映画の中の奇妙なニッポン

映画の中の奇妙なニッポン

クール・ジャパンの向こう側、フール・ジャパンの世界へようこそ

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『映画の中の奇妙なニッポン
皿井垂・著 (彩図社)¥1,300


 

【目次】


(1)古き良きメガネ出っ歯の世界
おい、ミスター・モト! / トレンチコートのボギー、東京をゆく / ゴッドファーザーの黒歴史 / なりきりニッポン人に苦笑い


(2)日本人ツーリストの掟
ひっぱりだこの日本人観光客 / ホラーからサスペンスまで、ところかまわず登場 / ディズニーよ、お前もか! / 見学するは我にあり


(3)世界一有名な職業……ヤクザ
小指を残して帰国するミッチャム / 放送不能、一線を超えたテレビシリーズ / ヤクザ・イン・ニューヨーク / 馬鹿ほど恐いものはない / 人生いろいろヤクザもいろいろ


(4)昔はゲイシャ、今は女子高生?
すべての日本女性はゲイシャである / ゲイシャ遊びは続くよどこまでも / 揉み上手な女たち / 世界にはばたくジャパニーズJK / ダーリンは外国人


(5)おそるべし、日本企業
地獄の特訓! 土下座する中年社員 / トヨタのケツにキスしろ! / ハイテクパワーで世界制覇 / 気合いと狡猾


(6)切り取られたニッポンの風景
レトロな昭和のデパートの屋上で / 最新SFXが炸裂する現代の日本 / 見知らぬ異国の街トキオ / まるでルーシー・ブラックマン事件 / 下町が異次元空間と化すZ級トロマ映画 / ウサギ小屋住宅事情 / 世界中で人気、または、地球全体の危機 / シャッター商店街もロボットレストランも


(7)キャラ立ちしているニッポン人
「ギーク」も「ナード」もオタクです / セックスアニマル伝説 / 頭脳明晰、勉強熱心 / スポーツ分野でも感動をありがとう / 結局やっぱりマーシャルアーツ / 消されたニッポン人


(8)ニンジャとサムライは永遠に不滅です
手に汗にぎる新幹線チャンバラ / 三位一体のスペシャルサービス / ちんどんやさんですか? / もうひとりのケン・ワタナベ / 我が道をゆく香港ニンジャ / ニンジャ大好きUSA / サムライ、インターナショナル


(9)大日本帝国バンザイ!
パンツをはいたサル / リメンバー、パールハーバー / ミスターアメリカ、硫黄島に死す / 「僕は日本軍に入りたい」 / 楽園を見においで…日系アメリカ人強制収容 / マッカーサーがやって来た / 大東亜共栄圏ムービーズ


(10)ジャパニーズ特撮レジェンド
アニメと特撮を愛したガイジン監督 / アイアムガッズィーラ! ユーアージャパーン! / コケたゴジラ、復活の日 / 特撮の神様を訪ねたハリウッドの2人


(11)みんなでいじろうニッポン!
少年ジャンプにJホラー、実写化とリメイクの嵐 / 変態枕草子からオクラ入りMISHIMAまで / ケヴィンが62回見たクロサワ / みんな大好き、リドリー・スコット劇場 / 最後の侍のテレフォンショッキング / オースティン・パワーズ、日本をいじる / ボンド、日本で結婚する / お嬢様BENTOの超絶作法 / 
とほほ和食は無形文化遺産?(あとがきにかえて)



カチンコ


Amazon内容紹介より  

日本を訪れる外国人観光客は年間1000万人を突破した。2020年には東京オリンピックも開かれる。いま、日本では“クール・ジャパン"を合言葉に日本文化を海外へ発信する動きがひときわ盛り上がっている。しかし、その一方でいまだに日本に対して色々と間違えたイメージを持つ外国人は多い。とりわけそれが顕著に現れているのが「海外で作られた映画」だろう。 学校の給食に豪華な会席料理を登場させ、勘違い全開のニッポン像をぶちかました「ワイルド・スピード3」(2006年)、 日本軍の大本営に原っぱで開戦会議をさせた「パールハーバー」(2001年)などなど、 比較的最近でもおかしなニッポン像をまき散らす映画は多い。はたして外国から見た日本の本当のイメージはどうなのか? そのイメージはどう移り変わったのか? はたまた変わっていないのか? 古今東西、数百本に及ぶ「日本が登場する外国映画」を検証し、洋画の中の奇妙なニッポン像に迫る!

