眠気といっても、毎日規則正しく眠気が起こるのは

自然なことであり、質のいい睡眠をとることは

健康の秘訣でもあります。

 

今回紹介するのはそういった健康的な

眠気とは違います。

嗜睡(しみん)といい、昼夜を問わず眠たがり、

声をかけるとすぐに目覚めるが

またすぐ眠ってしまうという状態のお話です。

 

時々「私は何時間でも眠れるよ。」

       「昨日は一日中寝て過ごした。」

なんて言われる方もみえますね。

 

それが、例えば

「昨日はスポーツの大会に参加して疲れていた」とか

「仕事が忙しく、疲れがたまっていた」

という理由で、その日だけいつもより

長く眠ってしまったということなら

それほど心配はありません。

 

疲れるようなこともしていないのに、

毎日昼も夜も眠くて仕方がない、という方は

東洋医学的に、下に述べるような病態に

なっている可能性があります。

 

心当たりのある方は、一度ご自身の体調を

チェックしてみるといいかもしれませんね。

 

東洋医学では、「昼夜を問わず起こる眠気」を

以下の4つに分類します。

 

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【1.湿困脾陽】

 

 

[症状]:

 

 

身体がだるくて眠い 

・頭が締め付けられるように重い 

・腕や足が重だるい ・食欲がない 

・足がむくむなどがあります。
[原因]:
水と関わるような仕事をしていたり、

    生ものや冷たいものの食べ過ぎ、胃腸が弱い人

    などが起こりやすいです。
[治療]:
鍼治療では、胃腸を温めて水の代謝をよくする

    太白・三陰交・中脘といったツボを使います。


【2.心脾両虚】

[症状]:

・倦怠感があり常に眠い ・食欲がない 

・軟便や下痢をしやすい ・動悸がする

    などがあります。
[原因]:

・病気の後や、いつも思い悩んでいる人、

    食欲がなく食べられない人などが

    起こりやすいです。
[治療]:

・鍼治療では、緊張をほぐし、食欲をうながすような

    神門・神闕・足三里といったツボを使います。


【3.腎陽虚】

[症状]:

・元気がなく身体を動かすとすぐ疲れる 

・腰や膝下が冷える ・むくみなどが起こります。
[原因]:

・高齢者や、体力がなく身体全体が冷えている方

    に起こります。
[治療]:

・鍼治療では、腰や足を温めるような

    腎兪・湧泉・命門といったツボを使います。


【4.腎精不足】

[症状]:

・けだるく頭がぼーっとして、思考力が鈍くなる 

・物忘れが多くなる ・聴力が落ちるなどが

    起こります。

[原因]:

・長期の過労や慢性的な病気、老化などに

    よって起こります。
[治療]:

・鍼治療では、元気の真の元を補うような

    太渓・復溜・中極といったツボを使います。

 

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《眠気によい食べ物》


【1には いんげんまめ】
〇いんげんまめは胃に優しく、胃腸の機能を高め、

    余分な水分を排除してくれます。
〇よく煮て、少量採るとよいでしょう。

    食べ過ぎると消化不良やガスが

    たまりやすくなります。


【2には 鶏 肉】
〇鶏肉は温める力が強く、胃腸に優しく、

    気も血も補ってくれます。
〇鶏肉そのものをたべるのもよいですが、

    弱火でよく煮てスープで採る方が、

    身体の弱りには適しています。


【3には シナモン】
〇冷え性で衰弱した身体を温めて、

    機能を高めてくれます。
〇粉末のシナモンをお湯で溶かして飲むと温まり、

    血行がよくなります。


【4には 海 老】
〇栄養豊富な長寿食品とされ、腎を丈夫にして

    精を高めます。
〇殻ごと煮たスープで、食物繊維と一緒に

    採るとよいでしょう。

 

 

 

〈参考文献〉

「中医診断と治療法」 燎原書店
「日本の知恵ぐすりを暮らしに」  東邦出版
「中医病因病機学」 東洋学術出版
「中医臨床」   東洋学術出版