大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」の擁立した広田和美氏が既存政党との戦いを制した。地域に密着した政党の組織力による「どぶ板選挙」が定番の市議選レベルでも、知事人気を前面に押し出した「空中戦」が通用することが示された。来春の統一地方選に与える影響は必至だ。

  [フォト]万歳する大阪維新の会の広田和美氏

 今回の選挙は4月に発足した維新の会の初陣で、候補選定は選挙から約1カ月前の4月下旬。広田氏は兵庫県尼崎市生まれの奈良市育ちで、最近まで大阪市天王寺区に住んでいた落下傘候補。他候補と比べると、福島区との縁は薄く、知名度も高くはなかった。それでも当選したことに、選挙関係者は「知事人気が想像以上に深く浸透している」と驚きを隠さない。

 橋下知事が全面支援した新人が共産を除く各党相乗りの現職を破って当選した昨年9月の堺市長選は、関係者の間で「堺ショック」と呼ばれた。続いて知事人気が既存政党の組織力を上回ることを示した今回も“福島ショック”とでも呼ぶべき衝撃がある。

 知事や広田氏らは選挙戦を通じて、大阪府と大阪市を再編する大阪都構想の実現を訴えた。広田氏の大量得票は有権者が変化を求めた結果といえるが、維新の会が最大会派となった府議会とは異なり、市議会では定数89のうち広田氏を含めてわずか2人。市の解体を意味する都構想に対し市議会各会派の反発を強い。

 ただ、今回の選挙戦は、政権与党の民主をはじめ各党が地元国会議員や今夏の参院選に立候補予定のタレントを応援に投入。異例の国政選挙並みの態勢でも知事人気の壁を崩せなかった事実は重い。統一選を来春に控え、地方議員らが「刺客」の擁立を恐れ、維新の会へなだれを打って加入する可能性もあるだろう。

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