[著者について]
1996年末からタイのバンコクを拠点に活動。 近著に、昭和のテレビ洋画劇場を振り返った『トラウマ日曜洋画劇場』(彩図社)がある。 『バンコクジャパニーズ列伝』(彩図社)、『バンコクで外こもり! 』(河出書房新社)など、海外での異文化体験にまつわる皿井タレー名義の著書多数。

ようこそ、フール・ジャパンの世界へ!




『映画の中の奇妙なニッポン』(彩図社)


<主な内容>
(Part1) 古き良きメガネ出っ歯の世界
(Part2) 日本人ツーリストの掟
(Part3) 世界一有名な職業……ヤクザ
(Part4) 昔はゲイシャ、今は女子高生?
(Part5) おそるべし、日本企業
(Part6) 切り取られたニッポンの風景
(Part7) キャラ立ちしているニッポン人
(Part8) ニンジャとサムライは永遠に不滅です
(Part9) 大日本帝国バンザイ!
(Part10) ジャパニーズ特撮レジェンド
(Part11) みんなでいじろうニッポン!
(Part12) トホホ和食は無形文化遺産


『まえがき』より抜粋


「マンガ・アニメ、カワイイ・ファッション、和食が海外で大人気!」
「日本の最新技術ときめ細やかなサービスを外国人が絶賛!」


 テレビをつけると、最近はそんな「クール・ジャパン」推進番組ばかり。素直な人は日本人として生まれたことをあらためて誇りに思うだろうし、ひねくれ者は政府の洗脳か大手広告代理店の陰謀だと考えることだろう。


「クール・ジャパン」の現実。外国から見た日本のイメージは本当はどうなのか? それはどう移り変わってきたのか、あるいは変わっていないのか? この疑問を解く「手がかり」は、海外で制作された映画作品にある。映画は、作り手である外国人が日本に対して持っているイメージが、そのまま映像として表現されるからだ。


>  勝手にそう決めつけた私は、なんだかよくわからない情熱を傾け、日本に関する描写を含んだ(もしくは日本になんらかの関係がある)映画を、片っ端からチェックしてみた。本書はそうした数百本の「ジャパンがらみ映画」の検証結果をまとめたものである。


 紹介した映画の中には、作り手の日本に対する深い理解と愛情が感じられる力作もあるが、めちゃくちゃアタマ悪そうな誤解だらけのゴミ映画もある。外国人の描くこうした「奇妙なニッポン」の姿には、「クール・ジャパン」じゃなくて、「フール・ジャパン」とでも呼びたくなるような香ばしい魅力があり、マニアにはたまらなかったりするのである...。



「ボンドさん、あなたの胸毛に日本の女はクラクラだ」

007を泡姫洗体エステで接待する若き日の大霊界


「今夜はインタ―ナショナルなラーメン屋だよ!」


ご満悦...いい顔してます

秋葉原で買いまくるギレルモ・デル・トロ監督


寿司職人に活きづくりにされるお相撲さん


とっても単刀直入なジャパニーズサラリーマン
「キンパツのねえちゃん、ちょっと待て。ハウマッチ?」



不思議なふんどしエプロン姿のラストサムライたち



日本の伝統文化に対する深い理解と愛情が感じられ...

るわけないだろ! (゚Д゚)ゴルァ!!

タイのメイド喫茶の栄枯盛衰については、『バンコクで外こもり!』(河出書房新社) という本で熱く語らせてもらいましたが、2015年現在、秋葉原から海外進出した日本のメードカフェ「めいどりーみん」の独走状態になってます。


http://maidreamin.co.th/  オフィシャルサイトによれば、101,884人がめいどりーみんタイランドについて「いいね!」と言っています...とのこと。


「めいどりーみん」のあるエカマイ・ゲートウェイは、すき家、幸楽苑、ツルハドラッグ、マックスバリューなども入っている、日本をテーマにした商業施設です。最近、最上階にフードコートらしきものもできたのですが、いきなり「食べ物」と書いたちょうちんがあってヒザの力が抜けます。


エカマイを出てスクンビットをプロンポンへ。エンポリアム・デパート前で「ほっかいどう」を背負った女の子と遭遇。タイでは飲食店の従業員が制服のまま出勤することも多く、先日は背中に渋い筆文字で「宮武讃岐うどん」と書いてある女の子とバスで一緒になりました。



プロンポンから、そのまま西に進みアソークへ。バンコク都心の巨大ショッピングモール・ターミナル21にもジャパンフロアがあります。「代官山」と書かれた看板のすぐ横に「鶯谷」という看板があったり、店頭にでかでかと「かわいい」と書いてある店で風俗嬢しか着ないようなえげつないドレスを売っていたり...シュールな世界が楽しめます。



アソークから、さらに西に進みサイアム・スクエアへ。2014年12月にグランドオープンしたサイアムスクエア・ワンは、丸亀製麺と天丼てんやが隣り合って並んでおり、デフレグルメの聖地になってます。スクエアワンの南側入口には、サンリオ・ハローキティハウスもできて大盛況。



引き続きどんどん西へと進み、チャオプラヤ川沿いのチャルンクルン通りへ。シャングリラホテルそばのロビンソンデパート1階にあるドラッグストアの名前は、ズバリ「おげんき」



とはいえ、ネーミングの有無を言わせぬ力強さでは、ソイ・アーリーの新店「まいうー寿司」に軍配か?

