music gearレポ その5-電子ピアノ編 音源革命(現代編) | DIGEQUIPMENT -JR御茶ノ水駅から徒歩2分!クロサワ楽器お茶の水駅前店スタッフブログ-

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Dig into Equipment
筆者の主観と偏見で、機材を掘り下げご紹介します

 
2月になりました!前回ブログ書いてから、「あけましておめでとうございます」からの アメリカ2017NAMMショー という楽器業界最大のビックイベントをはさんで、久々の投稿となってしまいました。。。
折しもタイミングよくNAMMで大々的に発表されました「Roland Stage Piano RD-2000」(コレ!最高に良いっす!!!)のメーカーお披露目会が都合よく先日ございましたので、それに併せてちょっとだけ発表会の報告と、前回のその4の続きをブロってみますね。

本題の前に: Roland新製品発表会は篠田元一先生のデモンストレーションが多いのですが、やはり今回も最強のパフォーマンスで、つくづく「楽器業界にいる俺得」を感じざるを得ませんでしたよ。
(「いいなー」と思ったあなた!ただいま当社スタッフ募集中です)
  
NEW RDについては後述しますが、本当にそのサウンドと、高性能化、デザインのカッコよさは要注目アイテムです!ステージマスター/スタジオマスターキーボードをお探しの方!良いですよぉぉ!
 
 
併せて「エントリーキーボード」として発表されましたGO:PIANOGO:KEYSですが。。。これ、エントリーモデルってクオリティーじゃないと思います。
価格帯やルックスからして、他社のエントリーキーボードやファミリーキーボードに当て込んだ発想だと思われるのですが、サウンドクオリティーや実践的な内容は文字通り「抜群なのではないでしょうか?
GO:PIANOの音源は同シリーズのGO:KEYSとは全く違うもので、ピアノ系サウンドに特化した(といってもサウンドバリエーションは多いですが)モデルで、非常に美しいピアノ音!いやさ、ほんとにきれいなピアノ音で、「FPシリーズの小型版」と言えちゃうレベルです。
鍵盤はセミウェイテッドのほどよく心地よい抵抗感のある、軽いタイプ(表現が難しいです)のキーボード鍵盤なのですが、たいていセミウェイテッドの鍵盤のキーボードって表現が雑になりがちじゃないですか?
特に演奏に興奮してくると全部フォルテになっちゃったり、「ここはゆったりとクレッシェンドで」とか思っても、全然表現力がついてこないことが多かったりするのですが。。。あら不思議!
pp~ffまでセミウェイテッド鍵盤でもきれいに、本当にきれいにプレイヤーのタッチに追随してくれます!!
しかも素敵なサウンドで!
 
GO:KEYSはJUNOシリーズの弟分といった位置づけなんでしょうかね?
でもこれ、超絶楽しいパフォーマンスキーボードです!!プロをもうならせるグルーヴ感満載の「ループ・ミックス機能」とサウンドクオリティーで、しかもシンセサイザー等特有の「むずかしさ」をがっつり省略して、おいしいところだけさらにパワーアップさせた、遊んでいるとイマジネーションが暴走して時間を忘れるアイテムです!ステージパフォーマンスも十分に対応できすぎる大変なクオリティのモデルだと思います!
 
両モデルとも他社モデルにありがちな「機能項目を鍵盤にアサインして設定する」とかいったいちいちマニュアルを見なけりゃ設定できないめんどくさいスタイルは採っておらず、本当に直感的に使いやすい、しかもクオリティーの高いキーボードです!!
お店に導入されたら是非チェックしてみてくださいな!2017年3月発売予定!
 
その他のすばらしいNEW COMMERにつきましては当店TWITTER当店ホームページーカーページを見て、ガンガン期待を膨らませちゃってください!

↓↓↓さて、ここから前回の続き「電子ピアノの技術革新」についてです。↓↓

ピアノの音源は「メモリの容量&電子頭脳の能力」との葛藤です。
 
前回のブログで、80年~90年ごろにかけて(そして2000年代も)パソコンの技術的発達(低価格化と高性能化)と並行して電子ピアノも「ピアノの音をそのまま取り込んで打鍵とともに再生する」サンプリング音源が主流になってきた旨の記事を紹介いたしましたが、
もともと、ピアノの音というのはオルガンと違って、シュミレートするのに、ものすごいデータの量と高性能のCPU(電子頭脳)が必要となります。
 
※そういえば筆者も大好きな、現在絶大な人気を誇るプラグインピアノ音源ソフト「Ivory II Piano 」もそのクオリティーの高さゆえ最近まで「全部使いこなすと重い」とか言われてましたよね。
 
