会社の「強み」ってのはたいがい組織や従業員の中にある。

 

ところが、ブラック企業の経営者は、自社の「強み」は自分のアイデアのことだと思い込んでいる。

 

だから、ブラック企業の戦略は、トレンドに飛びついたようなものが多い。

経営者は自己満足しているようだけど、従業員は皮肉交じりに「うちの社長は頭が良いから色々と考えているみたいだけど、俺には関係ないわ」って感じに他人事である。

 

だから言われたことしかしようとしない。

 

それを見た社長は、部下をロボットのように働くように監視と統制を強化するようになる。

 

そのやり方に部下は嫌気がさし、ますます働かなくなり、社長はさらに監視と統制を強化する。

 

ブラック化の自己強化現象である。
 
実は、ブラック企業の経営者であっても、部下には、創造性を発揮して、どんどんチャレンジしてもらいたいと思っている。

 

でも、うちの従業員は生まれつき主体的でないのだと諦めている。

 

原因が自分だなんて、これっぽっちも気づいておらず、「戦略はいいのに、従業員がぼんくらで・・・」ってグチるのである。
 
■ブラック企業のマネジメント
ブラック企業の特徴として「えせPDCAサイクル」が挙げられる。
 
(えせPDCAサイクル)
①金儲けしか目的の無いプラン(P)
②やらされ感だけの実行(D)
③監視と懲罰(C)
④理想論と独断の改善(A)

このようなやり方をしていながら、ブラック企業の経営者は、自分に問題があるとは思わない。

 

「うちの従業員はホントやる気がないし、能力低いし、根性ないし、反発するし、すぐ辞めてしまう。」

 

「従業員のレベルが低すぎてマネジメントにならない」

 

などと本気で思っている。

 

従業員のことをまるで信用していないから、えせ PDCAしかできない。
PDCAを何とか使いこなすには 2016/11
 
■どうやったらブラック企業でなくなるのか
要するに、ブラック企業とは「戦略」がなくて、「マネジメント」ができていない会社のことである。

 

そんな会社でも「人件費の削減」と「労働強化」さえすれば存続できるから、社長の性格に関わらず企業はブラック化するのだ。

 

だから、必ずしもブラック企業の社長イコールサイコパスってわけじゃない。

 

どちらかと言えば社長の知識不足が企業のブラック化を招くと言ったほうがより現実に近いと思う。

(もちろん、確信犯的なサイコパス社長によるブラック化もあると思うけど・・・)
 
では、どうやったらブラック企業化した状態から脱することができるのか。

 

これについては、「人が信頼して付いていくのは、どんな人か」をまず考えてもらいたい。

 

多くのブラック企業の社長は、部下を信頼していないくせに「自分を信頼しろ、尊敬しろ」と言っているけど、そんなんで付いてくる人がいないのは、誰だってわかるはずだ。