ブラショフ。

トランシルヴァニア地方にあるルーマニア第2の都市。


ドラキュラのモデルになったヴラド・ツェペシュ領主がよく訪れたというブラン城(ドラキュラ城)が、このエリアの数少ない観光資源。


こんな町にも日本が好き、Jカルチャーに興味津々という人たちがいると聞き、首都ブカレストから列車に揺られて約3時間。現地の日本語勉強仲間のパーティーになだれこむ。ほとんどモチ状態の海苔巻きを食いつつ、はるか彼方の日本を思う...。



淡々と日本語のアニメソングを歌い上げるマニアも。


地下の酒蔵で40度以上にもなる蒸留酒ツイカを飲まされ、へろへろに。


日本語しりとり大会が始まった。ツイカで酩酊状態の私の番になり、「ぬで始まる日本語、ぬ、ぬ...ヌード!」と言ったら、それまで陽気に騒いでいたみなさんが静まりかえった。特別卑猥な単語だとも思えないし、変にウケを狙ったわけでもなく、本当にその言葉しかとっさに出てこなかったのだが...。

プノンペン。

まさかイオンモールがカンボジアにオープンするような時代が来るとは...というわけで2003年、まだ「人類の夜明け」状態だったプノンペンを、『新・好きになっちゃったカンボジア&ラオス』 (双葉社)の取材で訪れた。

キャピタルGHつーちゃん食堂
キャピトル・ゲストハウスから歩いて30秒、和食に飢えた日本人バックパッカーの定番スポットだったツーチャン食堂。店の本棚にはゴルゴ13、モーニング、ビッグコミックスピリッツなど定食屋の基本から、「翼をください・ジェームズ三木」「女心をつかむ101のマニュアル」などマニアックな蔵書も。


ソリヤショッピングセンター

セントラルマーケットのすぐ南、できたてほやほやだったソリヤ・ショッピングセンター。1階にはラッキースーパー、上の階にはBBワールドバーガーがあり、怪しげなコピーゲームソフト、海賊版ビデオCDを売る店がパラパラ。


ソリヤには、当時、カンボジア全土でここにしかないと思われるエスカレーターがあった。平日は常連客が多いので問題ないのだが、週末ソリヤにやって来る人は、はっきり言っておのぼりさんというか、エスカレーター慣れしていない人が多い。そんなわけで、週末に訪問すると、このエスカレーター上り口のあたりで、なんとも気まずい光景を目撃することになる。


乗りこむきっかけがつかめず泣きそうな顔で立ち尽くしている少女。見てて気の毒になるほど緊張して全身でベルトにしがみついているおじさん。一度は乗ろうとしたが結局自分には無理とあきらめ階段のほうに回るおばちゃん。友達数人で手をつなぎ必死の形相でジャンプする学生たち。エスカレーターに乗ったこと自体がうれしくてはしゃぎまわる子供...21世紀とは思えない光景が続出するのである。


カンボジアの映画館
こちらはノロドム通り、ロイヤルGHそばの映画館LUX CINEMA


プノンペンの映画館
壁には「ナイフや拳銃や爆弾は館内持ち込み禁止!」という迫力満点の注意書きが。エントランスでは空港より厳重なセキュリティチェックを受け、入念なボディチェックと強制手荷物預けを経て、なんとか中に入る。


ノロドム通りモニヴォン通り-映画館

客席は既に大混雑で熱気むんむん。香港製お色気コメディの予告編や、「買春行為は通報しよう!」みたいなえぐい政府広報などが入れ替わり立ち代わり上映され、期待がふくらんだりしぼんだりで大変だ。そんなこんなで開始予定時間を30分過ぎ、超満員御礼状態になった頃、館内に国歌が流れ全員起立、ついに本編が始まった。


それにしても、地元のみなさんのドラマへの感情移入ぶりはハンパない。主人公が卑劣な悪者に一発くらわすと大歓声&割れんばかりの拍手。逆に主人公がやられたりすると、みんな目に見えて意気消沈、半べそだ。4000リエルでこれだけ夢中になれるなんて、いやー、映画って本当にいいもんですね~。