一つの鍵盤を弾くだけでも、打鍵から時間が経つ(減衰)にしたがって音色は変化してゆきますし、タッチの強弱でどんどん音色が変わっていってしまうし、88鍵盤がすべて1個1個弦もハンマーも違いますし、また、他の鍵盤を合わせて和音で弾いた時の弦の響きは、他の弦や響板と共鳴しちゃって、一個ずつの鍵盤だけ弾いた音とまたまた違う音になってしまうし、それらにプラスして、ペダルを踏んだ時の響き方もいちいち違うのですから、気が遠くなるほど膨大な音色データを取り込まなくてはなりません。。。というか現在でもサンプリング技術だけでこれらを補うのは不可能なのではないかとされてます。
(一個のきれいなサンプルをそのまま”びろぉーん”と横に広げたり、のばしたり、打鍵加重(やスピード)に合わせて音量を変えてゆくだけではとても楽器としてのピアノとは呼べる代物は実現できないのですね。)
 
ですが、ピアノ音源は今も確実に進化しているのです。
ピアノの音の減衰を視覚的に表すと↓なかんじで表しますが
まだメモリーの値段も高く電子頭脳の精度も低かった初期はメモリーの節約が必須でしたので
A部分のピアノの特徴を最も強く表す部分をサンプリング音源使用
B部分の音色の変化が少ないとされる部分を正弦波に倍音を重ねてゆく「倍音加算方式の音源」使用のハイブリッド音源のSA(Structured Adaptive)音源方式を用いたRolandの初期サンプリング音源仕様があったり、
きれいで個性的なピアノ音がいまだに根強い人気を誇るSAピアノ音源を搭載したRD-1000
 
はたまた
A部分はピアノの特徴を最も強く表す部分をサンプリング音源
B部分は短いサンプリング音をループ(繰り返し再生)させる方式をとっています。
(こちらのほうは精度や完成度の進化こそあれ、最近までまだ主流でしょう。)
 
美しいサンプリング音源AWMが好評のクラビノーバCLPシリーズ(80年代モデル~2000年代初期モデル)
 
 
90年代後半あたりから2000年代前半、そして現在にかけてはメモリーの容量増大/安価化,、電子頭脳の高速処理化が実現するようになり
サンプルがより大量に細かく取り込めるようになってきたり、
上図AからBまでフルに取り込むメーカーやモデルもでてきました。(ただ、個人的に、これはこれで大変メモリ消費になる気がするのですが)
最新のフィルターテクノロジーやバーチャルテクノロジー(後述)等の技術も併用してB部分も極めて自然に再現するモデルも出てきております。
  右矢印   
 
 
鍵盤ごとのサンプルの割り振りも
初期はいくつかのサンプルをブロックごとにサンプリングを配置して引き延ばしてましたが
注※上図はイメージ(適当)です。実際のものとは異なります。
サンプルの切り替わる切れ目が露骨だったり伸ばした部分が不自然だったりとの難点があったものですが
下矢印
現在では88鍵盤(ステレオ)フルサンプリングが多く見られるようになってきました。
 
 
また(打鍵)タッチによる音色の変化も
初めは段階ごとザックリだった音色変化が次第にきめ細かく自然に、かつダイナミックに変化してゆくようになり
  右矢印   
 
現在ではほぼ無段階のスムーズな音色変化を実現可能となりました。
 
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さて、ここまで完璧に近いくらい表現力を実現できるようになったと言っても「サンプリング音源」というものには本物の楽器としての物理的、能力的、(コスト的な部分も)限界が生じてしまうのです。
(とはいえ個人的にはここまで綺麗な音で演奏できれば、もういいじゃん。と思ってしまうのですが、そこはそれ、やはり職人魂の追及がさらなる高みを実現してゆきます。)
単なる大量の美しいサンプリング音の羅列だけですと、やはり個々のばらつきは生じますし、和音やスケールを弾いた時のアコースティック楽器の持つナチュラル感、響板やボディー鳴り、各種パーツの微妙なノイズや鳴りの相乗効果は得難いものです。
 
ピアノはたくさんのパーツからできてます(ビデオはアップライトですが)
 
ほとんどのモデルはそのばらつき、不自然さをフィルターやエフェクター、再生機構の強化、補助的な別サンプルの追加等で自然に聞こえるようカバーしておりますが
そんな概念を根底から覆す画期的な電子ピアノが登場しているのです。(2009年)

