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リアル:Me

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ミニチュアのおもちゃに見えていた夜景が、段々と近くなる。

ーーー皆様、この飛行機はあと10分で、成田国際空港に着陸いたします。
現在のーーー


機内アナウンスが流れると、周りが少し騒がしくなった。到着が予定より遅れ、日が落ちてしまっている。
飛行機から出ると、途端に冷たい空気が頬を刺した。

「はぁ…やっと着いた…久しぶりだなぁ…」

手にしていた帽子を軽目に頭に乗せると、男は口元を緩ませながらタクシー乗り場へ足を早めた。








You're My Love -4-









クリスマスまで2週間と少しあるのに、天気予報には傘のマークと、控えめの雪だるまマークが付いていた。
朝から底冷えする寒さで泣きたくなる。

「はあ~寒いっ!!暖房の温度上げていい?」
「ダメよー!今が設定温度ギリでしょー?」
「もー!カイロじゃ足りないっ!」

室内の温度を高くしようと頑張っているものの、思うようには暖まらない。
二台ある加湿器の給水タンクに水を入れて、ハルが部屋に入ると外気が足元を冷たくする。

「寒いのに、水くみありがとーハルちゃん!」
「いいですよ…勝負に弱い私が悪いんです…」

よほど冷たかったのか、ハルの指は真っ赤になっていた。寒さで心まで冷たくなったのか、暗い表情のままハルは、部屋の隅の暖房が降りてくる場所で落ち込んだ。
勝負に勝って部屋で待っていた同僚達は、なんとも言えない表情でハルの背中を見つめる。
すると一人が急に叫んだ。

「もーやだ!こんなの無理!!なんなの、この会議やら打ち合わせの数!バカか!」
「…ちょ、バカって」
「確かに…年末に増えましたよね、会議」

暖まってきて気が済んだのか、ハルは自分の席に戻るとパソコンを開いた。

「なんでここにきて株主総会?!」
「役員会議も入ってるしぃ…テレビ会議も8件…」
「…9件ですよ、今またメールが…」
「…………」

はぁ~、と全員がため息をついた。

「…いっくらスケジュール決めようっても、1日は24時間だし、社長も専務も役員も体は1つしかいないんだっつーの」
「だからテレビ会議なんじゃん?」
「ぅもー!」

海外とのやり取りはテレビ会議だが出来る時間が決まっている。ギリギリの時間だと長引いた時が困るので、少し長めに取る。すると社内の会議や打ち合わせは時間が短くなる。
年明けでも問題ない会議は、年明けにずらすように交渉するが、プレゼンでの評価に力を入れている者が多く簡単にはいかない。
そんな中、役職の付く人達の出張が重なり調整もしなくてはならない。
役員秘書のハル達4人は文句を言いながらも、少しずつ調整を重ねて行く。
やがて口数も減り、悩ませていた頭を上げると時計はもうすぐお昼だった。
それまでなんともなかったハルの体が、急に空腹を告ると全員が顔を上げた。

「…すみません…お腹鳴りました」
「いい音したね」
「ぴったりじゃないけど、ハルちゃんの体内時計には感心するよ」

ゲラゲラと笑い声が響き、少し早いけれどお昼になった。
3人は寒空の下、会社近くにあるオムライスが人気メニューの洋食屋さんへ出掛けたが、ハルはお弁当を持ってきていた日なので、諦めて1人社内の食堂へ向かった。

時間が少し早かったからか、いつものように座る場所には困らない。
ハルは丸いテーブルの席に腰を下ろすと、ふーっと深く息を吐いた。
パソコンと長時間、にらめっこをするなんて久しぶりで、目がチカチカする。

肩の緊張を解すように、背伸びをして首を回していると、ポンっと肩を叩かれた。

「今日は1人なんだ?」

そう声をかけてきたのはこの間、同僚に言われた営業の木村だった。

「あ…お疲れ、さま…です」
「お疲れさま。もうお昼してるんだ?早いね」
「今日は、ちょっと…。木村さんこそ、今からお昼ですか?」
「俺は打ち合わせの休憩。企画がまとまんなくてさ…次が今年最後のプレゼンだから…って気合い入れすぎて話が進まねぇの」
「大変そうですね」
「んー…でも通ったら嬉しいから、それ考えると打ち合わせも楽しいんだよ」

持っていた缶コーヒーを飲みながら笑顔で答えると、木村は自然にハルの隣に座った。
丸いテーブルのせいで、相手との距離が近く感じる。だからなのか、木村は何度も缶コーヒーを持ち直しては、ハルを見て口籠る。

「…?どうかしました?」

何か言いたげな表情を悟り、ハルが顔を覗き込むと、木村は意を決したように真剣な顔になった。

「ク、クリスマスとかって用事ある?」
「クリスマス…は、ちょっと…」
「そっか…じゃあ、クリスマスじゃなくてイブとか、次の日でもいいんだけど…俺とデートしてくれないかな?」
「デっ?!デートですか!?」
「ぃやっ!?デートって言うか、あの、2人で映画とか食事とか……うん、デート、かな…。三浦さんの事、もっと知りたいんだ…」

普段は涼しい顔をして仕事をこなし、何があっても動じない、頼りになる人だと聞いていたのに、今ハルの目の前にいる木村は、耳まで真っ赤にして恥ずかしそうな顔をしている。

『たまに照れると仔犬みたいな顔になるの、それが可愛くて!』

そう営業事務の女の子達が言っていたのを思い出した。たしかに、垂れた耳が頭から出ていたら似合いそうだ。

「…だめかな?」

なかなか返事をしないハルに木村は、しゅん、と諦めたと言わんばかりに気落ちした。
怒られた犬のような木村の表情に、映画くらいなら行ってもいいか、と思案してると、後ろから声がした。

「申し訳ないのですが、クリスマス前後は姉を家族(ファミリー)に返して貰えますか?」
「…え?」

驚いてハルが振り向くと、そこには懐かし顔が立っていた。






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…思ったよりハルちゃん編が長い