葬儀教室 -2ページ目

葬儀教室

葬儀の時だけ見られる人間模様。
こうして解決!お葬式。
Studio Chiko by Dracaena & akao 

お迎えに行った病室で。

「この度は、…。」

「あ、葬儀屋さん、よろしくお願いします。」

「ご準備は、よろしいですか。」

「ちょっと、待って。ちょっとここで、打ち合わせしてもええですか。」
「わかりました。では、場所をかえて・・。」

「私が息子で、こちらが、故人の兄です。親族のほとんどが、関東なので、こちらでは、火葬だけしてもらって、関東で葬儀をしたいのですわ。」

「わかりました。それで、ご遺体は、どちらへご搬送いたしましょうか。」

「本人が家に帰りたがってたので、自宅に連れて帰りたいのです。」

「はい、承知しました。」

兄「葬儀をしないというのは、これ、家族葬ですか。」

息子「いや、家族葬は、葬儀やから、これは、密葬や、ね、葬儀屋さん、密葬でお願いします。」

「はい、そのように。ただ、お寺さんには、お経を頂きますか?」

「それや、どうするの、こっちで、お経もらって、関東でもお経よんでもらうのか。こっちでは、もう簡単でええやないか。」

「あのー、ご遺体を火葬なさるときに、懇ろにお寺さんにお勤めして頂くほうが、ご遺骨になられてからよりは、意味があるかと・・。」

「そや、その通りや、きちんと拝んでもらってな。」

「それやったら、線香やろうそくやおりんや木魚も・・。花はどうするねんな。」

「そら、それなりに飾ってもらって。な、親戚も来るし・・。」

「わかりました。大丈夫ですよ。ご希望どおりにお手伝いいたします。」

「近所の人も来てもらうから、その用意もせなあかんし。」

「そうか、そうしよか。」

(・・これは・・密葬・・?)

「承知しました。それでは、ご自宅へ出発しましょうか。」


「いや、その、悪いけど、自宅へ連れて帰るのは、明日にして。

ちょっと、今からホテルへ帰って寝るわ。」

(そうですかー。)


・・・・・・

無事に自宅での葬儀を終えて

「あー、無事に終わってよかった。ありがとうございました。

ほんとに、こんなにりっぱに準備してくれて、無事に終わったし、

もう、関東で葬儀するのは、やめておこうかと思ってますー。」

(何ですと?!・・そうではないかとは、思っていましたー。)


">「とうとう、こんな姿になってしもて・・。」

<・・・。お母様は、えっと、おいくつでした?>

「・・たしか、今年で85歳、やな。」

<お若く見えますよ。お窶れもなくて・・。>

「そやねん。この間まで、ピンピンしとったからな。

 今でも、信じられへんわ。

 寝てるみたいやろ。」



<ほんと・・。お優しそうで・・。>

「・・なかなか・・。

 この人には、エライ目にあわされたで、ほんま。」


<ええ?そうですか。>

「母一人、子一人でな。

 よう働く人やったけど、気も強うて。」



<りっぱな息子さんに、お育ちになって良かったですね。>

「・・・ありがとう、そりゃ、厳しかったで、

 昔でいうスパルタやな、」


<おお、懐かしい言葉ですね。>


「おお、あんたも知ってるか、今では、死語やけどな。」


「な、ところで、この柩に入れてもらうのか?」

<はい、白木でご用意しましたが、よろしいですか?>

「・・・。」

<・・お気にめさなかったら、布棺とか、他のものにでも・・。>


「いやいや、ええねん。これで。

 いやな、そのー、あのー、ですな、

 一回これに、入れてもらわれへんやろかー。」



(何ですと?)


<・・ええ?! いや、ご本人、お母様は、ご納棺して・・。>


「ちゃうちゃう、わしや。

 わしが、入りたいねん。これに。」



<・・・?>


「この間、テレビでやってたけど、なんか今、体験とかで、入らせて

 くれるとか、人気やねんやろ。」


<え、いや、人気というか、入ると長生きするとは、昔から・・。>


「そうや!、な、一回入らせて。」


(ええですけど、このタイミングで?・・好きにしてください!)



「それでは、打ち合わせ通り、家族葬でよろしいですね。」

「そ、家族葬でな。」

「少人数だとおっしゃってましたので、粗供養品のご用意は必要無いですね。」

「ソクヨウ・・?」

「はい、受付で、お悔やみに来られた方へのお礼ですけど。」

「あー、それな。・・やっぱり、要るで。

 近所の人も来るから。」


「あ、そうですか。それは、お付き合いもありますからね。

 わかりました。ご用意致しますね。」


「それと、お料理は? お通夜で何かご用意しましょうか?

 お家の方でご用意されます?」

「家族葬やからな。家で・・。なあ。おい、どうするねん?」


「え?食事の用意、私がするの?買ってきてよ。

 誰かおるでしょ。何人来ると思ってるん。」


「え?何人・・。そやな、親戚だけで、40人くらいやろ。」

(ちょっと、多くないですか?)

「そんなん、私、用意できひんよー。」

「あー、それでは、こちらで、仕出しのご用意しましょうか?」

「そうしてえ。」


「ご親戚は遠方から、こられますか?」

「そ、北海道と、鹿児島や。」

(また、端から端まで・・、遠いですなあ。)


「わかりました。式場への案内看板もご用意しますね。」


「それでは、お葬儀の規模は、どれくらいのお費用でご用意しましょうか。」

「そら、あんた、家族葬やから、小さいお葬式でええがな。」


「・・お父さん、そない言うても、あの親戚のおじさん、うるさいで。

 戒名に院号がついてないとか、やれ、葬儀の花が少ないとか、

 こんな小さい式場で、貧素やな。って、言うのに決まってるし・・。」


「・・そう言うんやったら、お金出してくれたらええねん。・・」


「そりゃ、そうやけど、そんなわけにもいかんでしょ。」

「ほな、どないするんや! あんたが決めて。

 ワシは、もう知らん!」



「あ、いや、まあ、落ち着いて。

 難しいとこですけど、よくお考えください。

 まあ、家族葬と言っておられましたけど、

 いろんなシガラミがあることでしょうし、

 ご判断は、おまかせしますので・・。」


「・・どないするねん。そんなに費用はかけられへんで。」

「・・・・。」

「それでは、お祭壇は、これくらいの規模で。

 あとの諸費用も、できるだけ、ご負担の無い様に、させて頂きますから。

 いかがでしょうか?」

「・・・まけてな・・。」


(って、誰も呼ばない、家族葬って、言ってましたやん。)


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