家族の命は家族で守る 耐震、避難、備蓄…全員会議を
今日1日は防災の日。いつ発生するか分からない地震などの大規模災害から家族の身を守り、落ち着いて対応するには日頃からの準備が必要だ。家庭で取り組んでおきたい対策をまとめた。(竹岡伸晃)◆自助の精神が基本「自分の命は自分で、家族の命は家族で守る。こうした自助の精神が災害対策の基本」。公益財団法人「市民防災研究所」(東京都江東区)の坂口隆夫事務局長はこう話す。坂口さんが「まずやっておくべき対策」と強調するのが、住宅の耐震化と家具や家電製品の固定だ。現在の耐震基準が導入されたのは昭和56年6月1日。それ以前に建てられた住宅など耐震性に不安がある建物は耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強を行う。「各自治体が費用の補助制度を設けているので活用を」と坂口さん。家具や家電の転倒・落下・移動防止対策も必要だ。タンスや棚はL型金具や突っ張り棒などで固定し、引き出しや観音開きの扉には中身が飛び出さないようストッパーを取り付ける。扉がガラスの場合、ガラス飛散防止フィルムを貼る。飛散防止フィルムは窓ガラスにも貼る。テレビやデスクトップ型のパソコン、冷蔵庫、電子レンジなどの家電製品も壁や台にしっかり固定する。棚の上などの高い場所にものを置かないことも心掛ける。さらに、家具は寝室や居間など家族が長時間過ごす場所は避け、万一倒れても部屋の出入り口をふさがない場所を選んで設置する。「寝室でも廊下でもいいので、家の中に倒れてきたり移動してきたりするものがない『安全空間』を設けておくのがお勧め」けがを防ぐための対策に取り組みつつ、「家族の防災会議」を開いて災害時の行動を話し合う。ブレーカーを落とす▽電気ストーブなど電化製品のコンセントを抜く▽ガス栓を閉める-といった初動対応に加え、(1)自宅からの脱出法(2)避難場所や避難路(3)老人や子供のサポート(4)避難時に持ち出すものの内容と分担(5)連絡手段や最終的に落ち合う場所-などについても確認する。家族が仕事や学校に行っている平日の昼間、家にいる夜間・休日などさまざまなケースを想定して決めておく。坂口さんは「塀の倒壊や自動販売機の転倒などで通れない場合もあるので、避難路は複数、決めておいたほうがいい。昼間と夜間、家族で実際に歩いて危険箇所を把握し、安全なルートを確かめておくことも重要」。自宅~避難場所の地図に危険箇所、病院、店舗、トイレ、公園、学校などを書き込んだ「家族用防災マップ」を作成しておくと役に立つ。◆最低1人3日分家族が離ればなれで被災した際の連絡手段として、音声や文字情報を登録する携帯電話各社の災害用サービスがある。体験して利用法を確認しておく。被災地から離れた親戚や知人を連絡先に決めておき、安否情報を共有する方法もある。非常用持ち出し品・備蓄品・常時携行品を備えておくことも大事だ。非常用持ち出し品はリュックなどに入れ、いつでも持ち出せる場所に置いておく。「家族で1つずつ用意し、手分けして持ち出してもいい」(坂口さん)。備蓄品は家で過ごすための備え。飲料水や非常食を1人3日分、可能であれば1週間分用意しておく。定期的に食べながら補充し、消費期限切れを防ぐ。表は、総務省消防庁の「防災マニュアル」(http://www.fdma.go.jp/bousai_manual/)に紹介されているものだ。これらの内容を基本に、ミルクや紙おむつ、哺乳瓶、食べ慣れたお菓子類など各家庭で必要なものを加えていく。