※不定期更新&未完成※ <自作小説> 雨音 | マヌーのあれやこれ 〜seasonⅡ〜

マヌーのあれやこれ 〜seasonⅡ〜

H25 6/21〜
‘マヌーのあれやこれ’ は
‘マヌーのあれやこれseasonⅡ’

と、改名しました。

H28 9/3~
投稿者の名前を「マッケイ」

と、改名しました。

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『初回→雨音part,1
『前回→雨音part,2

思わず聞いてしまった。
何故か彼女に対する疑念が止まない。

「どうだったかな?
毎週金曜日に通ってるの
もしかしてセットの内容って日替わり?」

週に一回、同じ曜日に店に来ている。
だから知らなかった。
と、いうことなら納得はいく。

だが、いくらなんでもセット内容が日替わりなのはメニューを見ればひと目でわかる。

苦し紛れの言い訳に感じもするが、
彼女の目と表情は嘘偽りない。

「聞いてる?」

彼女の言葉の真意を考えていて、
しばらく黙ってしまっていたようだ。

「ゴメン、ここのセットは日替わりだよ」

すぐさま答える。
彼女は満足気だ。

これ以上、今日初めて会ったであろう彼女のことを考えつめるのはやめよう。

今この一時を楽しむことにしよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フルーツタルトを食べ終え、
コーヒーを片手に彼女に姿勢を戻す。

聞きたいことは沢山あるが、
自分の口からその質問を発することはなかった。

「不思議だよね
初めましてなのにカフェで食事して
デートみたいじゃない?」

彼女に先に言われてしまった。
コチラもカフェに行くことが決まってから、そう思っていた。

「異性と2人で一緒にいるなら、それはデートで間違ってないんじゃないかな
少なくとも僕はそう思うけど」

素直に思ったことを伝えてみた。
茶化した返答をするのは簡単だが、そういった行為が不必要な相手だと感じたからだ。

「それもそうだね
私たちって気が合うかも」

誤解を招くような言い方だ。
言葉を取り違えたら、コチラに気があるような発言と取れなくもない。

もちろん、彼女にそのつもりが無いのはわかるが、戸惑いのない視線と声のトーンに、心を掴まれそうになったのは事実だ。

「まだ会って数時間しか経ってないし、
そう捉えるのは気が早いよ」

少し距離を置く返答をしてみた。
僕の悪い癖だ。自分が嫌になる。

「じゃあ連絡先交換しよ
それでもっとあなたのこと教えてよ」

そう言って彼女は鞄からメモ帳を取り出し、ペンを走らせる。

「これ私の電話番号とメールアドレス」

彼女からメモ帳の切れ端が差し出された。
早く取ってと言わんばかりの表情だ。

「あ、ありがとう」

勢いに負け、受け取った。
再び彼女はメモ帳の切れ端を一つ作り、今度はペンと一緒に差し出してきた。

「はい、今度はあなたの連絡先を書いて
読める字で書いてね」

僕をからかう彼女。
はいはいと頭を振り、連絡先を渡す。

「ありがと
お試しで電話かけてもいい?」

どうぞ。と、彼女に目で合図をする。
すると、ポケットから振動が伝わる。

携帯を取り出し、電話が繋がってることを証明すると、振動は消えた。

「良かった」

一言だけ小さく彼女が呟いた。
彼女の顔が少し安心したように見えたのは気のせいだろうか。