子供のしつけは、ほぼ全ての親御さんが日々悩み、試行錯誤の連続の中で子育てをされているかと思います。
私は時々耳にする、「歯医者さんに注射してもらうよ!」や「歯医者さんに痛くしてもらうように言うよ!」などの脅しのしつけには賛同できません。
言葉があまり理解できない時期は、望ましくない行動を止めるために、ある程度、脅しのしつけを用いるのは仕方ないかもしれません。
しかし、効き目が大きいからといって、頼りきりになるのは考え物です。
いつまでも叱られている本当の理由を理解できるようになりませんし、成長するにつれて慣れてしまい、しつけの効果はなくなっていきます。
完全に理解できないとしても、「なぜ、これをする必要があるのか」「なぜ、これをしたらダメなのか」といった理由を根気強く説明する姿勢が大切と言えるでしょう。
もっとも、「歯医者」に限らず、子育ての中で意識せずに「脅し」を用いる場面は案外多いかもしれません。
言うことを聞かない子どもに「鬼が来るよ!」や「サンタさんが来なくなるよ!」と言ったり、片付けをしない子どもに「ごはん抜きにするよ!」と叱ったりするのも一種の脅しと言えるでしょう。
言うことを聞かない子どもに対し、「もう知らない!」などと言うのも、「○○をしないと見捨てるよ」というメッセージが含まれていると考えると、脅しと言えるかもしれません。
こうした言葉の中には子どもの心に深い傷をつけてしまうものもあるそうです。
実際、厳しすぎるしつけや学校でのいじめなど、言葉の暴力で傷ついた子供の脳のMRIを撮影すると、認知症の患者さんと同じように脳が小さく萎縮している場合も少なくありません。
「子どものために」と思って放つ言葉が、子どもを傷つける「脅し」や「暴力」になっていないか、しっかりと見極める必要がありそうです。
また、歯科医院で虫歯の治療が予定されているにもかかわらず、「大丈夫、今日は歯を診てもらうだけだから」や、「先生が上手にやってくれるから全然痛くないよ」などの嘘も良くない影響を及ぼします。
親子間の信頼関係の崩壊や、歯科医と患者さん(お子さん)の信頼関係の構築が出来ない等の弊害が生じやすくなります。
「子育ては親育て」等という言葉もありますが、子供は親の所有物では無い事を今一度肝に命じ、上から目線にならないように忍耐強く、丁寧な言葉を掛けることが長期的に見ますととても大切なことのようであります。
ちなみに、これらの事はそう簡単にマスターできるものではありませんで、私ももちろん修行中で御座います。
以上、「子供を叱る時「歯医者さんに○○してもらうよ!」を利用しないで」のお話しでした。