高級グランドピアノをバーチャル(仮想技術)で作り出してしまったRoland V-Piano
モデリング音源
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端的に言ってしまえば弦、ハンマー、響板、ダンパーなどピアノを構成する各々の部分をバーチャル(仮想)で作り出してしまったというすごい技術!!!
従来のサンプリング音源とは異なり、弦、ハンマー、響板、ダンパーなど、ピアノ音を生みだす各コンポーネントの複雑な相互干渉を自然に再現してしまうのです。
 
サンプリング音源ではないV-Pianoは、タッチ強弱による音色変化の段階感や、減衰音のループ感が原理的になく、美しく伸びて、ナチュラルに消えていきます。高度な演奏に応える、複雑で美しい音の響き、指先で千変万化に音を操れるしなやかな音楽性。V-Pianoは、生きているピアノならではの表現力を実現します。
 
そう、さしずめ人造人間16号(サンプリング)と17号(モデリング)の違いのようなものでしょうかね。。。
 
 
各々のパーツの発声要素がサンプリングとは違ったヴァーチャルで作った「物理音」ですので、アコースティックピアノと同様、弦(仮想空間で264本まで貼ることが可能)の鳴っている限り、同時発音数とかの縛りはないのです。
 
※残念ながら最新のFP-90やRD-2000のモデリング音源では省略されてしまいましたがV-Pianoは仮想で夢のオリジナルピアノを作り出すエディットも勿論搭載してます。
 
先日の発表会で技術の方に伺ったところ、V-Pianoテクノロジーは、メモリ負担はそんなに課題ではなく、どちらかといえば各パーツを具現化演算する処理能力、各々の相乗効果を実現する処理能力をもった、非常にたくさんの電子パーツと再生機構のほうに膨大な労力とコストがかかっているそうです。(実はボディが大きいのもそのせいとのこと)
 
最先端の技術に対して何か色眼鏡で見てしまう天邪鬼な筆者もやはりそのナチュラルなサウンドと表現力は抜群に素晴らしいと思います。
 
2009年発売にしてこのクオリティ!現行モデルがやっとこれに追い付いてきたのでしょうか。
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そしてついに!現行モデルにがっつりとこのV-Pianoの実現したモデリング音源が完全に搭載されました。(バーチャルなエディット機能は省いてますが)
 
優雅なフォルムとクオリティを身近にかなえる最新のデジタル・グランドピアノGP607
 
すべてにこだわり抜いたホームピアノの最新フラッグシップ
PREMIUM HOME PIANOのシリーズの仲間達、
 
 
発売したて!非常に評判の良い!いや良すぎるくらい極上サウンドのポータブルタイプのFP-90
そしてそして!最大の注目新製品!!!ステージピアノのRD-2000
しかもRD-2000にはV-Piano Technology(バーチャルモデリング)音源とSuperNATURAL(ステレオマルチサンプリング)音源の2つの独立したサウンド・エンジンが搭載されている贅沢っぷり!!
 
RD-2000以外の上記最新モデルはスーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源
RD-2000はV-Piano Technology音源
の名前で完全バーチャルモデリングピアノ音源をメインで搭載しております。
メーカーさん曰く「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源もV-Piano Technology音源も全く同じV-Pianoテクノロジーのバーチャルモデリングピアノ音源です。ただ、RDのほうはステージ向けにサウンドデザインをやり直しただけです」とのことでした。
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ここで「あれ? たしかこれ以前の機種(RD-800やFP-80、HP-50シリーズ等)もスーパーナチュラルピアノ音源と言ってV-Pianoテクノロジーを応用して。。。云々。。とかいってませんでしたっけ?」と疑問がわくと思うのですが(思わない?)
Rolandさんがおっしゃるには「大変紛らわしい名前で申し訳ないのですが。」
スーパーナチュラルピアノ音源はあくまで「88鍵ステレオマルチサンプリング」がベースとなっており、それに対しスムーズな音色変化を施すために補助的V-Pianoテクノロジーを応用した(良く言えばハイブリッドな)色々制限のあるステレオマルチサンプリング音源で、
今回のスーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源(とV-Piano Technology音源)は完全バーチャルモデリングピアノ音源で、全く違うものです!」とのことでした。
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高価で(大きくて)高嶺の花だったハイエンド音源のV-Piano Technologyの音源
ついに、手ごろな価格で、しかもリファインされた形で手に入るようになりました!!
えらいことです!
 
。。。とここで長くなってしまったので、注目のステージピアノFP-90とRD-2000については次回
すみません。
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全然全く関係ないことですが、Rolandのございます秋葉原ってラーメンおいしいところ多いですね。