私が専門としている、首尾一貫感覚(Sense of Coherence, SOC)。
この感覚が高い人は、メンタルヘルスの問題が生じにくいことから、「ストレス対処力」「健康生成力」、もっと簡単に言えば、「生き抜く力」「困難を乗り越える力」とも表現できます。
名前の通り、この感覚は、一貫性を感じることの重要性を説いています。
先日、ある人と話していて
「Aさんは、一貫性がない。キャリアパスについても、一回決めたら、もう悩まずに、前だけを見て進んだらいいのに」
という言葉が聞かれました。
でも、一貫性のある人は、悩まないということではありません。
そこで、同じ誤解をされている方もいるかと思い、
「一貫性のある生き方とは、どういう生き方か?」
簡単にまとめますね。
実は、一つのことに固執しすぎる、一貫性があり過ぎる人(臨機応変な対応ができない人)は、「堅いSOC」を持っていると言われています。
「強いSOC(SOC得点が高い、高いSOC)」と、「堅いSOC」は、まったく異なるものです。
「強いSOC(高いSOC)」を持つ人は、困難があってもうまくそれを乗り越えられるのに対し、「堅いSOC」を持つ人は、ポキッと心が折れやすいことが明らかになっています。
なぜか?
状況や体調等の変化によって、一度決めたことについて「本当によかったかな?」と悩み、選択を振り返ることは、変化への適応に重要なことだからです。
しかし、堅いSOCを持つ人は
「決めたのだから、絶対にこの方法で遂行しなければならない」
と感じるので、適応しにくくなる場面もあるのです。
先ほどの例であれば、
Aさんが、散々悩んだ結果、キャリアを変えるのも、一つの道です。
変えた後、新たな職場が劣悪な環境であることに気づき、後悔して、また元のキャリアに戻っても、もちろん良いです。
大切なことは、自分なりに考え、悩みながらも、人生の道を歩み続けること。
そうして、時々、歩んできた道を振り返りながら
「やっぱりこれでよかったんだ」
「どうなることかと思ったけれど、結局、なんとかなったなぁ」
「もしかすると、この出来事には、こういう意味があったのかもしれないな」
と、つじつまを合わせていく。
これが、一貫性のある、SOCの高い人の生き方の特徴なのです。
人生、「これが正解!」という生き方なんて、ありません。
自分なりに、つじつまを合わせ、あるとき、ふと「自分の人生、なかなか悪くないな」と思えることこそが、良い人生を歩んだ証と言えるのではないでしょうか?
今日の例として挙げられたキャリアと一貫性について、さらに知りたい方は、
具体的には
「一体自分は何をしたいのか?」
「やりたい仕事につけなくても道を開く方法」
について知りたい方は、著書「困難を乗り越える力~はじめてのSOC~」のp68~75をご一読ください。
他にも、SOCについては、以下の4冊の著書と、監修DVDを出しています。
「さらに知りたい」という方は、ぜひご笑覧くださいませ。
「ストレス対処力の専門家が教える "折れない心"をつくる3つの方法 」
何があってもへこたれない画期的概念を、日常で使えるように、優しく解説しています。心が折れそうなあなたに読んでいただきたい1冊です。
「元気な職場をつくるコミュニケーション~ストレス対処能力SOCを高める~ 」
監修DVD 「メンタルヘルス~職場を元気にするコミュニケーション~ 」
困難を乗り越える力、ストレス対処能力として知られるSOCを高めるコミュニケーションや職場づくりについて、ドラマを見ながら、学べます。