dijiejkdjiejiのブログ

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(Number Web)

 ロンドン五輪では主将として、28年ぶりの銅メダルを獲得。30歳になる今年、結婚、出産を経て、荒木絵里香は再び競技復帰を目指している。

今秋開幕するVリーグで復帰することが目標です。

 1歳までは十分に乗れる大きさだと言われたのに、まだ2カ月半の娘をベビーカーに乗せると、何だか窮屈そう。大きな手足も似ちゃったな。

 結婚して、出産しました。

 そう言うと「引退したんだね」と返されますが、私はまだ選手です。

 夜泣きする娘を重り代わりにスクワット。育児もトレーニングもまだまだだけど、今秋開幕するVリーグで復帰することが目標です。

 ロンドン五輪を終えて、これから、私はどうしたいのか。なかなか結論を出すことができませんでした。

 今までと同じように、Vリーグと代表で合宿続きの生活を送るのか。

 子どもを産んで、その後、もう一度選手としてコートに戻るのか。

 決心したのは、去年の2月です。

結婚して、出産してから、もう一度競技復帰を目指そう。

 中学で体育教師をしている母が「子どもを産んで、復帰したいと思うならやればいい。お母さんが仕事を辞めて、エリカと赤ちゃんのベビーシッターになるから」と。結婚を前提にしたパートナーもいて、彼も「結婚、出産してからでも競技を続ければいい」と後押ししてくれる。

 このタイミングを逃したら、きっと後悔する。ならば結婚して、出産してから、もう一度競技復帰を目指そう。やっと腹が据わりました。

 ただ、不安だったのは、こうする、と決めたのはいいけれど、自分がちゃんと妊娠できるのかどうか。

 10代の頃から生理痛がひどくて、腹痛だけでなく、吐き気や頭痛で、試合を欠場したこともあるほど。

 簡単に妊娠はできないだろう。半ば諦めていたし、最低でも妊娠して、復帰するのに2年はかかるだろうと思っていたので、昨年の6月に妊娠が判明した時は、本当に嬉しかった。

出産は、銅メダルをもらった時とまた違う感動が。

 妊婦生活は順調そのものでした。安定期に入ってからはプールに入ったり、ユーチューブで検索したマタニティヨガをしたり。このままスポン、と産まれるのかな、と思っていたのですが、いやー、甘かった。実際の出産は、想像以上の難産でした。

 陣痛の時から腰が砕けるかと思うほどの痛みが定期的にやってくる。

 うううううううううう。

 声にならない叫び声を数時間上げ続けて、やっと分娩台へ。通常は1時間程度で終わるはずが、選手生活で鍛えられた筋肉で産道がギューギューに締められてしまうらしく、4時間経っても出てこない。白目をむきながら息んで、ようやく娘が誕生したのは破水から15時間後。

「やっと出てきたぁ……」

 ロンドンで、銅メダルを首にかけてもらった時とは、また違う感動、感情があることを知りました。

夫の四宮洋平は「やるならてっぺんを目指せ」と。

 昨秋に東レを退社したので、プレーするチームも決まっていないし、授乳中なので筋肉もつきにくい。きっとこれからは、想像以上に険しい道のりが続いているはずです。

 でも、ラグビー選手だった夫、(四宮)洋平も「やるならてっぺんを目指せ」と言って、トレーニングにも付き合ってくれる。リップサービスとわかっているけれど、眞鍋政義監督に妊娠を報告したら「復帰したら、待ってるからな」と言ってくれたのも、大きな励みです。

 今はまだ、ちょっとずつトレーニングを始めたばかりの、普通の主婦でママですけど、いつかはコートに立つ姿を、娘に見せたいですよね。

 大きくなって「ママ頑張れ」なんて言われたら、泣いちゃうだろうな。

文=田中夕子

photograph by Yohei Shinomiya