その日、ママはテニスに出かけていました。
珍しくパパから電話がきて、『お金がなくなった。長男に取られた。』と言ってきました。
お金の数え間違いではないのか確認したけれど、銀行に入金するつもりで10万円を封筒に入れていたから間違いではないとの事。
2万円なくなっているそうです。
2万円って。高額だな。
万が一でも、長男以外の子供かもしれません。いや、そんな事は考えられなかったけれど。
女子達に『お金がなくなったけれど、あなた達ではないわね?』の確認メール。
100%長男なんでしょう。
旦那と話し合いました。
長男は今までしょっちゅう、ママのため姉弟のために、ケーキを買ってきてくれる子でした。
でも、それは、自分のお金ではない時もあった。
それは、間違った幸せの形。
誰かの幸せのために、他の人から奪うという事は間違っている。
もちろん、自分のための漫画本を買っていたんだから、そもそも悪いんですけどね。
警察に行くなんて、ママはたまらなくイヤでした。
恥ずかしいし、忙しいのに時間を取られるし、学校にも連絡いくだろうし。
でも、親として、子供が間違った幸せを覚えないようにするために、行かなければいけない。
腹を括りました。
まずは警察に電話をしました。
長男が父親からお金を盗んだ事。
長男を更生したいので、警察のご協力をいただけないかという相談をしました。
長男は部活があるので帰宅は18時過ぎ。
長男と一緒に警察へ行く事になりました。
朝、長男を学校へ見送る時は、まさかこんな事が起こると思っていないので、
『今夜はみんなで外食しようか!』『どこに行きたいか考えといて』
と、話していたのでした。
長男が帰宅する時間が近づいてくるとともに、ママはだんだん緊張してきました。