カポネ
佐藤 賢一(角川書店)

 アメリカの闇の帝王に君臨したアルカポネの生涯を描いた悪漢小説。

地元ギャングのジョニー・トリオの経営するクラブのバーテンから始まったカポネが、裏社会で成り上がっていく姿がとてもかっこいい。ライバルギャングとの抗争、兄弟子、そしてボス・トリオを引退させてついには、アメリカ最大のギャングになった。賭博、売春、闇酒など裏取引で稼ぎ、巨万の富を築いていった。歯向かうギャングは情け容赦なく殺し、厄介者の警察や弁護士は賄賂を送り買収し、1920年代のアメリカ連邦政府に負けぬ資金力とリーダーシップで闇の帝王として恐れられた。


後半部の闇酒取引で巨万の富を築くアルカポネを、禁酒局特別捜査官エリオット・ネスが追い詰める場面は手に汗握る臨場感が味わえた。

アルカポネの生涯を知る上でも、ハードボイルド小説としてでも読める傑作だと思う。
採点★★★★☆