやイタリアに向いている間に緊急財政緊縮政策を相次いで打ち出し、政府債務の削減に努めているフランスですが、これはGDP成長率に確実にマイナスの影響を与えます。
当然ですよね。政府が国内向けに使用するお金の額を減らすのですから、家計は冷え込み消費は縮小します。
しかし、この現実に向き合わず、過度に楽観的なGDP成長率見通しを立てているのでは、と市場は疑義の目を向けているわけです。
また、前回の記事でも触れましたが、フランスの銀行のイタリア国債購入高は、フランスのGDPの半額程度と巨額です。
ユーロ圏解体によりイタリア経済が崩壊すると、フランスの金融システムは大打撃を受けます。
これらのダブルパンチがありますので、ユーロ圏が解体した場合、フランス経済はかつてなく冷え込みます。
フランス国債は売られ、独自通貨も売られ、金融機関は破たんし、借金の額は(ユーロの相対的上昇で)増えます。
つまり、フランスのような一流国かつAAA格付けの国でさえ、ユーロ崩壊には耐えられないということなのです。
ますます、ユーロの存続が当事国にとってどれほど重要かがわかりますね。