<自家製餡、粒餡について>
北海道小豆の粒餡の炊き方についてお話します。
①小豆を水洗いし水に漬ける。豆を炊く前に吸水方法を選択する。
豆に吸水させる方法には、大まかにいうと二通りの方法がございます。
一つは、①の時点ですぐ火にかけ、沸騰したら水を加え(びっくり水と言います)温度をさげる。再度沸騰させ再び水を加え温度を下げる。この工程を繰り返し豆に吸水させる。これは即炊き法または、即炊き餡と言います。
もう一つは、一晩かけ小豆にゆっくり吸水させる方法がございます。水温、漬ける時間は季節により考えます。
吸水方法により、出来上がりの餡の味、香り、食感が変わります。
さか昭では、一晩水に漬け豆を膨らませてから、火にかけていきます。
②豆の渋を切る。
沸騰すると小豆から「渋」が出てきます。
一般的にはこの渋を流し捨て渋切を行います。
ここで渋を切らない方もいらっしゃいます。
さか昭では、渋切を行います。
③豆が柔らかくなるまで炊く。(本煮)
小豆の豆を潰さずに炊くのであれば、籠に入れ豆割れ防ぐ様に炊く。
どの様な状態のつぶ餡に仕上げたいのか、また豆の皮を柔らかくする為の方法も考える。
この時、豆の灰汁が出ますので、灰汁をとる。
小豆は一年に一度しか収穫されませんので、収穫直後の新物と、一年経ったものでは、煮え方が変わりますが、豆の保管方法が良ければ、あまり差がなく炊けます。
さか昭では、すべての粒餡の豆を籠に入れ、割れないように炊いております。
④豆を冷却する。
冷却前に、豆の状態を見て火を止め、蒸らすこともあります。
豆の灰汁をとり、水で冷却する。
⑤砂糖を選定する。砂糖も種類により特徴が異なるので目的に合わせ使い分ける。
配合の砂糖で蜜を作り、豆を漬け、少しずつ蜜糖度を上げ豆にゆっくり蜜を吸わせる。
いきなり糖度の高い蜜に豆を漬けると、豆の皮が締まり固くなります。
豆の種類、大きさ、餡の糖度により蜜を吸わせる日数が変わります。
さか昭の餡には、純度の高い白ザラメ糖、鬼ザラメ糖、氷砂糖を使用しております。
純度の高い砂糖は、餡の甘みをすっきりさせます。
水は、浄水器の水とミネラルウォーターを使用しております。
(写真は、砂糖蜜を加え、練り上がり間地かの粒餡です。)
⑥「どの様な菓子に使用するつぶ餡なのか」により炊き方、蜜漬けの日数、砂糖種類、餡の硬さ柔らかさが変わってきます。
ここに記載したことはほんの一部であり、これ以外にも製法は色々あると思います。
和菓子は嗜好品なので、菓子や餡作りには正解は無いと思っております。
小豆は農作物であり、天候に左右されることも多く、小豆の出来不出来によっても、
炊き方が変わってきます。(最近は、天候不順が続き厳し状況が続いております。)
ただ餡作りだけでも、数多くのこだわり箇所がございますので、
これらが、お店の味になるのだと思います。
和菓子の製餡は、地味で目立たないところに、手間がかかっております。
(ぜんざい用の粒餡)
当店での粒餡は、
「北海道小豆の粒餡」は、
各大福、甘酒饅頭、胡麻、胡桃団子、白玉ぜんざい、菊最中、おはぎ、きんつば、草餅、柏餅等に使用し、
「北海道大納言小豆の粒餡」は、ふっくらどら焼き、ふわふわ蒸しどら焼き、慶祝どら焼きに使用し、
「丹波大納言小豆の粒餡」は、手づくり最中、かの子、あずきゼリー、抹茶あずきゼリー、
水無月に使用しております。
(小豆、大納言豆の比較、味、香り、大きさ、価格、全て異なります)
大納言小豆は、あずきの大粒ではなく、普通の小豆と別品種となり、小豆に比べ生産量も少なく、
栽培期間も長く、味も香りも異なります。また皮が厚く炊くのも難しい豆です。
当店では、どら焼きの生地に負けない味と香りがあると思い使用しております(個人的見解です。)
珍しい豆では、
北海道大福豆(おおふくまめ)の粒餡は、ゆずどら焼、紅茶どら焼、に使用し、
北海道大正金時豆の粒餡は、木目どら焼き、縁結びのさくら道に使用しております。
(インゲン豆三種、味、香、価格が異なります。)
次は、こし餡に続きます。